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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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偽り


 それからアイリ達の所に戻り、ルディさんが国に報告に行った後、今後の話し合いをする事になった。自分がした行動の意味を含め、起きた事をすべて彼女達に説明していた。


「ねえ、エル。どうしてパーティなのに私達を置いて行くの?」


 アイリは俺の行動がどうしても気に入らなかったらしい。


「レベル的に無理だったからだ。分からないのか?」


 不信感丸出しの目で俺を睨んでいる。


「なら、どうして相談してくれないの?」


 こんな、言わなくても分かる事まで聞いて来るなんて。


「無理な事を認めなかったからだ」


 あの状況でどうしろって言うんだ。


「どうして……あんな風に抱きしめたの」


 ……


「……やらないと、相手に気づかれる危険が合ったからだ」


「最低」


「……」


「はい、ストップ。何でアイリは怒ってるの? 私は感謝してもしきれないんだけど」


 ケイは、ずっと黙って聞いていたが、収集が付かない事を確認してから口を開いた。


「まあ、そうだよな。あの状況で良く思いつくよな。皆無事だし、私も感謝してる。だけど次は置いて行くな!」


 エティもおおむね納得している様だ。


「そう、二人はそれで良いんだ。でも、私は納得できない」


 だが、やはりアイリは納得がいかない様だ。


「何が?」


 ケイは、冷たい視線をアイリに向け、問うた。


「人を欺いて結果を求めるエルが」


「俺は、それしか出来ないのに……そこを否定されたら。俺はもう……」


 俺はうつむき目を閉じて、前を見る事が出来なくなった。


「私はこういうの苦手だが、助けたい者も自分も救われた。何がいけない?」


 俺はエティのその言葉を聞き、うつむいたままだが目を開けた。俺が思っていた事を代弁してくれた。そう思ってくれてる相手が居ると言う事に救われた。ケイとエティが居なければ、俺は心が折れていただろう。


「だからと言って嘘をついたりするのは間違ってるよ」


「要するに、嘘をつくくらいなら私達に死ねって言う事なの? 本当にそこに納得がいかなくて怒っているの? 違うでしょ?」


 ケイは、彼女が違う事に怒っていると思っている様だ。アイリにその同意を求めている。


「……嫌なものは嫌なの!」


 だが、アイリは話をする気は無い様だ。俺を受け入れる事はもう出来ないらしい。


「そうか、じゃあ、もうここには……居られないな」


 俺は、半分以上放心状態のまま、自然と出て行かなければと思い立ち上がった。


「は? 待てって、何でそうなるんだよ。アイリの馬鹿が駄々こねてるだけなんだろ?」


 エティもケイの考えに同意している様で、何で出て行くんだよ。と、聞いた。


「そうよ。今回の事は私たちがあんたにお礼をする立場なんだから。ほら、アイリ! 正直に言いなさいよ。エルが居なくなっちゃうじゃない」


「いいよ。私が出て行くから、それで良いでしょ」


 その言葉を聞いた俺は、放心状態が解けて今度は自分の意志で出て行く事を決めた。


「アイリ、俺はお前の事が好きなんだ。お前から家を奪うなんて事は出来ない。だから、俺は此処を出るよ。元々居候していただけなんだし……ごめんな、エティ、ケイ。引き止めてくれたのに。」


