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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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30/79

ご主人様


 俺は、アイリにご主人様になって欲しい。と、告げた。


「え?何?どうして欲しいの?」


 アイリは、もじもじとしながら『何をさせたいの?』と聞いて来た。


「いや、どうして欲しいかじゃ無い。アイリが俺をどうしたいんだ?」


 俺は、アイリの嬉しそうに困った仕草が可愛くて、治療を忘れアイリを弄り始めると。


「私は、妹のジェニって言うの。この前はごめんなさい。兄を助けてくれた事、礼を言うわ」


「私、ミラ。今日はね、エルの記憶喪失を、治す治療をして貰う為に来たの」


 二人は、俺とアイリの会話を遮る様に自己紹介をして、謝罪と尋ねた理由を話した。もちろんアイリはまだ混乱している。だから俺は、説明の補足を入れた。


「あ~、それでだな、治療方法ってのが、隷属をして、思い出す様にと、命令をする事らしいんだ」


「あ、そうなんだ。でも、何で私?」


 他にも任せられる人はいるでしょ。と、俺の隣に居る二人に視線を向けた。


「俺が、隷属されるならアイリ以外は嫌だって言ったからかな」


「ふぇっ!?そ、そうなんだ……うん、分かった。そういう理由なら私頑張るね」


 アイリは、ただそれだけの説明で了承してくれた。


「アイリさん、約束してください。治療が終了した時点で隷属は解くと」


 ジェニは鋭い目線を送り、アイリにそう告げた。


「うん、約束するよ。私も隷属なんて嫌いだもん」


 アイリは鋭い視線に優しいほほえみで返し、了承した。


「じゃあ、また公爵様の所にいって道具を借りようか」


 そう言った俺はアイリを連れて、4人で公爵様の所へテレポートした。前回案内をしてくれた男の人に、事情を話すとその場で承諾してくれた。そして、道具を借りて即座に隷属を済ませ、アイリの家へと再度テレポートした。


「お手数をおかけいたしました。アイリ様、さあ、お手を」


 俺は、彼女をエスコートした。ただ、やってみたかっただけである。


「エルがふざけ出しちゃったから、早速お願いしていいかな?」


 ミラ達は不機嫌そうに、治療を早くしろと急かした。


「あ、うん。アイリが命じるね。エル、忘れた記憶、本気で思い出そうとしてみて」


 俺は、そう言われた瞬間、やらなきゃいけない…絶対に。と言う強い思いが湧き出て来て、それに従い真剣に座り込んで思考を回し続けた。だが、真剣に思考しているのに、周りの声がうるさい。どうにかならないかと思ったが、アイリの命令が最優先だ、とその声を聞き取ろうとはせずに継続した。


 だが、その裏で雑音は続いた。


「……そう、だからこれも治療なの。顔がつぶれてたってどのくらい?」


「えっと、この位……って駄目だよ? 死んじゃうよ。あれは奇跡だったんだから」


「大丈夫じゃね? エル頑丈そうだし。叩く時はあれだぜ? 振りぬくんじゃ無く、中に衝撃を響かせるようにインパクトの時に止めるんだ!」


「ちょっとエティ、何言ってるのよ。なんであなたはそっち側なの?」


「エティちゃんかぁ、話が分かるね。私ミラ、よろしくね?」


「ミラか、良い名前だな。よろしくな」


「よし、じゃあ行くわよ? せーのっ」


 俺は、いきなりガンッと頭を叩かれて、キレた。


「おい、ジェニ、お前、ふざけんなよ?お前俺を何だと思ってるんだ」


 人が、お前の為に思い出そうと必死に頑張っていると言うのに……


「お兄……」


 おい、人の頭をぶっ叩いておいて、何泣きそうな顔してんだよ。泣きたいのはこっちだってのっ!


