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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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友達と一緒にお店の店員を口説く事にした。


「さて、言い訳を聞こうか」


 アラステア王子は豪華な椅子に座り、腕と足を組み、こちらを睨みつけた。


「あ~、えっと。大切な人が泣きそうだったから……」


「……お前は、今度は何をしたのだ」


「待て待て、今度はってなんだよ。何で俺がした事になってんだよ。俺はな、昨日の夜からほとんど寝れてないし、めっちゃ頑張ってたんだからなっ!」


 俺は、あれからアイリを姉さんに借りている屋敷で寝かせて、約束通り、アラステアの所に来ていた。だが、もうお昼過ぎ、朝から準備して待っていたアラステアは、ちょっとご立腹だった。


「フンッ、お前の事は見切っている。どうせお前が適当な事をして問題が発生したのだろう?お前がいい加減で常識が無い事は、重々承知しているからな」


「ほぉ、俺にそんな事を言って良いのかな。お前の自由は俺が握っていると言うのに」


「な、なんだと!?」


 俺が余裕の笑みを浮かべそう告げると、オーバーリアクションで答えてくれるアラステア、ホントにノリがいいな。いや、これは素か?


 驚愕した表情で、何故だと、疑問を浮かべるアラステア。


「どうしよっかなぁ、もう結構レベル上がったし十分かも知れないなぁ。家で彼女とゆっくり過ごすのも良いかも知れないなぁ」


 もう冒険が出来なくなっちゃうかもなぁと、匂わせるとアラステアは何故か何かに気が付いたように余裕の笑みを浮かべた。


「ふっ、良いだろう。そっちがその気ならこっちにも考えがある。吠えずらをかくなよ」


「ははは、出来るもんならやってみるがいい」


 そう、今の俺なら大抵の事には動じないぜ?なんて思っていると。彼は俺が想定していなかった最悪の言葉を放った。


「ほぉ、言うじゃ無いか。所でエルバート、ハニートラップと言うものを知っているか?」


「す、すいませんでしたっ」


 ぐぬぅ、今回の掛け合いは負けか。これは勝てる気がしない。


「謝るのはやっ」


「いや実はさ、こんな事があってさ」


 俺は、一応遅れた事情を打ち明けて、改めて軽く謝罪をした。


「なるほどな、まあお前のでたらめさじゃあり得るか……仕方ない、今回の事は不問にしてやろう」



 こうして、俺達は、ちょっとした問答をした後、約束の通り、冒険者ギルドに行く事にした。


「よっし、じゃあ、お互い言った事無い町に行って、登録出来るかチャレンジしようぜ。どうせならちゃんとやりたいだろ? 俺としても面白そうだし」


 そう、アラステアに提案すると、彼はニヤリと笑い、背もたれから背を放し口を開く。


「ああ、それはいいな。やっぱり自分で冒険者になってランクを上げて見たりして見たいしな」


 アラステアから同意を貰った俺は早速地図を出して、どこにするかを検討し始めた。


「だよな、じゃあ、どこにする? ここと、ここは行った事あるから却下だとして、アラステアは?」


「ああ、俺はこっちと……ここもダメだな。うーん、となると、大きな所は全滅か。中規模だとここくらいか?」


 そして、俺達はそこそこの大きさの町に決めて、移動した。もちろん、空の旅だ。歩いて言って居たら、着く前に帰る事になるだろう。と思っていると、町が見えて来た。いつも通り見えないだろう位置に降りた。そして、もう町に着くと言う頃に、アラステアは思いがけない事を言い出した。 


「そうだ、エルバート。今回はニ、三日帰らないと伝えてある。泊まる所も頼むな」


 と、王子は当たり前の様に告げた。まあ、別に構わないけど。俺は帰るよ?心配させちゃうし。


「え? 宿屋をとっても良いけど俺は帰るよ? あ、うちの屋敷に泊まるか?」


 俺は、アラステアがどうしたいのか分からないので、一応選択肢を出して聞いて見た。


「あ、そうだったな。良い仲の者がいるのだったな。では、登録時にバレた時はよろしく頼む。問題無さそうなら宿で良いだろう。面白そうだしな」


 ……一人で宿に泊まっても、面白い事は無いよ?ただ寝るだけだからね? まあ、良いか。そんな事より王子の格好だな。そんな立派な恰好で、お前は隠す気があんのか? と言いたい。