 俺は、アイリに好きだと伝え、引き止めてくれた二人に謝った。


「待って! エル、一つ聞かせて?」


 だが、いざ出て行こうとすると、ケイが俺を引き止めた。


「なんだ? 早く行ってくれ」


 何を聞かれるのかが見当がつかず、言葉をせかした。


「アイリを好きって言ったじゃない? 私の事は?」


 そんなの決まっている。大好きな家族だ。


「もちろん皆好きだぞ? 家族として」


 そんな事聞かなくても分かるだろ? とも思ったが、この事で嫌いになっていないかを確認したかったのかも知れない。


「ふう、分かったわ。私も連れてって! あなたのパーティに入る」


 は? 何でそうなる。お前を引き抜いてしまったら、エティとアイリはどうなる……


「そっか、そうだよな。んじゃ私も入る~」


 エティは何かに気が付いた様で、ケイに同意して俺と一緒に行くと言い出した。


「そう、分かった。じゃあ、私もどっちにしても出て行くから。家の事、よろしくね。」


 アイリはとても悲しそうに、でも相容れる気は無い。と、元々出て行くつもりだった事を告げて、自分の部屋に戻って行った。


「おい、俺はこんな事望んじゃいないぞ?」


 俺は、アイリを悲しませたい訳じゃ無いんだ。ただ、死んでほしく無かっただけなのに……


「分かってるわよ。尾行するわよ」


 え? この状況で後を付けるって……ダメだろ。


「だな。ぜってぇあいつ必死にレベル上げだすぞ」


 何故そうなる。憂さ晴らしにって事か?


「いや、意味がわかんねぇんだけど。説明はしてくれないのか?」


 俺は、二人が何をしたくて何を言いたいのかが全然分からず、俺には教えてくれないのか? と直球で尋ねた。


「大丈夫。本人から聞きなさい。割とよくある事なんだから、もう出て行くとか変な気起こさないでね?」


 と、ケイが言った。いや、今回の事はそういう次元じゃ無いだろ? と、思いながらも俺は心のどこかで期待をしてしまっているのだろうか? こんな状況下であるにも関わらず、尾行する事を受け入れてしまった。


 そして、俺達三人は出て行った彼女の跡をつけた。


「お前の感知能力異常だな。どこまで分かるんだ?」


 と、エティは俺に尋ねた。


「そうなのか? 良く分からんが、この距離ならしっかりと把握できるかな」


 俺達は見晴らしの良い街道であるにも関わらず、目を凝らさなければ確認できない位離れた距離に居る、アイリの魔力を感知して尾行していた。


「あんたに奇襲を掛けるのは無理だって事ね……頼もしい事で」


 ケイは、魔力感知を少し勘違いしているのだろうか?


