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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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治療方法


 目を覚ました俺は、昨日の事を思い出してため息を付いた。


「どうして、ため息をつくのよぅ」


「お兄、分かったわ。もう私とミラ同時でも何も言わないから」


 結局、あれから俺が転移で居なくなったと裸のまま二人が飛び出して来て、収めるのが大変だったのだ。あの場で喜んだのは彼だけだろう。俺に向かって親指を立てていた。へし折ってやりたい……


 そのせいでさらに離れる気を無くした彼女達と、睡眠まで一緒に取る事になった。


「うん、私もそれでいい。だからエル、一緒に居てね?」


「あ~……一緒に居るのは了承した。だが二人同時の意味が分からない」


「なんで、忘れちゃうのよぉ……やだよぉ……おにいぃ……おにぃ……おに……」


 誰がエコーで旨い事言えと……俺は若干イラッとしながらも、心情的には仕方の無い事と我慢した。だが、こいつは妹だよな? なら少し位突き放しても良いんじゃ無いか?


「そろそろ、兄離れしたらどうだ? いい機会だし」


「……お兄ちゃんがチューして来て離れられなくさせたんじゃない。酷いよぉ」


 なん……だと……待て待て、ちょっと待て。それをアイリ達に知られるのは困る。不味いだろぉ。


「私にもしてくれた。ううん、私が最初なんだからっ。忘れちゃダメなんだよぅ」


 ダメだ。もう、ダメだ。これは隠し通せない秘密な気がする。と言うか、何だかんだ言って何も無かったとしても三人で寝ちゃって今も抱き着かれている訳だし。ちょっともんもんとしちゃってるし。うん、どうしていいか分かんない。


 せめて、相談する相手が居れば。あっ、公爵様に相談してみよう。あの人ならきっと……きっと打開策を教えてくれる。そんな気がした。


「そうだ。公爵様が再開出来たら来いって言ってたんだった」


「ルクレーシャ様が?」


 と、妹が答えた。


「ああ、お前たちの居場所を教えてくれたんだ。最初はどこに言ったらお前に会えるかも分からなくて、転移出来る場所も記憶が無いから途切れ途切れでな。適当に転移したら公爵様の宝物庫に飛んだんだ。知らない人でそれが公爵様とか、冷や汗かきっ通しだった……」


