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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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逆賊討伐戦


「デカイな……」


「そうね、まるでお城だわ」


「まあ、遠目でも分かってたけど、近くで見るとさらに圧迫感あるわね」


 俺達は、グラディスの屋敷を見上げながら、思わず呟いていた。


「コラァ、子供が近づいて良い場所では無い。これは警告だ。早く塀から離れねば、痛い目に会うぞ!」


 俺達は、門の場所が分からず取り合えず壁伝いに歩いていると、いきなり怒鳴られた。


「あ~、俺は国王陛下の使いだ。書状もある。門へ案内しろ」


「なっ、と……取り合えず書状を確認させて貰おう」


 警備兵は、こちらに書状の確認を求めた。当然だな。


「もちろん構わないが、一つ、注意事項がある。その書状を少しでも破損させたら、この屋敷の者全員が死ぬと思え」


 俺は、そう言いながら、警備兵のおじさんに書状を渡した。


「そ……そんな馬鹿な……これは本当なのですか?」


 警備兵のおじさんは読み進める程、書状を持つ手が震えて行った。


「ああ、国王陛下は大激怒だ。だが、安心しろ。この勅命に従う者は討つなと命を受けている」


「は・・・はいっ、もちろんであります。国王陛下に逆らうなど……」


 と、彼は跪いて、頭を下げた。再び案内を求め、彼の案内で門までたどり着いた。


「さて、始めるか」


 と、言って、俺は案内をした彼を含めて4人いる門番の前に、書状を広げ言葉を発する。


「これより、国王陛下の勅命により逆賊グラディスを討つ、邪魔する者は排除して良いとお達しを受けている。死にたくない者は道を開けろ」


「なっ、ふざけるな! クソガキ。冗談じゃ済まされないぞ。領主様を討つと言ったからには」


 と、門番の一人は槍を突き出した。その槍を掴み言葉を返す。


「俺は勅命だ、と言ったぞ。即座に伝令を出せ。あ、いや……逃げられても面倒だな」


 うーん、どうしようかなぁと、門番の彼らをそっちのけで思考をめぐらした、槍を掴まれた彼は、両手で全体重を掛けても微動だにしない事に愕然としている、そして、門に案内をして貰った彼に耳打ちをされていた。


「ええと、お兄? 書状見せても引かないのは殺すんじゃ無かったの?」


 ジェニは懐疑的な目を向けて、問いかける。


「まあ、そうなんだけど。俺達の容姿のせいってのもあるかなぁなんて……」


 流石に子供だけで書状を持ってきてそれが勅命ですー従わなければ殺しますーは可哀そうかなぁと……


「言いたい事は分かるけど、まあいいわ。私も虐殺したい訳じゃ無いし」


 ジェニはそう言って納得した。


「そうね、でも、ここまでよ? ここから先はやらなきゃ危険だと思う」


 ケイは、ここを超えてからは同じ事をしては危険だと、危惧している。


「うーん、良く考えたらさ。グラディスとっ捕まえれば他の奴は殺す必要ないじゃん? だからさ、ある程度身分の上の奴捕まえて、案内して貰うだけで良いんじゃないかなぁとか……」


 そう、ジェニが言っていた様にただの虐殺になってしまうと思う。敵意を持って攻撃したのは、グラディスだけなのだから。いや、正直言うと兵を向けた側の人間なのだから構わないと言う気持ちもある。だが、でもやっぱり、アナベラさんが言っていた様に恨まれたりもするだろう。だから、穏便に行けたらいいなぁ位に思っているのだ。


「まあ、あれだ。ケイ、ジェニ、不測の事態が起きても俺がお前達を守る。だから、我儘を許してくれ」


 うーん、俺って計画性無いなぁ、もっとちゃんと考えなきゃなぁ。ケイは怒って無いだろうか……


「まったく、勝手なんだから。好きにすればいいわ」


 俺は、ケイの表情を見てほっとした。ケイは、口調とは裏腹に笑みを浮かべている。


「じゃあ、取り合えず門を開けて上司の所まで案内して貰おうか」


 と、俺が告げると、4人の門番は直立不動になっており、一人が即座に動き出し、門が開いた。




 だが、その先の光景は思いがけない物となっていた。


「……お兄? 話し合うの?」


 と、ジェニが問う。俺達の視線の先には、完全に武装した兵士たちがずらりと並んでいた。少なく見積もっても800人くらいはいるだろう。


「……これは予想してなかったな、他にも見張りが居たか? 取り合えず一言は入れないと不味いよな」


 可笑しいな、魔力感知が上手く出来ない。そう言う術式があるのか? まあそれよりも、書状を見せても従わない者と言われている以上、一度は提示しなければ命に背いた事になりかねないのだ。なので、俺はもう一度書状を開き、大声で警告する。