「そんな事よりお前は隠す気ないだろ。そんな恰好じゃ俺は貴族以上の身分だぞ! って言って歩いてる様なもんだぞ?」


「そ、そんな馬鹿な! 町にとけ込める恰好をと、頼んだんだぞ?」


「はいはい、分かった分かった。そこに平民はいなかったんだよな。取り合えず予行演習行くぞ。テレポート」


 そして、俺は王子を連れてエイブラムさんの所へ飛んだ。


「これはこれは、エルバート様、おめでとうございます。とうとう貴族になられるそうで。昨日の素材の代金は用意してありますのでこちらにどう……あ、アラステア様!? どうしてここに……」


「おい、エルバート、何が演習だ、俺を知ってる者の所に連れて来てどうする」


 あ~知ってたかぁ。まあ意味がない訳じゃ無い。


「お前を知ってるかどうかなんて知るか! それよりエイブラムさん、ギルド登録で王子だとバレない様にしたいんですが、いい方法ありませんか?」


 そう、餅は餅屋だ。どうしたら良いかはシステムを良く知ってる人に聞けばいい。


「え? ああ、登録は問題なく出来ると思いますよ」


「そうなんですか? でもステータス確認ありましたよね? 同姓同名って言ったとしても流石に厳しいんじゃ?」


 確か、俺が登録した時もステータス確認をされた記憶がある。その時点で厳しいと分かっていたからわざわざここに連れて来たのだ。


「いえ、登録は私が致しましょう。ギルドカードに家名を載せるかは選べますので」


 え? あ、そうなの? 家名なんて俺には無いから知らんかった。


「そうか、登録が済んだ後なら、同じ名前、で通じる訳だな」


 ちっ、さっきまで怒ってやがったのに、まぁ王子様は現金です事。


「はい、御容姿を知られている場合は、その限りではありませんが。では、アラステア様、ステータスの確認宜しいでしょうか?」


 そう言いながらもエイブラムさんは、サクサクとギルドカード作成をしてくれた。


「なるほどな、エルバート良くやった」


「おい、アラステア、そこはありがとうだろ?」


 まったく、何で上から目線なんだよ。いくら王子だからって……あれ、ああ、王子なら普通か。あ……エイブラムさんが冷や汗かいてる。ステータスから王子のレベルを見たからか?


「む、そうだな、お忍びで楽しむには言葉使いからか。ありがとな、エルバート。」


「お、おう!」


「あ、そう言う事でしたか。安心いたしました。ちなみに、ランクはどこからのスタートを致しましょうか?私の権限が許すところですと、Cまでが限界ですが」


 いや、無礼な行いの方でだったか。まあ、変に誤解されなくてよかった。


「もちろんCで頼む、コツコツと上げてる時間は無いからな」


「ちょ、俺まだDなんだけど?」


「いえ、エルバート様。更新されていないだけでもうBランクの権限をお持ちですよ? ジェイルエルダーの素材で貢献して頂いてますので。ただ、これ以上は討伐指定依頼、もしくは高ランク指定依頼でないと上がりませんのが」


 あ~、そう言えばいつも時間外に来て、現金貰ったらさっさと帰っちゃってたからな。なんか一度言われた気もするし。でも言い方があれだったから勘違いしたんだよなぁ。ランクを上げるのはどうでしょうか? とか言われたから、他に依頼をどうでしょうか? と言われたのかと思ってた。


「え? あ、じゃあ、良いか。一緒にやれるならランクは高い方が面白そうだしな」


 俺は、エイブラムさんに早速書き換えをお願いした。


「ふむ、ちなみにエイブラムよ、急いでBに上げるにはどうしたら良い?」


「そうですね、高ランク指定依頼をエルバート様とこなされるのが一番早いでしょう。それでも5回以上、討伐証明部位も大多数刈り取って来なければ厳しいと思いますが」


「そうか、では、Aは無理でもBならいけそうだな。エルバートはどう思う?」


 アラステアはチラリと視線を向けて、聞いていたが、正直ギルドは素材売りでしか活用してないんだよな、前世では活用したが、その時は100レベル前後だったし・・・高ランクは未知の世界だぞ?と思いつつも、厳しい戦いになる事は無いだろうと、適当に答えていた。