 俺は、再開するまでの経緯を話した。


「そ、そうなんだ……そんなに記憶無くなってるんだね……」


 ミラは悲しそうに目を伏せた。


「俺はルクレーシャ様って呼んでいたのか?」


「うん、あ、最近は姉さんて呼んでたかな」


 と、妹が教えてくれた……って。


「最近の俺はチャレンジャーだな。俺は、一体どんな奴だったんだよ……」


 俺は公爵様の事を、姉さんとか気軽に呼んでいた事に驚きを隠せず口に出していた。


「お兄はね。優しくて、いつでも私を守ってくれてね。私を外の世界に連れ出してくれたの」


 妹は、微笑みながら両手を胸に当てて、そう答えた。


「ジェニちゃん、私が言おうとした事取らないでよぅ」


「隣に居る事を許してあげてるだけでありがたく思いなさい」


「ふんだ。良いもん。エル~、すりすり」


 ミラはあてつける様に俺の上に乗っかり、胸に頬擦りをしながら擬音を口に出した。


「って、そろそろ起きるぞ。行かなきゃいけないって言っただろう」


「エルの転移で行けばすぐなんだから、まだ良いでしょうよぅ」


 ミラはポジションが気に入ったのか、起きたくないと駄々をこね始めた。


「いい加減にしなさい。起きるわよ。お兄の記憶を戻す為に」


 妹のその発言を聞いた瞬間、ミラはシュタっと音がするんじゃ無いか思う位に飛び起きた。


「「準備してくる」」


 と、二人はそそくさと居なくなり、俺は女の準備は長いだろう。と、即座に装備を着用し、転移でアイリ達の元へと飛んだ。


「テレポート」


 俺は、割といい時間なので居間に転移した。


「「「エル! おかえり」」」


「ああ、ちょっと隙を見つけて帰って来たよ。ただいま」


 と、俺は三人に早口でこれからどうするかを説明した。


「そうだったわね。公爵様、会えたら来いって言ってたものね」


「早く落ち着いてくれないかなぁ、やっぱりエルが居ないと寂しいよ」


「あんまりエルをせかすなよ。こういうのはある程度時間が必要なんだよ」


 と、何故かエティがとても理解を示していて、俺はエティの頭を撫でてありがとな。と伝え、もう一度、転移した。


「テレポート」


 そして、部屋に戻ると、すでに準備を終わらせていた彼女達が失意の顔でへたり込んでいた。


「おい、ちょっと離れただけだろうが。こんなんじゃその内、俺はトイレも一人で行けなくなっちまうんじゃ無いか?」


「「居なくならないでよぉ~」」


 と、俺の言葉など聞いておらず、また、彼女達はまるで俺の装備の様に慣れて来た場所へ収まった。


「じゃ、行くか。テレポート」


 今度はちゃんと門の前に移動して、ドアノッカーを叩いた。そして俺達は案内されて、ルクレーシャ様の書斎に入った。


「良かったわぁ。ちゃんと会えたのね」


「お兄と引き合わせてくれてありがとうございます。感謝してもしきれません」


「私もです。ありがとうございます」


 二人はこんな時でも離す気は無い様だ。


「ふふ、約束したものね。じゃあ今後のお話しましょうか」


 あ、そうだった。領主を続けるかどうかの話だっけ? 一つも考えてないぞ。どうすんだ俺! そんな事を考えて居る間にも話が進み、予想外の方向に話が転がった。


「それでね。今回の事を国王陛下に報告したらね、エル君は英雄の生まれ変わりだって言っててね。何を言い出しんだろう。ぼけたのかな? って思ってたんだけどね。もしかしたら本当かもって思うのよ!」


「あ~、ルディさんにも同じことを言われてこの装備を託されました。記憶が無いので混乱するばかりですが……」


「まあっ、英雄の弟分の人よね? 私も会いたいわ! 連れて来てくれない? エル君!」


 彼女はずずいと前に乗り出し、俺にお願いをして来た。


「はぁ、機会があればお伺いしてみますが、目上の方なので無理強いは出来ませんよ?」


「うん、聞いて見て! ……あっ私が行こうかしら。それなら平気よね? 紹介して?」


「そう言う事なら、ですが大丈夫なのですか? ちゃんと断りを入れてから出て来て下さいね? って、大分話がそれてますけど……」


「そうだったわ。えっとね、エル君が望むなら正式に領主にしようって話が出てるのよ。もちろん爵位も男爵位は貰えるんじゃないかしら?」


「あー、えーと、正直知らない人たちのまだ出来ても無い村ですし……貧乏くじでしか無い様な気がするのですが……」


「え? あ、そうなの? エル君は、領主じゃ無かろうとあそこに住む予定だったって聞いてたけど……確か。帰る場所を作りたいって言っていたと思うわ」


 あ、そう言う思惑があったのか。でも今となってはアイリ達の所が帰る場所だしな。領主をする事で俺の幸せが満たされるとは思えないんだよなぁ……


「あ、そうそう。領主になれば、お嫁さん一杯貰っても誰からも文句も言われないし、相手もそれが普通だと思ってくれるわよ?」


 ……旨み発見しちゃった。そうか、仮にお金が無くとも、領主ってだけで何人か娶るのが普通だよな。上手くすれば三つ子のしまいど……まて、そう言う方向で考えるのは止めよう。純粋に彼女達とそう言う関係になって、ずっと一緒に居れる……最高だ。


「や、やってみようかな。でも、まだちょっとはっきりしないので、爵位とかは後回しにして貰っても良いですか? 取り合えず村に行って支援をしてみます」


「ほっ、良かったわ。うん、それで良いわ。じゃあ、キャロちゃん達はどうする? このまま働かせておく?」


「ん? 誰でしょう。何の話ですか?」


「あ、そうよね。あの子達、泣くんじゃないかしら……いいわ、もう教育は大体済んだって言っていたし、一度村に戻すわ、明日またここに迎えに来て頂戴。テレポートの方が良いでしょうから」