「国王陛下の勅命が下った。これより我らの行動を妨げる者は、逆賊として討つ。討たれたくない者は武器を捨て道を開けろ。この警告に二度目は無い。心せよ」


 あ~これで下がってくれたらいいなぁ……と心底思いながら告げた。そして、彼らは少しざわついた。


「これ、三度目くらいじゃない? お兄、甘すぎてもダメよ?」


 と、ジェニが言うと同時に書状に向けて、中級火魔法、ファイアーボールが飛んできた。


「ああ、分かってるよ。さっきの警告はポーズだ、兵を集め待ち構えていた時点でこの結果はさけられなかっただろうな」


 俺は、そう言いながらも書状を懐に戻して、魔法を避けて、敵になった者達に視線を向けた。だが、まだ動く気配はない。どういう事だ? もう決裂してるだろうに。


「へぇ、魔法は避けるんだ?」


 と、ケイはきょとんとした顔で問いかけた。


「まあ、大丈夫だと思うけど、書状が燃えちゃうだろ? いや、それよりちゃんと前見とけよ。流石に油断し過ぎだぞ?」


 俺は、戦時にそぐわない顔をしているケイに注意した。


「ん、分かった」


 ケイは割と胆力があるらしい。何一つ緊張してない面持ちで頷いた。


「じゃあ、警告はしたし進もうか。無駄骨になりそうな予感しかしないけど」


 こんなに即対応して来たんだ、おそらく今も見てるだろうし。転移魔法陣も持ってるだろう。だが、ここを落とし、伯爵の権威を振るえる場所から、叩き出すだけでもやっておかねば。 


「あ~そうよね、逃げるわよね。見つけたら即殺?」


 ジェニは、敵兵から一切目を離さず、武器に手を掛けたまま問いかけた。


「そうだな、それで良いと思う。逃げられたらまた何かあるだろうし、殺れそうなら殺って置きたい」


「了解」 


 と、受け答えをした瞬間、敵が動きを見せた。距離にしてまだ20メートルはあったのだが、そこからさらに距離を取り始めた。しかも全力で。そして俺は、その瞬間全力でアースウォールをドーム状に張った。


「え? お兄? 何やってんの?」


 ジェニは、何故いきなりこんな魔法を唱えたのか分からずに、疑問を投げかけた。


「多分あいつら、大規模魔法の詠唱中で動かなかったんだと思う。あ、やっぱりうちやがった」


 俺は、魔力感知で魔法が発動された事を確認し、二人に告げた。


「ここに居るって事は防ぎきれるのよね?」


 ジェニは視界が閉ざされたせいか少し慌て気味に早口で聞いて来た。  


「分からん」


 本当に分からなかった俺は正直に答えた瞬間ゴォォォォオオオオオっと、凄い音が中に響いた。


「え゛っ?」


 と、反応を即座に帰したのはケイだった。あれ? さっきの余裕はどこ行った? ああ、俺が守ると言ったからか?


「まあ、アースウォールを壊されてからでも転移で飛べるしな」


 ケイは、口を尖らせ『最初に言いなさいよぉ』軽く涙目になりながら睨んで来た。む、なんか可愛い。


「と、終わったようだな。じゃあ、解くと同時に固まって特攻掛けるぞ。俺が前に出る、二人は左右に、少し下がり気味に当たれ」


 そう告げると、二人は表情を引き締め頷いた。それを確認した後、アースウォールを解いて防壁の残った土の塊を切り裂き、俺達は前進した。すると、先ほど下がって行った兵士たちがこっちに向かって走り出し、その数300前後、その後方ではおそらく再度大規模魔法の詠唱に入っているのだろう。


