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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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双子の決意と空いた穴


 俺はじいさんばあさんの長話を回避する事に成功して、外で待っていた双子に改めて質問をした。


「さて、これで落ち着いて話が出来るな。チェルシーは魔道学校で決定として、キャロル、お前はどうしたい?学校でも、行商人でも、俺達が住む屋敷の家事でも、まあ他の事でもいい。したいと思う事を行って見ろ」


 キャロルはそわそわしてチェルシーを見たりうつむいたりとせわしない動きをしている。確かに、元々決まっていた訳では無いのなら、普通は即答できる問題でも無い。


「私は……私は、エルバート様と一緒に居たいです。お役に立ちたいです。沢山の物を頂いたので、沢山のお返しがしたいです。でもそれにはどうしたら良いのかわかりません。ごめんなさい」


「私も!私も気持ちは一緒です。後おねーちゃん、後でお話があります」


 うーむ、こいつらはどうして屋敷の家事全般をこなしているのにこう思うのだろうか。と言うかこの崇拝みたいなのを無くしたいなぁ。どうしたらいいんだろう。情けない所でもみせるか? いや、屋敷で見せている気がするな。主にジェニのせいで……あ、そうだ、全力で甘やかしてみるか。そうすれば少し位我儘言う様になるんじゃないか? うん? なんかチェルシーの目が怪しく光った様な……


「よし、じゃあこれから考えてくとして、取り合えず、今日はずっと一緒に居ようか」


「「は、はいっ!!」」


 そうして俺達は、再び王都に転移して、彼女達に高めの服をプレゼントして、高級料理店で食事をして。御菓子を食べ歩きながら町を散策していた。そして……


「あ、あの……エルバート様。私、幸せ過ぎて怖いです」


 と、キャロルが唐突に言った。


「私達は今日死ぬんでしょうか?」


 チェルシーは若干青い顔をしてそう言った。


「私は死の対価がこれなら受け入れようと思う」


 おい! キャロルそんな事言うなよ! どうしてこうなった? さっきまで楽しく散策してたじゃ無いか! 


「待て待て待て待て。どうしてその結論に至った? いや、そうじゃ無い。何があっても、お前たちは俺が守るよ。だから安心しろ」


「本当にエルバート様は、何があっても守ってくれそうです」


 うん? あれ? なんで悲しそうなの?


「うん、自分の事をないがしろにしてでも、平然と笑いかけてくれそうです」


 いや、お前たちを守るのは俺のやりたい事でもあるからね?守れたらほっとして笑うだろうよ?


「「私、やりたい事決まりました」」


 あれ?なんで覚悟が決まったみたいな顔してるの? 今危険は無いよ? いや、平常心だ、主としての威厳を忘れてはいかん。


「お、おう! なんだ?」


 キャロルとチェルシーは俺の目をしっかりと見てゆっくりと口を開いた。


「「私は、貴方を守りたい」」





 それから、彼女達は学校に通いたいと言って、俺はそれを受け入れた。キャロルは魔法学校、チェルシーは魔道学校に行きたいと言った。なので姉さんに紹介状を書いて貰い、無事入学試験も突破した。通うには遠すぎる事もあり、寮生活をする事に決まり、一時的ではあるが離れ離れになってしまった。


「と、まあ、そんな事があったんだ」


 そう、俺が今日の経緯を説明したその先には、ジェニ、ミラ、エミール、ローズが座っている。


「随分と唐突だねぇ。エル、なんかしたんじゃない?」


 この小動物め、なんて失礼な、うーんでも少し自信ないかも。


「あら? この顔は自信が無い時の顔ね。白状なさい」


 おい、分かるからって赤裸々にするの止めてね。いや、その前にどうして分かる!


