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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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爺さんと婆さんが捕まった。


「月払いで金貨二枚、衣食住の内、食と住はこちらで用意させて頂きます。最短で一年、最長でも二年を予定しております。どうでしょうか?」


「ええと、そんな好待遇だと逆に不安といいますか……本当ですか?」


 と、昨日の予定通り、現在は薬師の見習いの男チャックさんとその師匠である老婆アナベラさんの二人と交渉中である。いきなりの突撃交渉と言う事もあり、俺が一人で来ている。


「ふむ、店を構えて無ければ私が行きたい所だねぇ」


 この人は、彼の師匠に当たる薬師のおばあちゃん。当然ながら技術は師匠のが上だ。


「もちろんどちらに来て頂いても構いませんよ。開拓が始まったばかりの村で何もない所でして、まだ、行商人との契約すらも出来ていません。なので、メリットとして分かりやすい高賃金を用意しました」


 そう、本当に何も無いのだ。すぐにリタイアされても困るのできっちり伝えておかねば。


「な、なるほど。それで、人員育成と仰ってましたが。どの程度までをお考えでしょうか?」 


「そうですね、既存の薬の有名所は全部自作出来る位にして欲しいです。ただ、技術の方は上達に時間が掛かるでしょうから。一応効く薬にはなってる程度にして頂ければ」


「ふぉっふぉっふぉ、面白い言い方をするのぉ。若いのに物を知ってるようじゃ、確かに作り手によって薬の効能は上下する。ふむ、その程度で良いのなら。わしが行こうかの」


「え? ズルいですよお師匠、この店どうするんですか」


「お前がやればよい。その間の稼ぎは全部くれてやる。成長できるぞい?」


「まあ、今すぐと言う訳ではありませんし、取り合えず村の状態を見て貰いましょうか。テレポート」


 俺は二人を連れて、村の中心部に転移した。


「お、おおぉ。お主魔法使いじゃったか」


「なるほど、これは……確かに。何もありませんね。色々と準備が厳しそうだ」


 そう、この村はまだ家がようやく四軒目を立てていると言う所なのだ。


「ふむ、これはお前にはまだ無理じゃな。じゃが。こんな状態で住む場所の手配なんぞ出来るのかえ?」


 あ~、やべ、確認はしてなかった。まあ、領主俺だし、村の為になら言う事を聞くと言う約束もあるしな。


「ええ、住民の命を守るのが最優先でしょう。その為に家を優遇するのは当然と考えます」


 老婆は満足するように頷き、口を開く。


「ふむ、じゃあ最後の確認をさせて貰うとするかの。この土地の管理者と話をさせて貰えるかの?」


「お、お師匠?お師匠が受けるのが決定なので?」


 彼は、どうにかして自分が受けたいのだろう。まあ、俺としては契約を果たしてくれるのならばどちらでも構わないのだけど。


「黙っとれ、どうするにせよ。確認せにゃならん事だとわからんか?」


「ええと、私が一応ここの領主となっております。正確には公爵様より代理を命じられました」


「ふむ、そうじゃったか。これは失礼をした」


 弟子の青年はとても驚いている様子だが、老婆の方は片目を閉じ、値踏みするかのような視線を送って来た。


「おはようございます。エルバート様。お客様をお連れのご様子ですし、宜しければあちらの家をお使い下さい」


「おはよう、ロルさん。こちらはこの村に身を置いてくれませんか、と交渉をしている薬師の方々ですよ」


「おお、まだこの地に根差して間もないと言うのにそんな事まで。ありがたい事にございます」


 ロルさんはいつもの様に頭を下げた。こちらとしてはそろそろ協力プレイと見て接して欲しいんだが。


「ロ、ロル? 村長のせがれのロルか? ふぉっふぉっふぉ。お主老いたのぉ。何と愉快な日じゃ」 


 ん?知り合いなのか?