「まあ、アラステアなら問題無いだろ? 初戦闘がジェイルエルダーと言う猛者だからな」


 エイブラムさんは『なっ』と驚きの声を上げ固まっている。


「お前……やっぱりあれは異常だったんだよな?」 


 仕方ないだろ、レベリングの速さが異常なんだから。まあ、魔法使ってくるところに連れてったのはあれだが。


「そのレベルで初戦闘、ですか? あ、失礼しました。つい、不思議に思ってしまいまして」


「構わんさ、こやつにレベルを上げて貰ったのだが、金を稼ぎたいからと言い出したせいで大変だったのだ」


「だからその件は謝っただろ。男らしく無いぞ。そんなに女々しいとあーちゃんって呼ぶぞ」


「ほう、では、世話になったエルバートには婚約者でも用意してやらねばならないな? 屋敷に直接送り届けるが問題無いな?」


「すいませんした。勘弁してください。っと、そろそろ行こうか」


 と、俺達は予定調和になりつつある、文句のつけ合いを終えた後、テレポートにて先ほどの町に戻って来た。


「それでエルバート、ギルドはどこにあるんだ?」


「いや、知らねーし。それを聞くなり探すなりするのも、平民として必要なプロセスだ」


「確かに、だが、どうやるんだ? 知らないものにいきなり訪ねればいいのか?」


 ふふ、元本業の俺にそれを聞くとはな、昔は町の案内で金を稼いでいた頃が懐かしい。


「まあ、それもありっちゃありだが、こういう町の入り口には小遣い稼ぎをしている子供がいたり、何でも屋があったりするもんなんだ。んだから回れ右して門番の人に聞いて見ようぜ。いや、やっぱり門番には俺が聞いて来るか、無いとは思うが顔がバレてたらつまらんことになりそうだしな」


 そして、ささっと聞いて来た俺は、アラステアに再度言葉を掛けた。


「この町は何でも屋の方だった。そっちに店があるみたいだ、行って見ようぜ」


「そうか、まあ店で聞けるなら早くて良いな。道案内くらいなら安だろうしな」


「ほお、王子にも金銭感覚と言うのは少しはあったんだな」


「金貨二百枚をポンとだして、無一文になった貴様が言って良い言葉ではないな」


 などと、話ながら俺達は門番に聞いたお店に入った。


「あ、お客さんだよ~おねーちゃん」


 俺達が店に入るなり小さな子供がさっと立ち上がり、店の奥へと駆けて行った。


「いらっしゃいませ。どの様なご用件でしょうか?」


 茶髪で少し勝気な瞳、セミロング程度の髪を後ろで一つにくくりポニーテールの髪型をした。15歳前後だと思われる、割りと美少女な女の子が出て来た。


「そうだな、道案内を頼みたい。冒険者ギルドまでだ」


 と、予定通り、案内を頼むアラステア。


「あとお勧め宿屋もな、それとこの店はどこら辺まで請け負うんだ?」


 俺は、彼女の言葉を待たず、追加依頼を出した。


「はい、畏まりました。えっと、犯罪行為と命の危険が関わらなければ基本的には何でもやっています。その位の事でしたら。大銅貨5枚でお受けさせて頂きます」


「安いな、客層も多く無いだろうに。じゃあ、金は出すから追加でもう一つ頼みたい」 


「外からのお客さんだけでは賄えませんので、その分良心設定にさせて貰ってます。ええ、料金が追加になりますが、問題ありませんよ?」


 少女は依頼が増えた事に気分を良くしたのだろう。軽く声が弾んでいる。そんな彼女の苦労を察したであろう、アラステアが微笑んでいる。


「じゃあ、今日初めて宿を取るこいつの為に、一緒に寝てやって欲しい。いくらだ?」


 俺は、カウンターの上に金貨を三枚程並べながら問いかけた。先ほどの意趣返しである。


「何を言って居るのだ。エルバート。寝る位一人で出来るに決まってるだろう」


 あれ?何故こいつはそんなに平常心なんだ? 上級者なのか? 先輩なのか?