「良く分かりませんが、分かりました」


 俺がそう答えると、彼女は妹達に視線を送った。


「それにしても、見事にくっついて離れないわね。エル君、実は嬉しいんじゃない?」


「まあ、確かに。普通なら知らない女なんて御免だって思うはずなんですが、不思議と嫌じゃ無いんですよね。可愛いからか? いや、俺は女に飢えて居ないはずなんだが」


 三人の女性と一緒に暮らしてるし、割といい関係になったと思うしな。


「やっぱり、記憶どこかに残ってるわね。ジェニちゃんを探しに行ったり、今みたいに思ったり」


「「本当ですか!?」」


 妹とミラは、食いつく様に言葉を発した。


「まあ、戻るかどうかは別問題でしょうけどね。こういう時の治療法もあるにはあるんだけど……」


 と、少し困り顔で公爵様は言った。


「教えてください。お願いします」


 妹とミラは、俺からようやく離れた。と思ったら、土下座をしていた。


「もう、そんな事しなくても教えるわよ、頭を上げなさい」


「ありがとうございます。ありがとうございます」


「待って。可能性があるだけで効くかどうかは分からないからね?」


「はい。でも、何でもやって行こうと思っています」


 二人は顔をほころばせ、頷き合った。


「それで、治療法と言うのは?」


 俺も気になったので、聞いて見た。


「それはね、隷属魔法で命令権を使って思い出せって命令するのよ。色々な角度からね。あの魔法は暗示効果とかもあるから、記憶が戻ると信じさせる事もたやすいし。それで戻らなかったら、もう後はショックを与える方法位しか知らないわ」


「いや、それ、俺が奴隷になれって事ですよね? 流石に無理だな。アイリならまだしも……あっ」


 俺は、ついアイリの名前を口走ってしまった。俺は壊れたロボットの様にギギギと、音を立てて、振り返り二人を見た。


「その、アイリって子なら良いの?」


「お兄を隷属させるのは、許せないけど。非常事態だもの。それに……」


 あれ? 思ったよりも怒ってないな。だけど、俺は誰であろうとも隷属されるなんて嫌なものは嫌だ。アイリが一番変な事を命令しなそうだから、どうしてもやらなくてはいけないのなら、と言う事で名前を上げただけなのだ。