「……もしや、アナさんですか? お久しぶりと言うのも可笑しい位に……40年ほどでしょうか」


 確かに、40年か……久しぶり~って感じじゃないよな。てかロルさんは良く分かったな、名前も聞かずに言い当てるとは。


「うむ、じゃが何故ここにおる。お主は村をまとめる立場にあったであろう! もしや、捨てたのではあるまいな?」


 ジロリと、睨みつける様に、アナベラさんは言い放った。……俺は席を外した方が良いのかな?


「村は……滅びました。魔物の大群に襲われ、何とか逃げ延びた者達をまとめたは良いものの、食料も無く餓死しそうなところをエルバート様に救って頂きました」


「な、なんと……そうであったか……失礼を言った。許せ。よし、わしは決めたぞ、余生は此処で過ごす。チャックよ店をやる、この話、譲れ」


「え? ええ~?? お師匠様、本気ですか?」


 相当驚いた様子のチャックさんは叫ぶように問いかけた。


「うるさいわっ! とっとと帰って店番でもしとれっ! 後で道具を取りに行く。話はその時じゃ」


「ええと、ではチャックさん送らせて頂きます。ロルさんとアナベラさんは積もる話もあるでしょうから」


「あっはい」


 彼、チャックは唖然とした表情で状況整理が追いつかない様子であったが、俺はそのまま彼を送り返した。


「では、ロルさん、アナベラさんの事はお任せしますね。今度は大工さんを勧誘しに行かないといけないので」


 よし、ロルさんに任せて、この調子でサクサク行くか。あの金額で良いなら大工を迎え入れてもまだ余裕はありそうだしな。鍛冶屋も行っちゃうか?


「いえ、ですが。そこまでして頂く訳には……」


 うーん、やっぱりこうなるか。一度ちゃんと言って置くか。


「ロルさん、そろそろ気持ちを切り替えて下さい。最初とはもう状況が違います。俺が領主になった以上、俺の利益にもなるんですよ、皆で協力して、皆の生活を安定させていきましょう」


「ふむ、やはり面白い坊主じゃの。今度ポーションでも作ってやろう。遊びに来るといい」


 おお!師匠クラスのポーションか、ありがたや~。MPの方がいいな、とか言っても良いんだろうか?