「思い当たる事は無いよ。ただ俺は、崇拝されるみたいな関係は嫌だから、学校に通ってみないか? とか色々世話を焼いてみたんだ」


「あん?なんで世話を焼くと崇拝されなくなるんだ?」


 む、そう言われると……


「いや、何となくそう思ったんだよ。ほら、おとーさんおかーさんみたいな?」


「お父さんは知らないけどお母さんが子供の世話を焼くとか、ありえないでしょ。お兄なんかごまかしてない?」


 ジェニよ、家は特殊なんだ。そろそろ世間を知りなさい。


「私の知っている限りだと、親は子の世話を焼くと言うご主人様の感覚で正しいと思うのですが」


 はぁ、最近はローズが癒しだな。エミールがうらやま……いや、そうでもないか。


「まあ、何にせよ、これからはキャロルとチェルシーに家事をやって貰う事は出来ない。よって、これからどうするか会議をしようと思う」


「はーい!分担するなら私は料理やるぅ」


 と、ミラは手を上げ意見を述べた。


「そうね、私はお兄のお世話する」


「おい、それは違うだろ!」


 俺は、即座に却下して他の意見を待った。


「ん~あ~、俺は家事とかはやった事無いしなぁ、ローズは何かあるか?」


 まあ、ローズ以外のメンバーは家事なんてろくにやって無いだろう。俺とパーティーを組んでずっと薬草採取と狩りをして来たんだから、ジェニは……あれ? ジェニは出来るんじゃ無いか? と、視線を送るとジェニは笑顔を振りまいた後、さりげなく目をそらした。


「そうですね、ご主人様は領主様でもありますし、執事かメイドを雇ってもいいのでは無いでしょうか?」


「「「「それだ(よ)」」」」


 と、満場一致で可決した。


「でもそれってどこかで斡旋してくれたりするのか? 自分で探せるもんじゃ無い気がするんだが」


 他の人ってどうしてるんだろう。良く聞くのは代々使えている家系があるとか? でも、その最初は?


「はい、基本的には村人から雇うか、貴族同士のつながりで探します。ご主人様の場合ですと、公爵様しかいらっしゃらないので後者は少し難しいかもしれません」


 村人からってのは却下だな、元々少ないのにこれ以上、人手は減らしたくない。


「ああ、姉さんは自分の従者ですら不足気味だったもんなぁ」


 と、言うとローズは気まずそうに視線を落とした。


「まあ、あれだな、ゆくゆくはローズが育てて姉さんの所に補充するとかしたら喜ぶんじゃないか?」


 俺がそう告げると、ローズは顔を綻ばせ、顔を上げた。


「それは、是非! 是非!! 私にやらせてください」


「とまあ、その前のどこから引き抜くかって所で困ってる訳だが。ああ、アシュリー殿に聞いて見るか。いや、カディネット子爵でもいいか」


「え? アシュリー殿ですか? 侯爵家の当主に着いたあの?」


 ローズは目を見開き、自分が思い浮かべた人物であっているのかと質問をした。


「ああ、前世で知り合いでな、この前姉さんと言った社交界でも顔合わせたし」


「「社交界!?」」


 今度はミラとジェニが目を見開いた。


「なんか、すっげぇな、エルがどんどん遠い存在になって行ってるじゃねーか。俺も頑張らねーとな、絶対に守りたいもんが出来たんだし」


 エミールがこぶしを握り、決意を示す様に真剣な表情を作ると、その握りこぶしにそっと手を乗せて「一人で頑張る必要なんてない」とローズが言葉を掛け、二人の世界が出来上がりつつあった。


「ねぇっ、ねぇっ!エル、あれ私もやりたい」


 あれを、どうしてやりたいんだか。まあいいか。


「良し、いいぞ! 俺! 超頑張るぜ」


 俺は握りこぶしを作りながらそう言った。ミラはローズの真似をする様に手をのせて、『一人で頑張る必要なんて無い』といい顔で言い切ると、ジェニが私も私も~と笑いをこらえきれなそうにしながら手を乗せて笑いながらセリフを言い切ると、ローズとエミールは唖然とした顔でほおを赤くしていた。


「お前ら、酷くね?」


「会議で二人の世界を作るからだ。そう言うの禁止って言ってあるだろ?」


「うぐ、そうだった。すまん」


「まあ、いいさ。それより続きだ。ローズ、質問させてくれ。俺が、子爵と侯爵二人に頼む事に問題とか失礼とか発生しないかな?」


「はい、基本的にそう言う行為は繋がりを大切にする為に行います。打診をする際失礼な事を言わない限りは相手次第ですので。ただ、お世話をして貰った以上はある程度は相手を立てて接しないと悪評がたちます」