「はぁ、しょうがないな。本当は隷属なんてするのもされるのも嫌なんだがな」


 こうなった以上、仕方が無いだろう。アイリで良いと言ってくれた事が救いだな。


「あれ? ローズちゃん、もしかして会って無いの?」


「一応あってますよ。お兄は名前も分かって無いと思いますけど」


「ローズちゃんは、今エルの奴隷なんだよぉ」


 なん……だと……あの、立ち振る舞いの綺麗な、品のある女の子が……俺の、物だと……


「お兄、変な事考えてる……」


「ダメだよ。エミール見たくなっちゃうよ?」


「考えて無いよ、変な事言わないでくれ」


 俺は、考えそうになったが考えては居ないので、堂々と思って無いと言い切った。


「まあ、会っているなら良いわ。もし隷属を解くならその時は教えて頂戴」


「分かりました。じゃあ公爵様、俺達はこれから村に行って見ようと思います。明日、また来ますね」


「ええ。エル君、それと私の事はお姉ちゃんって呼びなさい。約束したんだから」


「……今はまだ、遠慮させて下さい。恐れ多いので」


「もう、仕方が無いエル君ね。じゃあ、明日ね?」


 俺はとても気が早い彼女に苦笑いで会釈をして、妹とミラを連れて屋敷に転移した。


 だが、屋敷に戻ってみると、そこには異様な光景が映し出されていた……


「はいっ、エミール、あーん」


「ありがと、あーん」


 彼、エミールと、ローズと言うらしい女性が全力でいちゃついていたのだ。


「二人はそう言う関係なの?」


 と、俺は妹とミラを見て、そう聞いた。


「いや、私も今初めて知ったけど……エミールあんた、何したの?」


「うん、私も知らなかった。ねぇエル、私達もあれやろぉ?」


 などと会話していると、俺達が返って来た事に気が付いた二人は、さっと取り繕った。もう遅いと言うのに……


「あ、エル、これはだな。なんと言うか……今日言おうと思ってたんだ、すまん」


 エミールは手のひらをこすり合わせる様に謝ってきた。


「謝る必要は無いが。お前の頼みって、彼女の隷属解除か?」


 俺は、ああ、なるほど! と、彼の頼み事を予想して言って見た。


「あ、ああ、頼む、一生のお願い。俺、本気なんだ」


 彼はこぶしを強く握り、真っすぐと立ち、深く頭を下げた。


「ああ、いいぞ?」


 俺は、元々奴隷何て持つつもりは無い。丁度いいと彼の頼みを受け入れた。


「え? マジ? 条件は?」


 だが、彼はきつい条件があると思ったのだろう。喜び半分で条件は何だと聞いて来た。


「そうだな。いちゃつくのをあいつらに見せる事は禁止だ」


 俺は、今後を考えて、取り合えず止めて欲しい事を条件として挙げた。


「……それだけか?」


 彼は悩んでいる様だ。まあ金額で言えば高額だもんな、信じられないのも仕方ないか。対価ね……そうだな……


「ああ、じゃあこうしよう」


「んあ?なんだ?」


「あの村を発展させるのを手伝え。それが条件だ」


「……意味が分からん。そんなの当たり前だろ?」


「まあ聞いてくれ。俺が居ない間、お前が領主代理としてあの村を取り仕切り安定させてくれ。と言う事だ」


「安定? 今は別に大きな問題は無いだろ?」


「あるだろ。村とは言え、家が2軒しか無いのは問題だろ?」


「ああ、家を建てるの手伝えばいいのか?」


「そうだな。それに商いも充実させなければならないだろうな。売れる物を村で作って、町に売りに行く。もしくは行商人を呼び取引をする」


「あ~、何作ればいいんだろうな」


「そこは皆で考えればいいさ。後は、はぐれの魔物避けに大き目な柵も必要だろ?」


「……記憶ホントに無いのか? 聞いた事ある気がするぞ?」


「……お前さ、聞いた事あるなら考えさせるなよ。喧嘩売ってんのか?」


「いや、忘れてた。基本は俺達エルの指示だけで動いていたじゃん? だからさ」


 あっれぇ~、アイリ達に言った事と逆な事ばかりだな……


「ま、そう言う事。だから隷属は解くよ。奴隷紋出して貰って良いか?」


「あ、はい、ご主人様。」


 彼女は、前を隠し背中をさらけ出した。俺は魔法陣の魔力を吸い取ろうと手をかざし、実行した。


「あ、あああ、ああ……」


 ローズさんは膝を付き顔面蒼白になり、放心状態になった。


「んじゃ、後よろしくな。俺が居ると不味いだろうから、二日ほど姿を消そうと思う。」


「「待って、置いてかないで」」


 彼女達は、離れたくないと懇願するように言った。


「いや、置いて行こうとなんて思って無いから。行くぞ」


「「うんっ」」


 そして、俺はアイリ達の屋敷の前にテレポートした。


「ここは?」


 と、ミラが首を傾げて聞いた。


「ああ、エティ、アイリ、ケイ、三人姉妹の屋敷だ。俺はここに置いて貰っているんだ」


 そう言いながらドアノッカーを叩き、俺は前もって注意をした。


「もし、お前たちが彼女達を傷つけるなら、俺は本気で怒るから、忘れるなよ」


 彼女達は納得出来ていない顔をしていたが、反論が無いのでそれ以上は言わなかった。


「はーい。どちら様?って、ええ?ど、どうしたの?」


 アイリが出迎えてくれて、その後ろでエティとケイが覗き見をしている様だ。


「アイリ、俺のご主人様になってくれ」


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