「え? あ、あの……そう言う依頼はこなした事がなくて……って、何で金貨なんて並べてるんですか! 困ります。」


 彼女は俺と熟練度が一緒の様だ。俺は少し安心を取り戻し口を開く。


「そうか、済まなかった。一人寝は寂しいから俺なりに気を使ったのだが、空回りだった様だな」


 俺は、おそらく俺の思惑に気が付いていないであろうアラステアと、彼女にそう告げた。


「あ、あのう、本当に私なんかに金貨で依頼するつもりだったんですか?」


 彼女は、俺の謝罪を受けて少し安心したのか、勝気な瞳を少し緩ませ問いかけた。


「もちろんだ。まあ、3枚以上と言われてはちょっと困ってしまうが。もちろん、受けても良いと思ったら言ってくれ」


「おい、何故俺に是非を問わない。勝手に話を進めるな」


 アラステアは、終わった話がぶり返しそうだったのをみて、止めろと告げて来た。


「あ、そうですよね、私なんかじゃ……」


「あ~ひどいなぁアラステアは、お前こんなに可憐な女性でもダメなの? 何様?」


「そんな事は言っていない。何故お前はそうやって脱線したがる。早く行くぞ」


 と、アラステアが要件を本筋に戻し、彼女を促し俺達は冒険者ギルドへと歩き出した。


「むう、分かったよ。うちの聞かん坊がごめんなぁ。はいこれキャンセル料。案内よろしくね」


 そして俺は、歩きながらも俺の意趣返しに巻き込んだ謝罪に彼女に金貨一枚を握らせた。


「ひゃっ、貰えません。貰えません。こんな大金を対価も無くなんて」


「貰っとけって、俺がキャンセル料として出したんだから法的にも何の問題も出ないぞ? な~あーちゃん」


 俺は、困惑して返そうとしている彼女に、そう言って出した手を押し返した。


「ああ、そうだな。そのはずだが、出さなくても問題は無かった。何を考えて居る。それとあーちゃんと呼ぶな」


 ……お前な、空気読めよ空気。


「いやぁ、俺も昔、町の案内とか町の地図を作って売ってたんだけど、これが大変なんだわ。マジで……今は稼げる様になったけど、ホントに洒落になんない位儲からないんだって。まあ、あれだ。同族意識?」


「なるほどな、だから添い寝をするだけで、金貨を出すとか言って居たのか」


 あれ? こいつ、もしかして……先輩かと思ったら後輩か? とか思っていると、少女は少し目を潤ませていた。


「そ、そうなんです~、全然儲からなくて……値段をさげて仕事増やしてもやっぱり元値が低いから稼ぎは変わらないし。もう、危険でも冒険者とか目指すしかないのかと……」


「へぇ、レベルいくつなの?」


 俺は彼女にそう、問うと、彼女はステータス観覧の許可を出した。名前はアイナか、レベルは24……これでどうして冒険者をやろうと思ったのか……まあ、出来ない事は分かって行ってるんだろうから、わざわざ指摘しなくてもいいか。


「ふむ、アイナよ、これは私でも分かるが、貴様のレベルでは冒険者は無理だぞ。もっとレベルを上げるか違う道を探すと良い。まあ、エルバートに頼めば冒険者もやれるとは思うが」


 うーん、俺はやらんほうが良いと思うぞ。結局は普通の暮らしをした方が安全で楽なのだ。幸せも掴みやすい。


「それでもかまわないが、あーちゃんが仕事紹介してやれば良いんじゃない?」 


「だからそう呼ぶなと何度言えばわかるのだ。だが、それも良いかも知れないな。アイナ、どうしたいのか決めて置け」


 あれやこれやと、彼女を無視して進めていた話がようやく彼女の方向に向くと、彼女は少し申し訳なさそうな表情を浮かべて言う。


「どうしてここまで良くして下さるのかは分かりません。が、私はあの子達がいるから、この町を離れる事は出来ませんから。それも難しいかと思います」


「そっか、じゃあ、冒険者だな。追加依頼だ、アイナを冒険者にさせろ。いや、なんか変だな。冒険者をやれ?いやいや、俺達がさせるんだ」


「おい、俺をBランクに上げる話はどうした」


 と、軽く俺を引き寄せて、小声で文句をつけるアラステア。


「そんなの片手間で出来るだろ? それよりも良いのか? これは、俺達が冒険仲間を増やすイベントだぞ? 同年代の知り合った気の良い奴らと、ドキドキワクワクの冒険を始めたいとは思わないか?」


 そんな彼の気回しはそっちのけで俺は両手を広げ、アラステアを試す様に問う。


「き、貴様、天才か! そうだ、それは必要事項だ」


 アラステアは驚愕の表情を浮かべて、賛同した。


「あのう、危険な依頼はお受けできないのですが……」


 そんな、アイナの申し訳なさそうな表情を見て、俺達はもう目の前にある、冒険者ギルドにも目をくれず足を止めて彼女と向かい合った。




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