「普段から勝手に分かる訳じゃ無いぞ? かなり意識を集中して把握しようとしない限り、何も分かんないよ」 


「分かってるわよ。でも私は間に壁があるだけでももう無理よ? 無くても20メートルが限度かしら」


 そうなのか。これ、一キロは離れてると思うんだが……


「なぁケイ、エルって強いのか? ケイは戦ったことあるだろ?」


 ああ、そう言えば。ケイはあの時言っていたな、私に向かって来たと。


「あれは、戦ったとは言わないわよ。一撃を避けられて、詰められそうになった所をルディ様に止められたんだもの」


 そうだったのか。どうだったのだろうかと少し気になっては居たのだが、少し安心したな。ケイを傷つけた訳ではなさそうだ。


「よし、じゃあ落ち着いたら私とやろうぜっ。エル!」


 エティは何故か俺と模擬戦をしたいと言い出した。


「何でだよ。せめて狩りで競うとかにしようぜ……」


 俺は、それならば狩りで経験も稼いだ方が有意義だと伝えた。


「そっか、じゃあそうしよう。エルが戦う所見てみたいしな」


 そうエティが同意した所で、アイリが街道からそれるのを確認した。


「あの森に入って行ったな」


 俺は、アイリが入って行った森を指差して彼女達に伝えた。


「はっ? あそこはまじぃだろ! 平均100だぞ!?」


 え? アイリは確か80後半だったはず、流石に単騎でそこは無茶し過ぎだろう。


「エル、どうする? また、ルディさんに来てもらう?」


 ケイは、命の危険があると、前回同様ルディさんに応援を頼もうかと聞いて来た。


「レベル100前後なら俺がどうにか出来るから、最悪は強制転移して全員で家に戻ろう」


「「分かった」」


 俺達は、アイリが入ったであろう森をめざし走った。


「ねぇ、アイリは大丈夫なの?」


 ケイは心配そうに俺に尋ねた。


「ああ、まだ魔物と出会ってはいない様だ」


 俺の魔力探知ではアイリの居る近くには魔物の反応は無い。だが、魔物はごろごろといる。その内出会ってしまうだろう。


「……マジでやべえなそれ。私にも後で教えろよ」


 エティは何も考えて居ないのか、俺の感知を信頼しているのか、平気な顔で感知の仕方を教えろと言って来た。


「そう言う話は、取り合えず安全を確保してからだな……」


「ああ、わりぃ。でも大丈夫だって、私らにはエルがいるからな」


 エティは俺の胸をこぶしで軽くたたき、大丈夫だと言った。


「エティ、頼り過ぎとか……エルに情けない所見せて良いの?」


「見せてねーし、うっせーし」


 エティは口を尖らせて、いつもの様にプイって顔を背けた。


 ケイが、エティを注意すると言う、もう見れないと思っていた光景が目に移った。


「ふふっ、エティは可愛いな」


 俺は終わってしまったと思っていたあの日常を感じたからか、安心し過ぎていつの間にか思考したままに口を開いていた。


「「はっ?」」


 ケイとエティは声を揃えて驚いた。


「おい、ケイ! お前が『はっ』って言うなし!」


 そう言いながらエティはケイの頭をぺしっと叩き、ケイはクスクスと笑った。だがケイは、何かに気が付いた様に笑いを止めて口を開いた。


「ちょっとぉ、あんた私には無い訳? 私だけ可愛いって言って貰って無い気がする」


 ケイは自分だけが可愛いと言われて無い事にご立腹の様だ。エティが派手にドヤ顔をしているせいもあるだろう。


「……なら、そういう風に思われる行動をとってみたらどうだ?」


 俺は、アイリと俺達の周囲の魔物の動向に気を配り、移動しながら会話を続けた。


「ど、どうしたら良いのか分からないわ。私、そう言う才能無いのかしら」


 ケイは、あたふたしながら必死に考え。結果、諦めた様だ。少しシュンとしてしまった。


「そんな事無い。俺はケイの事、可愛いって思ってるぞ」


 と、俺は今更言うのも変だろうとも思ったが、シュンとした彼女を見て変だろうがちゃんと言って置こうと思い口にした。


 嘘を言っている訳では無い。ケイは、と言うかこの三人はまだ子供だと言う事もあるのだろうが、全員可愛い系に入るだ。男勝りのエティですら、頭を撫でてやりたくなるくらいには。


「……嘘でも嬉しい物ね。なんかズルいわ」


 俺は、嘘じゃ無い事を伝えなくてはと思っていたが、その前にアイリが魔物と接触しそうになっていた。


「あ、不味い。行くぞ」


 二人に声を掛けて俺達は走った。直線距離にして300メートルくらいを保っていたので、割とすぐ視覚に収められ、俺達は安堵した。


「丁度これからって所ね。何匹?」


 ケイは俺に、アイリが当たるであろう魔物の数を尋ねた。


「二匹、だけど距離があるから上手くすれば……」


 迅速に処理を出来れば、一対一を二回に出来るかも知れない。と、告げた。


「んだな。アイリは一対一のが得意だからなぁ、私はどっちも行けるけど」


 エティもこう言っているが、俺は心配で出て行きたくてしょうがない。


「助けに行こう」


「だから見てなさいって。あんたならハイヒーリングを即掛けれるんだから大丈夫でしょ」


 それはそうだが、それも万能じゃない。即死攻撃を貰ってしまったら終わりだ。


「言って置くが、私等だって割と強い方なんだからな。あんま馬鹿にすんなよ?」


 エティはそんな簡単に死ぬわけ無いだろ、馬鹿にすんな。と、少しいら立ちを示した。


「馬鹿にしてる訳じゃ無い。その強さって奴を知らない以上は怖いんだ。仕方が無いだろ!」


 俺はなるべく分かりやすく、こう思うのは仕方が無い事なんだと伝え、立ち上がろうとした。


「馬鹿~馬鹿~、私の馬鹿~!!」


 アイリは怒涛の如く槍を突き出し、一体の魔物を無傷で仕留めた。


「ほら、聞こえて来た。あの子はね、うっぷんが貯まっている時はいつも魔物に八つ当たりをして、素直な気持ちを叫ぶの」


「ホントめんどくせーよな、素直に言えばいいのによ。まあ、けど、つえぇだろ?」


 それを聞いた俺は、彼女の素直な気持ちを知りたいが怖い。と、葛藤し、立ち上がろうとした足が止まった。そして、なおも聞こえてくる。


「私が弱いから、何も出来ないから、嘘つかせて人を騙させて。何も出来ない癖にそれが嫌なんて……大好きなのに……意地を張って全部壊しちゃうなんて。最低って言っちゃった……最低なのは私なのに」