 なるほどな、ふむ、社長とか政治家とかそんな感じの世界か?まあ、どっちも詳しくは知らんけど。


「なら問題は無さそうだな、一応姉さんにも一言掛けてから頼みに行こうかな」


「はい、もちろんそれは必要な事です。紹介した立場に居るルクレーシャ様が知らないと言うだけで恥になります」


 ああ、そうなるか、そうだよな。認識が甘かった。


「ローズ」


 俺は真面目な表情でローズを呼ぶと……


「は、はい」


 ローズは焦ったように声を上げた。


「本当に助かるよ、ありがとな」


 俺は頭を下げて、感謝した。


「い……いえ」


 ローズが恐縮してる横でエミールが何故か胸を張り、これでもか! と言う位にドヤ顔をしている……うぜぇ。イラッときた俺は、エミールに一言、言って置くことにした。


「今のローズとお前じゃ、相当頑張らないと釣り合わないんじゃ無いか?」


 エミールは、ガタッと椅子を鳴らし、ちょっと俺狩りにいってくるから後よろしく。と出て行った。そしてそれを嬉しそうに見守るローズ、本当にいいカップルだな、こっちは色々綱渡りだってのに。いや、それは自業自得だけども……


「あ、待てよ。ローズ、他国の貴族から斡旋してもらうってのは反則だろうか?」


「ええと、いえ、申し訳ございません。そのような話を聞いた事が無いので」


「そっか、了解。取り合えず姉さんの所にいってくる」


「あ、私も行っていい?」「じゃあ私もぉ~」


「ああ、そこから先は一緒に行けるか分からないけどいいか?」


 俺は、一応確認をして二人とも頷いていたので二人を連れて、姉さんの部屋の前に転移をした。良く考えたら、屋敷の中に直で転移って……よく考えなくても、だな。と、考えつつも俺はドアをノックした。


「姉さん、エルバートです。今、お時間宜しいでしょうか?」


 と、声を掛けた時、俺は冷や汗をかいた。部屋の中に二つの魔力反応を感知したからだ。魔力の大きさ的に一つは姉さん、もう一つは分からない、だがブルータスさんでは無い、来客中という可能性が高い。


「あら、エル君?いいわよ~入って入って」 


 と、いつもの気の抜けた声が聞こえて来て俺は胸をなでおろした。そして、扉を開けると、そこには姉さんと、カディネット子爵が向かい合って腰を下ろしていた。


「やあ、聞いているよ。久しぶりでいいのかな?元第七王子様」


「お久しぶりです。ってこの前会いましたよね?それと王子様は止めて下さいと言ってるじゃ無いですか」


 そう、このカディネット子爵は前世でもかかわった人物であり、少し貸しがある人物でもある。王の小間使いや、まめな男、との評価を受ける男でもある。


「はは、本当でしたか。聞いていたとは言え、信じられない物がありますな」


 そりゃそうだ、じゃあ最近は慣れて来た、自己証明でもするとしようか。


「では、手っ取り早く信じて頂くために昔話でもしますか?酷い見世物にされた思い出とか」


 そう、社交界の出し物にされ、何の準備も無いままに力を見せて欲しいと壇上に上げられたのだ。あの時は焦ったね。魔力感知の高さを見せようとしてたら敵国のスパイを発見しちゃうし。


