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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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攻める為に。


マクレイアー公爵邸・執務室


「姉さん、失礼します。緊急です、お時間を頂いてもよろしいですか?」


「え? あ、エル君? 良いけど、説明してくれる?」


「はい。ですが何度も説明するのもあれなので、移動した先で良いですか?」


「あら、緊急じゃ仕方ないわね。分かったわ」


「じゃ、転移します。テレポート」


 と、俺は、王宮内部謁見の間に直接転移した。その瞬間兵が周りを囲み込んだ。


「よい、下がれ」


 国王陛下は俺達に視線を向けた後、兵を下がらせた。


「坊や、なんて所に飛んでんだい。手順を守れといっとろうが」


「あらあら、エル君はせっかちねぇ。ひさしぶりね、お父様」


「む? おお、良く来たな、我が愛しき娘よ。いや、マクレイアー公爵よ。先の事件を聞いた時には肝を冷やしたが、今ここに来たのもその件か?」


 俺は、アナベラさんと姉さんに何か言われたが気にせずに口を開いた。


「国王様、いきなり失礼しました。ですが、緊急の要件でございます。お許しください」 


「ふむ、お主が緊急と言うのなら、そうなのであろうな。して、何があった」


「グラディスが、私が代理で管理させて貰っている領土に兵を向け、領民を殺しました。ここに居る男がその兵の隊長かと思われる男です。名目は不当に領地を占拠した? だっけか? おい。国王陛下に説明して差し上げろ」


 そう告げると、男はやっと放心状態から解けた様で、陛下に向かって地に頭をつけながら説明し始めた。


「わ、私が受けた命令は、グラディス伯爵領の端に不当に村を作ってる者が居ると、おそらくは盗賊のねぐらだと思われ、壊滅させよと……ですが、集めてみれば普通の村人だったので……判断を迷っている間に……」


「誰が保身の言葉を入れて良いと言った」


 俺は、長々と続きそうな言葉を遮った。


「ひっ、申し訳、ございません」


 と、説明を終えると、姉さんが顔を青くしていた。


「……エル君、ごめんなさい」


 姉さんは気まずそうに、俺に謝って来た。


「何故、姉さんが謝るのですか?」


 俺は、その意図を読めず聞き返した。


「私が、彼と会いたいが為に、エル君を社交界に連れてった事が元凶よね?」


 ああ、なんだそう言う事か。それを言うならば立場を考えず安請け合いした上に対策を取らなかった俺の責任だ。……そうか、俺の責任だな。頭に血が上って思考能力が落ちてるみたいだな。


「いいえ、違います。事の発端はグラディスが姉さんを無理やり手籠めにしようとした事、常識が一切通じない程、低能だった事。それに尽きます」


 俺の責任だと言い出してもきっと意味が無いので、元凶を示し首を横にゆっくりと振り、姉さんの言葉を否定した。


「なるほどな。話はわかった。して?」


 国王陛下が、一つ頷きこちらに視線を向けた。


「はい。グラディスを、俺の手で討つ許しを請いに来ました」


 そう、それだけを許して貰えれば、目的は達成する。


「え? エル君?」


 姉さんが少し慌てているが、何か困る事でもあるのだろうか?


「ふむ、話を聞く限りだと理由としては弱いな、それの許しは出せぬ。わしとて、法を無視してほいほい事を進められる訳では無い。だが、やってしまった後に報告に来る分には、ある程度の処分で済ませてやる事は出来るが」


 それは、そうだろう。俺は平民、相手は伯爵、名目上は盗賊の討伐。それが勘違いだったから死ねとは言えないだろう。だが、だからと言って引く気はない。ある程度の処分は受け入れよう。


「ふむ、ジュリウス、わしはその処分を受けさせとうなくてここに連れて来たのじゃ。どうにかならんか?」


 俺が、思考している間にアナベラさんが口を開いた。なるほど、名前で呼ぶほどの旧知の仲なんだな。


「アナベラか、久しいな。うーむ、そうじゃな。じゃがのぉ……ちなみにルクレーシャよ、グラディスは何と言ってお前を馬車で連れ去ろうとしたのだ?」


 陛下は、ひげを弄りながら考え、姉さんに拉致られそうになった時の詳細を求めた。


「えっと、調教してやればどうとでもなるとか、エル君を殺せとか、この女は馬車へぶち込めとか、他なんか言ってたかしら? まあ、エル君がびしっと収めてくれたけどね」


「ちょ……調教じゃと? わしには恋心を抱いていて強引に連れ去ろうとしたとしか……ふむ、死刑! エルバートよ、許す、やってこい。勅命を出す。その書状を見せても止まらぬものは切り捨てて構わん。」


 国王は、調教と言う言葉にビックリした後、ふつふつと激怒していった。うん、俺も姉さんみたいな娘が居たら溺愛するわ。


「はぁ、王になっても変わっとらんのぉ。まあ、わしが行くとか言いださんだけでも、変わったと言えるか」


 アナベラさんは溜息をつきながらもニヤついていた。


「ありがとうございます。良かったです。何としてでもと、決めていたので」


 俺は、国と敵対する必要が無くなった事に安堵して。お礼を言った。


「あ、え? ちょっと待って! エル君? どうやって討つつもりなの? 下手したら千人規模で相手しなきゃいけないのよ? 150レベル以上も結構いると聞くわ。そんな危ない事おねーちゃんは許しません」