「アナさん、領主様に失礼な物言いは控えて頂きたい」


 あら~ロルさんは固いなぁ。


「ロルさん、アナベラさんは身内になると言ってくれたんだから構わないさ」


「エルバート様はお優しい、故に心配でございます」


 むむ、そんな言葉を貰ったのはいつぶりだろうか。


「確かに、騙されそうではあるのぉ。だが、ロル、お主がしっかりサポートすれば良いだけの話じゃ」


「それはありがたいですね、よろしくお願いしますね」


「はい、粉骨砕身の精神で望ませて頂きます」


「ふっ、砕け散ってどうするんじゃ。サポートせい、サポート。お主は変わっ取らんのぉ」 


 ははは、アナベラさんバッサリいくなぁ。うん、今度遊びに行こう。っと大工を勧誘に行くんだった。


「ではアナベラさん、荷物を運ぶ際は声を掛けて下さい。転移で送り迎えをしますので」


「うむ、それだけが気掛りじゃった。年寄りに旅は堪えるでのぉ」


「じゃあ、ロルさんアナベラさんに育てて貰う人員の選抜はお任せしますね」


「はい、お任せください」


「では、テレポート」


 俺は取り合えずで屋敷の居間に飛んだ。


「おかえりーどうだった?」


 椅子に腰かけ暇そうにテーブルに突っ伏していたミラはキラキラした目で問う。


「ああ、薬師は捕まえた!後は大工さんだな」


「へぇ~やるねぇお兄、いくらで雇ったの?」


 ジェニは嬉しそうにしているが、金額が気になる様子。


「月で金貨二枚だよ。何も無い所だから高めにしといた」


「あ~うん、あの森での稼ぎを考えると、ちょっと高い位だし何とも思わないわね」


 まあ、継続的なものでは無く、スタートダッシュ時のみってのもあるしな。あの森の素材の買い取り限界考えてもこれ位は良いだろう。


「と言う事で次は大工に突撃交渉して来ようと思うんだが、薬師は割と普通に話聞いて貰えたし誰か一緒に行くか?」


「わ、私はいいや。エルの隣で座ってるだけになりそうだし」


「うーん、私も専門外というか、役に立てる気がしないわね」


 ジェニとミラは少し考えた後、行かないと決めた様だ。


「良し、じゃあキャロル、チェルシー、行くぞ!」


「「はいっ」」


 そうして俺達三人は、王都に転移した。


「あ~どうやって探そう。適当にそこら辺で聞くか?」


「あ、それでしたら、知り合いになった人達がいますので聞いて来ますね?」


 チェルシーは王都に滞在期間中に知り合った人が結構いる様だ。そう言う事なら頼んでみよう。


「お、じゃあ、頼めるか?」 


「はいっ、行ってきます」


 あれ?キャロルは行かないのかな?と視線を送ってみると。


「あ、私はチェルシーほど顔が広くありませんので……申し訳ありません」


「ふふ、何で謝るんだ? いつも一緒に行動してると思ってたから不思議だっただけだぞ?」


「あ、そうでしたか。確かに言われてみるとエルバート様の前では一人だけにになった事は……ハッ!!」


 キャロルは突然、何かに気が付いた様に声を上げた。あ~びっくりした。


「ど、どうした!?」


 恐る恐る尋ねてみると……


「ふ、二人きり……です」


 あ。うん。そうだね。


「お、おう!」


「……」


 あれ?何故か沈黙、俺まで気まずいぞ。


「……」


 うーむ、何を話そうか。


「なあ、キャロル」


「は、はい! エルバート様」


「行商人やってみないか? まだ不安か?」


 この前の狩りでそこら辺の奴なら倒せるくらいの強さは得ただろう。盗賊に襲われても有名処の強い奴でも来なければ返り討ちに出来ると思う。だから俺は再度聞いてみた。


「あ、いえ、不安はありません。ええと……やってみます。お役に立ちたいです」


 おお、これで交渉もはかどりそうだな。でも、無理してやるって言って無いよな?どうやって聞こうかな、下手に聞いても大丈夫としか言わないだろうし。


「あ~お前たちは俺の従者だ、出来るだけ幸せにしてやりたい。本当は他にやりたい事が合ったりこれから出来たりしたら言ってくれよ。行商人との契約位は何とか出来るだろうし」


 あーうん、失敗した。彼女の性格を考えるとこれじゃやりたくないとは言い出せないだろうな。


「あ、あの、じゃあ、私がエルバート様の御役に立てたら、ご褒美に可愛がっていただけませんか?」


 あれ?どう言う事だってばよ?どうしてその話に転がった?いや、それは良いか。それよりも。


「か……可愛がるとは、具体的には?」


「ハ、ハグしていただくとか……ひゃ~」


 キャロルは顔を真っ赤にして両手で顔を隠した。あれ?この前もっと過激な事を言って無かったっけか?あれ?それはチェルシーだっけ?でも二人とも一緒に寝てた訳で。うむ、分からん。だが俺にもこれが演技では無い事は分かる。なぜならゆでだこ状態だからだ。演技でこれが出来たら大したもんだ。