「ジェニ……お兄って言う前に言う事あるんじゃないのか? 今日と言う今日は絶対に許してやらないからな。嫌いになっちゃうぞ」


 俺は、今回ばかりは教育的指導が必要だな、と、ジェニに鋭い視線を向けた。だが…ジェニはボロボロと涙を流していた。


「お、思い出して……くれたの?」 


 そして、そう言われた瞬間、俺は、現状を把握した。 


「あ……ああ、そうか、うん……思い出したよ。ああ……嫌な思いをさせてしまったな」


 そう告げると、ジェニはまた、俺の装備の様に装着された。


「ちゃ……ちゃんと私の事も思い出してるよね?」


 ミラがとても不安そうな顔で、問いかけて来た。


「当たり前だ。お前との記憶が無かったら思い出したとは言わないだろ?」


 そして、ミラもまた最近慣れた場所へと収まった。


「ねぇ、エル? 私達の事、忘れて無いわよね?」 


 と、今度はケイが戸惑いの表情をして聞いた。エティやアイリも落ち着かない様子でこちらを見つめている。


「ああ、大丈夫だ。全部思い出せてると思う。まあ、元々細部まで全部覚えてられるような頭はしてないけどお前たちとの記憶は大丈夫だ」


「「「良かった」」」


 と、三人は安堵の息を吐き、落ち着きを取り戻した。そして、しばしの沈黙の後、ジェニが口を開いた。


「アイリさん、ありがとう。隷属、解いてくれる? もうこれでエルがここに来る事は無いだろうから」


「あっ、うん。もちろ……え?」


 ジェニとアイリは、見つめ合ったまま硬直した。


「「……」」


「いや、待て待て。何故ジェニが決める。俺はこれでお別れのつもりは無いぞ?」


「はぁ、良かった。じゃあ解くね?」


 俺がそう言った事により、アイリは安心した様に俺の奴隷紋に手を当てた瞬間、ジェニとミラはにやりと笑った。その瞬間、俺は思い出した。隷属を解かれた奴隷は、主人を憎むことを……