「あちゃー、そっちで来ましたか。これは疑いようがない、陛下の暗殺未遂の話かと思ったのですが」


 まあその話と変わらないでしょ。そのスパイが暴れ出した訳だし。


「あれは、暗殺未遂と言うよりスパイが見つかってやけっぱちになっただけでしょう」


「それでも君がいなければ危なかったんだ。その後の事も含めて感謝している」


 まあ昔の話ですし、と俺が彼との話にひと段落させると。


「もぉ~女性陣をほったらかしなんて、紳士の片隅にも置けないわ、ねぇジェニちゃんミラちゃん」


 と、姉さんがいつもの様に気を聞かせてくれた。


「そうだよぅ。エル、ちゃんと紹介してからお話してよぅ」


 ミラは姉さんに抱き寄せられて、気持ちが大きくなっている様だ。いつもなら知らない人がいると縮こまっているのに。


「そうね、お兄は、もうちょっとそう言う所学ばないとダメね」


 ああ、まったくだな。ローズと話している時から思っていたよ。


「ああ、すまない。ええと、カディネット子爵、こっちの二人は私の連れで、ジェニとミラです」


「ふむ、私は、シェイン・カディネット。子爵の位を授かっている。よろしく」


 ジェニとミラは、緊張した面持ちで頭を下げた。


「それで、エル君たちは何しに来たの?」


「ええとですね。キャロルとチェルシーを学校の寮に入れたので。メイドか執事を探そうと思っているのですが、前世繋がりでミルフォードから連れてきたら不味いですかね?と言う話を相談させて貰おうと」


 俺は、この世界の常識などまったく知らないので、恐る恐る聞いて見ると。


「あ~、うん、大丈夫じゃないかしら。一応、国に話を通して置けば、何かあっても安心ね。でも本来ならば私が紹介するべき所よね。出来ないのが心苦しいわ」


 お、ならば、彼女達に会いに行く名目がたつな。ふふふ、待ってろよ!


「ふむ、では私が紹介いたしましょう。いや、是非にさせて欲しい。いつか借りを返したいと思っていたのにあんな事になってしまって。いや、失敬。是非、受けて欲しい」


 あ、あれ? 待ってくれ、恩をあだで返すのか! アイリ達に会いに行け無くなるだろ! って言っても知らないもんなぁ。完全に好意でだもんなぁ、ありがたいけど、悲しい。


「ありがとうございます。是非お受けさせて頂きたい」


「ああ、よかった。では早速手配いたしましょう。お住まいはどちらで?」


「うーんエル君転移できるし、うちに来てもらって連れてった方が早いんじゃない?」


「そうですね、そうして頂けると助かります。お恥ずかしながら今現在うちには家事が出来る物がおりませんので」


「では、明後日までには人員の用意を致しましょう、早速話を回してきますので、私はこれで」


 カディネット子爵は張り切る様に笑顔を浮かべ、姉さんに向かって一礼した後、颯爽と退室した。


「あれ? 姉さん、お話し中だったのでは?」


「大丈夫よ、エル君。本題は終わっていたから、この前の件で心配してきてくれたの。グラディスの近隣の貴族にも話も回して動向を伺ってくれているみたいだし、本当にありがたいわ」


 流石、まめな男との評判を持っているだけはあるな。


「そうでしたか、ちなみに姉さんは屋敷の家事はどうしているんです?」


「ふふ、よくぞ聞いてくれました。うちのブルータスは凄いのよ、掃除何て魔法でちょちょっと終わらしてくれるんだから。ねっ、ブルータス」


 うっわ~、聞くんじゃ無かった~考えてみたら俺も出来るわぁ~……いやいや、領主が直接やる仕事では無い。


「お誉めに頂きありがとうございます。主様」


 と、扉の向こうで声がした。はい、この人はプロです。俺でもわかります。その後、彼は静かに入室し、姉さんの背後に立ちそっと目を閉じた。


「凄いですね、戦闘能力も高いのに」


「お兄、何で分かるの?」「え?ジェニちゃんは感じなかった?」


 と、二人は子爵が帰った事で、気楽に会話に参加しだした。


「魔力反応がでかいのと、身のこなしだよ。ジェニとミラ二人がかりでも勝てないよ。」


「あら、自分は入れないのね。エル君」


「あ~、俺には反則魔法がありますから……それ以外の能力では勝てませんよ?」


 と、俺が素直な自己評価を伝えると、ジェニとミラは口を尖らせ、急激に不機嫌になった。


「じゃあ、少年、私と決闘でもしてみるか?」


 ブルータスさんは片目を開け、口元に笑みを浮かべながら問う。


「ふふ、では一発エミールを殴って頂かないといけませんね」


 俺も口元を軽く釣り上げ冗談で返した。


「あら、めずらしいわ。ブルータス、そう、それよ!それがあればあなたは完璧だわ」


「これは、失礼を致しました」


 彼はそう告げ、また目を閉じた。


「もうっ。こういう話は取り合ってくれないんだから」


 そう言いながらも姉さんの声は弾んでいた。

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