「お前達は役に立っているよ。これで、良いか?」


 俺はキャロルを抱きしめた所で、視界の向こうにチェルシーが立っている事に気が付いた。あれ、目が、死んでる。


「ひゃっ、あ、ありがとうございます」


 ……キャロル、後ろ後ろ。


「おねぇちゃん、その抜け駆けの仕方は卑怯じゃないかなぁ」


「え? あ! いや! あう、ごめん」


「はぁ。チェルシー、そう言うな。おいで」


 俺はチェルシーに向かって両手を広げた。


「はいっ、エルバート様ぁ」


 彼女は目にハイライトが復活し、歩いているように見えるのに、めっちゃ早い速度で俺の腕の中に納まった。俺は彼女の頭を撫でながら問う。


「よしよし、それで、何か聞けたか?」


「はうぅ、はい、一番評判が良い所にご案内します」


 おお、知り合いがいるってのはでかいな。場所だけじゃ無くて評判も聞いて来たのか。


「おお、ありがとな。そういえば、キャロルは行商人をやってくれると言っていたがチェルシーはどうする?」


 せっかくだし、チェルシーにも意思確認をしておかないとな。


「え? お姉ちゃんホントに?」


「う、うん、せっかくエルバート様の好意でお勉強させて貰ったし、興味もあるんだぁ」


 あ、良かった。やってみたい気持ちもあったんだな。


「うーん、そっか……そうだよね。じゃあ手伝うね」


 ああ、これあかんやつや。


「チェルシー、主の命令だ。やりたい事があるならちゃんと言いなさい」


 うん、前回の失敗を生かして、強制で言わせる事にした。でもこれはこれでどうなの?って気もするけど、まあほっとくよりいいか。


「え? あ、いえ、命令……ですか?」


「そうだ。だから気兼ねなく言うだけ言って見ろ」


「えっと、あの、魔道具のお勉強をしたいなぁなんて。どこかのお店で雇って貰ってお給料は村に仕送りしますので。ダメですか?」


 おお、無理やり言わせて良かった。ちゃんとあるじゃ無いか。


「ああ、面白いな。だが、お店じゃだめだな。学校に行きなさい。ああ、そうだ、キャロルも学校に通って卒業してから行商人やってみるってのはどうだ?魔法学校でも魔道学校でもどっちでも良いぞ?」


「え? ええええ? 私もですか? ですがそれではお金もかかるし村の発展が遅れてしまいます」


「むう、キャロルよ、いや、チェルシーもだな、お前達、俺じゃその位も用意できないとか思ってるのか? 一カ月もあれば全部クリアーしてみせるっつの!」


 あ、しまった一カ月は言い過ぎた。あ~……何もない村にどうやって来てもらうんだよ。ああ、お金を払えばすぐじゃん。って良いのか? 俺!


「「そうですよね。すみません」」


 うん、綺麗なハモリでした。なんかごめん。


 そんなこんなで話もある程度まとまった所で、俺達は大工の事務所であろう場所に突撃した。そして依頼内容や賃金の説明が終わり、どうでしょうか? と尋ねた所で、大工の親方が立ち上がった。


「おい、教えて貰う側の人間の本人が来てねぇたぁどういう事だ!人伝えで金をやるから教えろとはいい身分じゃねーか。しかも子供を使いに寄こすとは、まったくもって気に入らねぇ」


 おおう、ご立腹。言いたい事は良く分かるんだが。親方さんの考えて居るのとは多分状況が違うんだよなぁ。むう、交渉決裂になりそうな空気だけどちゃんと最後まで説明はさせて貰おうかな。


「申し訳ございません。こちらの説明が足りていなかった様です。もう少しだけお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」


「お前達が悪いって言ってるわけじゃあねぇ、まあもう少しだけなら付き合ってやってもいいが」


「ありがとうございます。チェルシー、思い出したくないと思うけど、説明をして貰えるかい?」


「はい、エルバート様」


「あん、もしかして坊主が雇い主なのか? まあいい、続けろ」


 あれぇ? このじーさん説明を聞いてない節がある。それと何となく感じるんだが、このじーさんツンデレか?


「はい、私が元居た村は150レベルの魔物の群れに襲われました。元村長さんの話だと十分の一しか生き残れなかったそうです、私の家族は此処にいるおねーちゃん以外は殺され……ました」


 ああ……失敗した、俺が話すべきだった。チェルシーはもう泣きそうだ。


「チェルシーごめん。説明変わる。その後の放浪中に私と出会い、丁度いい場所を見つけて、居を構えようとしている最中でして」


「ああ、説明した意味は分かって来た。続けてくれ」


「はい、今、建築に関して技術のある者はいません。それでも何とか自分たちで三軒ほど立てました。ですがやはり長期的に見れば無理して出資してでもちゃんとした技術で家を建てた方が良いと思っています」


「まあ、当然だな」


「そこで、先ほどのお話に戻るのですが。これは個人単位の話では無く、村としての依頼となります。ですので領主である、私が依頼に来ました」


「分かった」


「はい?」


「筋は通った。坊主の話に嘘が無い限り、こっちもきっちりやってやる。だから分かったって言ったんだ」


 お、おお~っ大工さんゲットだ。


「ちょ、良いんですかい親方、今は手が空いてる者なんていないでしょうに」


 え? あれれ?