「あっ、ちょっとまっ……」


 俺がアイリを止めた時にはもう遅く、俺は隷属を解かれた。


「あ、ああ、あ?」


 あれ? 別に平気だぞ? と思い、皆を一人一人見回した後、アイリを見つめた。あれ? やばい何この衝動……


「え? エル! ちょっと待って。ダメ、ダメだってば。ええ~~~!!」


 俺は、アイリを押し倒し、アイリの顔に頬擦りをしながら尻尾や耳を撫でまわしていた。


「くっそ、この可愛らしいアイリめっ。こうしてくれる! こうしてくれるっ!」


「「「「はぁぁ?」」」」


 何故か、ケイとエティもジェニ達の側に回り、腕を組み不機嫌さをあらわにした。


「ダメ! ダメって言ってるでしょ! エル? エルっ!」


 アイリは顔を真っ赤にして、首を横に振りながら嫌がっていた。だが、俺にその言葉は届かなかった…事にした。届いていたが、衝動に逆らえなかった。


「ああ、なんて可愛いんだアイリ。尻尾もふかふかじゃないか」


「あ、ダメっ、そんな所…ダメだってば! あっ、やっ」


 俺は、今度はアイリの尻尾に頬擦りをして、尻尾を持ち上げながらスリスリしていると……目の前にアイリのお尻があった……


「馬鹿ぁ、見ちゃダメェええ!」


 アイリは、困った様に俺に止めろと伝える。そしてその口調が強まった時、俺は我を取り戻した。


「あ、ああ……これが隷属の反動か、恐ろしいな」


 俺は、冷や汗を流しながら恐ろしい物だと実感した。


「「「「嘘をつくな!!」」」」


 心外なと思いながらも、本来は憎しみの感情に支配されると言う事を知っていた為、不服ながらも予想の説明を入れた。


「いや、多分だけど隷属期間が短かった事もあるし。多分、俺が普段我慢している行動が我慢できなくなると言う位で収まったんだろ。ちゃんと来たぞ、憎いと言う気持ちが」


「え? エルは私の事が……」


 アイリは、悲しそうな顔をして、信じたくないと言う顔で問いかけた。


「ああ、お前が魅力的過ぎる事が憎くてしょうがないよ。まったく、どうしてやろうかな。」


 俺がそう言った瞬間、他の皆に頭を叩かれた。


「もうっ、こっちのセリフなんだからねっ」


 アイリは思い出した様に顔を赤らめ、ムッとした様に言った。


「はぁ、ようやく終わったわね。お兄、お礼もちゃんと言ったしそろそろ帰りましょ」


 ジェニが、そう言って来た。やはり、このままなし崩しになんて事にはならないよな……


「なぁ……やっぱり全員と結婚したいなんて言ったら嫌か?」


「「「「「そりゃイヤでしょ(だろ)」」」」」


 そう問うと、やはり嫌だと返って来た。だから俺は言い方を変えてみた。


「じゃあ、このままオルセンに行って全員で暮らすのはダメかな?」


 俺は、エティ達に視線を向けてそう聞いた。


「うーん、行くのはちょっと怖いかな」


 アイリは敵意をむき出しにしているジェニと、共に暮らすのは怖いと断りを入れた。


「そうね。まず全員嫁にしたいって言ってる奴についてくって事がありえないわね」


 ケイは、その前に論外だと言い放った。


「んあぁ。まあ、悪くねぇとも思うけどよ。一応これでも貴族なんだよな、私等」


 エティは悪くないと言ってくれた。だが……やはり……


「そうだよなぁ。嫌だよな。って、え? 貴族なの?」


 と、断られる事を承知で聞いた為、素直に受け入れられた。だが、そうか一応お屋敷に住んでるんだもんな……貴族だったのか……


「そうか、じゃあ一度お別れだな。それでも良いって言わせられる位凄い奴になって帰ってくるから、その時はよろしく」


 俺は三人にそう言い、ジェニ達を連れて帰ろうとした。


「私は、受け入れるから……だから行かないで……お兄」


「お別れする位なら……私もそれで良いよぅ……」


 ジェニとミラは、自分たちも置いて行かれると勘違いしたのかそう言ってくれた。マジか!! やったぜ。こっちのが最難関だと思ってたのに。


「……流石に私は無理かなぁ。絶対嫉妬しちゃう」


「んだな。好きな奴は独占したいよなぁ……」


「それより、全員ってどういう事よ! バカにしてるの?」


 アイリ、エティ、ケイは納得いかないみたいだ。まあ当たり前だよな。


「俺は、本気だよ。この想いに嘘は無いし我儘が過ぎる事も理解している。だけど、そうなる様行動をせずにはいられないんだ。済まないな」


「「「……」」」


 三人は沈黙している。これ以上は言っても仕方が無いと思い、俺は此処を後にした。


「いつかまたアプローチしに来るから、嫌だったらまた断ってくれ。テレポート」


 そして俺は、ジェニとミラを連れて村予定地へと帰って来た。さて、どうやって成り上がるかなぁ。っとその前に言うべき事があるな。


「はぁ、ようやく頭がすっきりしたよ。ごめんな。嫌な思いばかりさせて」


 俺は、記憶が無い時に辛く当たってしまっていた事を謝罪した。


「ううん、記憶が無くても戻って来てくれた。だから許す」


 ジェニはしがみ付く手を強めながら、許すと言ってくれた。


「私は当分の間いーっぱい甘えさせてくれたら許そうかなぁ」


 ミラは、こちらを伺いながらも嬉しそうに微笑んだ。


「分かったよ。じゃあこれからは、と言うかこれからも三人で寝ようか」


 とは言ったものの。はっきりと想いが蘇った以上、もんもんとし過ぎて逆に辛いんだろうなぁ……もし、もしも仮に許してくれたとしても、いきなり三人でとか俺が無理だし。


「え~、記憶戻ったし、ちょっと怖いかも」


 あっ、やっぱりミラもそう思う? 止めようか?


「そう、じゃあお兄、二人きりで寝ましょ」


 え? それはもしかして……二人きりならばあるいは。


「え? ダメだよ、やっぱり私も一緒に寝る~~!」


 なるほど、そうやって阻止しましたか。やりますな、知将ミラ! ふっ、涙で前が見えない。


 と、三人でそんな会話をしながらも、村予定地の中心部に歩いて行った。



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