 姉さんは自分を責めていた事で思考をそっちに取られていたのだろうか?今更になって焦り出し、行ってはダメだと言い出した。


「心配してくれてありがと、姉さん。俺は大丈夫。その理由を姉さんだけに後で教えるから」


「本当に大丈夫じゃ無かったら許しませんからね?」


「はいはい」


「むう、仲が良いのだな。して、エルバートよ、どうじゃ?」


 陛下は真剣な表情で問いかけた。だが……


「どう……とは?」


 俺は何が言いたいのか分からずに問い返した。


「うむ、あやつの貰い手候補はろくなのがおらんでの。却下し続けたは良いが。このままでは行き遅れてしまうでの」


 ああ、そう言う話ね? うん、それはもう先約がいるしね? あ~でもこれは内緒だったりするのだろうか……


「ちょっと! お父様? 余計なお世話です。エル君は大切な人だけど、弟です。私にはルディ様と言う心に決めた人がいるんです! あっ……」


 姉さんは勢いついてルディの事を口にしてしまった様だ。言った後にハッとした顔をしている。


「はぁ、まだ言っておるのか。打診はしたが無理じゃったといっとろうが」


 ん? どう言う事だ? あ、もしかして姉さんは昔から?


「エル君お願いっ、ルディ様には今の内緒にして。やっと普通に話せるようになって来たのにおねーちゃん恥ずかしくて死んじゃう」


 姉さんは顔を赤くして、懇願した。だが、ブルータスさん情報だと話せてはいないはずだが?


「ほう、その様子だと、エルバートが引き合わせてくれたのかの?」


 陛下はにやりと笑いながら聞いた。


「ええ、姉さんに頼まれまして。上手く行くかは当人次第ですが」


「うむ、出来るならそれが一番良い方法じゃの」


 ふう、許さんとか言い出さないで良かった。


「ああ、わたしゃくる必要なかったのぉ。坊やはやっぱり面白い。ジュリウスも思わんか?」


 アナベラさんは肩をすくめながらもひっひっひと笑っている。ちょっと怖い。


「それはそうじゃろ。つまらぬ男のはずは無いよのう? 大英雄フェルディナンド・アルフ・ミルフォードよ」


 と、国王は言った、うーん村人にはまだ言って無いんだけど……ホントこの国の人って口が軽い。


「ん? なんじゃ? 何故今その名が出る」


 あ~ここで否定するのもなぁ。まあ、今居る住人にだけなら広まっても良いか。


「えーと、記憶を引き継いだと言うか、生まれかわりなんですよね。まあ生まれ変わったのだから別人ですけど」


「道理で強すぎる訳じゃ……そこの騎士の剣を頭に受けて傷ひとつ付かぬなど、可笑しいと思っておったが」


 アナベラさんは少し唖然とした後、納得した。


「ふむ、グラディスの手の者よ、発言を許す。今何レベルじゃ?」


 陛下に言葉を掛けられビクッした騎士は即座に言葉を発した。


「はっ、176レベルでございます」


「なんじゃと……エルバートよ、この前100レベルちょっとと言っておらんかったか?」


 ああ、そうか。前に挨拶に来た時にレベル明かしたっけ?


「ええ、あれから上げました。俺にしか出来ないであろう無理やりなやり方で。あ、もちろん魔物でですよ。」


「詳細は明かせぬか?」


「いえ、問題ありませんが、真似は出来ませんよ?」


 そう、520レベルの魔物を索敵して、遠くのものを転移で飛ばすと言う行為は無理なはずだ。俺は、MPの使用量を代償に無理くりやっているが、多分普通の魔力量の人には無理だと思われる。


「構わぬ、グラディスを討った後にでも聞かせよ」


 国王陛下は面白い事見つけたとでも言わんばかりの顔で言って来た。


「ええ、お約束致しましょう」


 俺は、特に問題は無いと思い。了承した。


「では、国王陛下、失礼致します」


「うむ、これからはちゃんと話を通して来い。すぐ通す様に通達はしてあるでな」


「ありがとうございます。それでしたら、今回も直接くる必要は無かったですね。すみません」


「よい、お主にはそれ位許せるくらいの借りがある。わし個人としてではなく、国としてな」


「いや、俺も、借りがありますしね。父さんなんで謝ってくれないんだろう」


「まったくじゃ。あやつはつまらん事ですぐ駄々をこねおる」


「のう、帰るんじゃなかったのかえ、坊や」


 話が別の方向に進んだのを見計らってアナベラさんが気をきかせてくれた。


「ああ、そうでした。姉さんもすみません。送りますね」


 説明もせずいきなり連れて来た姉さんにも謝罪をした。


「ええ、お話もあるものね」


 そうだった。姉さんには、証明をしなければいけないんだった。


「では、テレポート」


 俺は再び公爵邸執務室に転移した。


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