 俺達は、兵の数など気にならない言わんばかりに真っすぐ前進して、敵兵を切り裂きつつ前進した。


「……弱いね。お兄が居なくてもどうとでもなりそうなくらい」


 ジェニは、一撃一殺と、言わんばかりに一人一人倒している。


「まあ、確かにな。だが、強いより良いだろ」


 俺は、蹴りを混ぜて数人を吹き飛ばしつつ歩を進める。


「当然ね」


 ケイは、行動不能にさせたり殺したりとまばらだ。


「ケイ、ちゃんと殺りなさい。半端が一番良く無いわ」


「分かった。前進を優先してたけど、このテンポなら殺れそうね」


 と、ジェニとケイは視線を交わさずに話を終えた。そしてその頃には300人の横並びになった隊列を食い破り、敵の後衛が見え始めていた。


「そう……だな。半端が一番良くないよな。二人とも、おいで」


 俺は、敵の総数を完全に目視で収めた。それから、二人に向かって手を広げ、いつもの様においでと二人を呼んだ。


「おいでって、今なの? もう」


「ふふ、お兄、何するの?」


 二人は、普通なら叱責する場所にも関わらず、ためらいもせずに近寄った。俺は、ひたすら魔力をひねり出した。


「ウォォォォオオオオオオ、テレポートォォォオオオ」


「「ぶはっ!」」


 と、ジェニとケイが噴き出した後、辺りは静かになり、俺達は三人だけになっていた。


「ちょ、お兄何やってんの? え? ええ?」


「……何したかは分かるけど、言葉が出ないわ……」


 俺は、残りの700人近い人を転移で飛ばした。ここに来る為にと飛んでいた空へだ。一応あまり人目に付かない様にと結構な高度を飛んでいた為、今しばらくは落下中だろう。


「ほら、あそこに飛ばしたんだ」


 俺は、飛ばした方角を指差し、言われれば何かが落ちてきているのは確認できる程度の大きさの彼等を手で日よけを作る様に眺めた。


「鬼過ぎる。さすが、おにぃ」


 ジェニはお気に入りなのか、また俺を鬼と言った。止めて欲しい。殺そうとしてきた相手なんだよ?


「あ、それでおにぃなの? 私もおにぃって呼ぶ?」


 何故かケイも乗っかった。


「そんな訳あるか!!」「ダメよ!!」


 俺とジェニは同時に否定しつつも、意は沿わなかった。そして、ケイは分かって言って居たのだろう、否定されたのにしたり顔で嬉しそうだった。


「っと、一応グラディス探そうぜ? もう逃げただろうけど」


 俺は、命令を受けたからには、やらないとだろ? と、促した。


「あ~うん、そうね」


 ケイは、普通に同意してくれた。だが……


「うーんこの城と言うかお屋敷はどうなるんだろ」


 と、ジェニは何故か話を変えた。


「新しい領主が入るだろ? 普通に考えたら」


 俺は、もう逃げられていると思っていたので、普通に受け答えしたのだが。


「あ~そうよね、でも私達が戦闘で壊しちゃったりとか……しても良いのよね?」


 ……何故だ?


「え? 壊したいの? そう言う趣味なの?」


 そう言うの好きなの? お兄ちゃんちょっと困る。と言うか怖い。と思っていると、何故かほっぺをつねられた。


「違うわよ。転移で、持って行っちゃわない? 家焼かれた代償として。人をあれだけ飛ばせるなら出来るんじゃない?」


 ……もっと凄い事言い出した。え? イヤ、ありなの? あーうん。物の方が指定楽だし、頑張ればもしかしたら出来るかもだけど。


「そうね、エルの功績から考えて、大丈夫じゃないかしら。奴を捕らえられなくても脅威の排除をしたのだし」


「あ、そっちもあったか、勅命で動いてるんだった。うち漏らしとか平気なのか?」


「大丈夫に決まってるじゃない。大勢力の逆賊に立ち向かい敵兵力の大半・・・と言うかほぼ全滅させたのよ。うちらはこれを報告したら、褒美を貰って終わり、が普通の流れよ。後は指名手配になって、私達にはやりたければ好きにしろって事になると思うわ」


「ケイはそう言うの詳しいんだな」


「まあね、これでも貴族だから、勤めに関する事はちゃんと勉強したわよ。まあ、エティはそう言うの怪しいけど」


「じゃあ……貰っちゃうか?」


 と、俺は、深く考えず、村を転移で覗き見て、人が居ない場所を確認して、全力全開で屋敷と、内部すべてを指定して転移魔法を唱えた。


「多分、これで送れたはずだ」


「ホントに出来るのね……」


 ケイが呆れている。うん、俺もちょっと自分でも思った。あ、出来るんだ?って・・・・まあ、MPをとんでもなく消費したが。


「なんか、滅ぼしつくしたみたいに見えるわね」


 え? 止めてね? 違うからね? あっ、違わないかも……


「言うな、戻るぞ。テレポート」


 そうして、俺達は、村へ戻った。流石にここまでやったのだ。俺の怒りは収まっていた。そして、自責の念だけが残った。俺は報復の事より、これからの村の防衛の事で頭が一杯になっていた。


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