「馬鹿野郎!! 俺がいる。それで十分だろ!!」


 お、おお? 大丈夫だろうか。村の人と反発し合わなければいいが。


「坊ちゃん良かったな、親方が直接動くなんて1年ぶりくらいじゃないか?」


 そうだよな、技術は高いんだし、村の人には一年や二年は我慢して貰おう。


「ばっきゃろぉ、人聞きの悪い事言うんじゃねぇ。お前らの拙い仕事の後始末で毎日走り回ってるわ! この馬鹿野郎が!!」


 そして、話を進めると、すぐに出立出来るそうで、親方の準備を待ってから、俺達は転移した。


「っかぁ~見事に何もねぇじゃねぇか、やりがいがあるってもんだ! いや、これは井戸か? こ、こりゃすげぇ、おい、坊主これは誰が作ったんだ?」


「あ、自分です」


「もしかして、魔法でか?」


「は、はい、良く分かりますね」


「ったりめーよ。ここまで規則正しくやるのは普通はできねぇからな。いい仕事だ。何か教わりたい事が合ったらいつでも来い。こういう仕事が出来るなら無駄にはしねぇはずだろうからな」


 最初はどうなるかと思ったけど、仕事にプライドを持ってる人なんだな。いや、口も悪いけど。


「ありがとうございます。取り合えず、私と共にこの村を取りまとめて貰ってる、元村長であるロルさんを紹介させていただきますね」


 俺はそう言いながら、親方を案内して、ロルさんとアナベラさんがいるであろう小屋のドアを開けた。


「っか~こりゃひでぇ、俺が呼ばれる訳だ」


 と、親方は小屋を見回しながらつぶやいていると。


「おや、ドミニクじゃないかい。はっ、あんたもこの面白い坊やに乗った口だね?」


 お、坊主から坊やに昇格した。


 ってまた知り合いなんだ? 世間はせまいなぁ。あ、でも二人とも王都で勧誘したんだからおかしな事じゃないか。などと考えて居ると、じーさんばーさんの暇つぶしのような言い合いが始まった。


「ちっ、一緒にすんじゃねー。物作りだろうと領主だろうといい仕事をすると思ったから組んだだけだ」


「へぇ、随分と大きな口を叩くじゃ無いかい。まあ、私の口はつつましやかで軽いからねぇ、口は!」


「お、おい、変な事いうんじゃねぇぞ、言ったらお前の家は作ってやらんからな」


「そうさね、今日は面白い出会いと懐かしい出会い、そして変な偶然にまであった良い日だ。楽しくやろうじゃ無いか」 


「ええと、ドミニクさん、こちらがロルさんです。ロルさん。こちらは大工の親方である、ドミニクさんです」


「おお、お越し下さりありがとうございます。まずはこちらにおかけになって下さい」


「ああ、あんたは真面そうだな、このばあさんには気を付けな。たちと意地が悪い」


「はっはっは、気が合いそうですな、私一人ではアナさんには太刀打ちできそうも無いので。今後ともどうぞよろしく」


「ふぉっふぉっふぉ、雑兵がいくら集まった所で怖い事はないね。そう言えば、おまえさんたちはお酒はのまないのかい?ドミニクは持ってきてない様に見えるんじゃが」


「こちとら感覚が命なんだ、酒なんぞで腕を汚して堪まるかってんだ」


「私も、元々嗜みませんね。ああ、そう言えばアナベラさんは昔も飲んでばかりでしたね」


「か~つまらない男たちだねぇ、坊やはどうなんだい?たまには婆と呑むのも為になるもんじゃぞ?」


「馬鹿野郎!子供に勧めてんじゃねー」


「まったくです。あなたと言う人は、まったく」


「ひゃーっひゃっひゃ」


 会話に入る気になれず傍観していた俺は、気配を消しながら、部屋を出て扉をそっと閉じた。


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