 と、何故か彼女は魔物と戦闘中にもかかわらず、弱気になって行く声と同時に動きも止まり、敵の攻撃をただ待っている。


「え? 死ぬ気? ちょっと!」 「おい! まじーぞ?」 「テレポート」


 俺は彼女と魔物の間にテレポートして、魔物の攻撃を黒い剣で受けた……つもりが魔物の腕が落ち、前に力を入れていた反動でそのまま首も落としてしまった。いや、そんな事はどうでもいい。アイリが俺の事を大好きって言ってくれた。今はただ、それだけでいい。


「俺は、お前を助ける為についた嘘には誇りを持っている。お前がそばに居るだけで、生きて笑っていてくれているだけで幸せなんだよ。大好きなんだよ。だから、そばに居させてくれ。アイリーン!」


「あれ? 幻覚でも見てるのかな? もう死んじゃったのかな……えへへ、やっぱりエルは優しいなぁ。どうしてこんなにくっつきたいって思うんだろう。幻覚なら……どうせすり抜けちゃうんだろうなぁ」


 彼女はぽろぽろと涙を流し、こちらにすり寄り、顔を寄せ目を瞑り口をつけた。俺は、どうしていいか分からずに、取り合えず彼女の背中に手を回した。


「んっ、んんっ?」


 アイリはそれを受け入れ、背中に手を回し返して来た。そして、ゆっくりと抱き合い、口づけを続けていると。


「長女キーック」「私の存在忘れんなぁ」


 と、二人から俺は攻撃され、幸せタイムが中断された。


「え。あれ? ええ? 現実……なの? ぇぇぇぇええええええ!!」


 アイリは今更幻覚じゃ無い事を知った様だ。だが、もう遅い。俺はもう、有頂天だ。


「はっはっは、残念だったなアイリ。お前の本音を知った以上、もう離れて何てやらないからな!」


「エル、怒ってないの? 私、さっきあんな事までしちゃったのに……あわわわ」


「ふははは、そうだな。された事はやり返す権利が発生する物だよな、覚悟して置けよ。いつでも俺はアイリにチューしていいのだ。ふぁーはっはっは」


「「いい訳あるかっ!!」」


 俺はケイとエティに頭を強く叩かれ、ようやく我に返った。


「まあ、その、あれだ。皆、家に帰ろう」


 そう俺が言うと、ケイとエティは返事をしたが、アイリは泣き出して返事どころじゃ無くなってしまった。その位号泣してしまい、結局同意なしで強制転移をして家に帰って来た。


 その後、結局何が原因かが分かっていなかった俺に、アイリは心の内を話してくれた。彼女は、俺が、薄ら笑いを浮かべながら、良く分からないやり取りで情報を取る事ですでに不満を感じていたそうだ。そう言えばケイにも言われたっけな、その笑い方は止めろと。


 そんな状態だったから、早く友達を助けに行って終わらせたいと言う気持ちが加速して、無理を言った様だ。そして、何も教えて貰えずに帰されてあの惨状になった。


 アイリは、自分が悪かったと言っていた。だからこそ素直に言えなかった、すべては自分が弱いせいだから。と、狩りに出たが、もう全部遅いと言う事に気が付き死んでしまいたいと思ったらしい。


 俺は話を聞いた後、困惑した。どこに対して、不満があったのかが結局良く分からなかったのだ。


 俺の笑い方がそんなに嫌なのか?と、アイリに問うと。


「違うよ。エルは、自分を貶めるやり方で、大好きな人が自分を助けたら悲しくない?」


 と、答えた。あの位の事で貶めると言う事に、納得は行かなかったが、一つの言葉にすべてを持っていかれて俺は話を変えた。


「大好きな人か……大好きな人ね。大好き過ぎたらそうかもなぁ~」


 俺は、そう言いながらアイリをチラチラと見て、様子を伺うと。


「真剣に話してるのに。そう言う所、嫌いかも」


 そう言われてしまい、俺は平謝りをする事になり、この話はこれで終了となった。

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