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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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捜査


「それで、どうするんだ? 詳細が分からないから俺が発案する事は出来ないが」


 俺は事件の解決に対して、どう行動するつもりなのかを聞いた。


「大丈夫だ。あいつらがローレンに入ってから、人族の国に渡った事は分かってるんだ」


 そうか、行方は分かってるのだな。でもその範囲が国って……エティは大雑把過ぎないか?


「全然大丈夫じゃ無いけどね。ルディ様も動いてくださってるから、私達の出番は無いかも知れないけど」


 と、ケイが言う。ん? どこかで聞いた事あるな。ああ、アイリが出会えただけで嬉しいって言ってたやつか、敵だな。


「たとえそうでも、黙って待ってるなんて嫌だよ。どんな目に会ってるかも分からないんだよ?」


 ぐぬ、そんな顔するなよ。くそっ、どうにかしてやりたい……


「そうね。でも、どうやってアルテミシアに入る気? 国境から普通に入るとしても、審査で大分時間取られるって聞くわよ」


「そこはあれだ。エルにテレポートで連れてってもらおうぜ。さくっとさ」


 あ~そう思うよな、やっぱり……


「……悪いが無理だと思う。記憶にある場所に飛べるらしいんだ、この魔法」


「自分の国の記憶、一つも残って無いの?」


 あるかどうか、が分からないって所だな。


「うーん、はっきりとしてる所は無いな。もしかしたらそうなのかもって場所はあるけど」


「どう言う事だ?」


「はぁ、それ位分かってよ、リーダーでしょ。景色の記憶はあっても、そこが何処なのか分からないって言ってるのよ」


「分かってるし、うるせーし」


 エティは口を尖らせてぷいっと顔を背けた。


「そっか、記憶がとぎれとぎれって、とっても怖い事なんだね」


 アイリはそう言い、大丈夫。とぼそっと呟き俺の手をそっと握った。


「じゃあ、取り合えず飛んでみないか? 行って見てそこら辺の奴に聞いて見ればいいじゃ無いか」


 言われてみれば、魔法一つで帰れる以上行って見た方が早い事は確かだな。


「まあ、そうね。でもなんて聞こうかしら」


 ケイはその案に納得したが、此処は何て国ですか? とも聞けないだろうと考え始めた。


「なあ、一つ聞きたいんだが、人族って見分けつかないのか?」


「ああ、大体はつくけど……そうだったわ、人が多い所に行けば良いだけだわ。」 


 大体なのか。俺の記憶だと、魔人族は色白で見分けが出来る物だと言う記憶が合ったのに……まあ、肌の色なんて日焼け具合で変わってくるか。


「じゃあ、明日の朝にでも飛ぶか?」


「流石に、何の挨拶も無しに行くわけにはいかないの」


「そーだぞ、流石にルディ様には報告しないと不味いんだ」


「そうね。私達の願いで頼んでいるんだもの。勝手にいなくなる訳には行かないわね」


 と、何故か俺までその男の所に行く事になり、彼女たちは明日の朝から出かけるから、早く寝ようと自室に戻って行った。しょうがないので俺もそれに合わせて寝る事にした。


 そして次の日、俺は彼女達に連れられその男の所へと足を運んだ。


「やあ、よく来たね。いらっしゃ……」


 彼は俺を見て言葉を止めた。ああ、分かってるさ、お前も記憶を失う前の事でどうたらとか始まるんだろ?


「ル、ルディ様?」


 アイリは、彼の動きが止まった事に驚き、少し困ったように彼に問いかけた。


「ああ、済まない。彼はどういう知り合いなんだい?」


「うんと、アイリが瀕死のこいつを助けたら懐いちまったんだ」


「馬鹿、それじゃ分からないし、敬語くらい使いなさいよ恥ずかしい」


 ルディと言う男の問いかけにエティが答えると、ケイが言葉が足りないと叱責した。そして、結局ケイが起きた事を詳細に彼に告げると、何故か彼は『そうか、良かった』と呟いて全員に向けた会話が再開された。


「と、言う訳で、これから四人で捜索に行ってこようと思っています」


「……ダメに決まってるだろ、危なすぎる。もう少しで解放出来るはずなんだ。それまで待っててくれ」


 彼は彼女達の身を案じ、もう少しだから待て、と言った。


「でも、私達、じっとしてられないんです。大切な友達が、苦しんでいるかも知れないのに、ただ待ってるなんて……どうか、行かせてください」 


 アイリはうつむきながら、行かせて欲しいと懇願した。そして、困った表情をした彼は、何故か俺に視線を向け口を開いた。


「……そうだな。じゃあ、君がこの子達を守ってくれるかい?」


 彼は何故か、何の信用も無いはずの俺に対して、そう聞いた。


「逆にダメだと言われようとも、俺は彼女達を守ります。俺の命に代えてもです」


 俺は、お前に従う訳では無い。という意味合いを込め、守ると伝えた。


「そうか、なら、これを条件付きで君に託そう」


 彼はそう言うと、転移で居なくなったと思うと、数秒で戻り、鎧と剣を持ってきた。


「これを受け取る条件は一つ、自分で使い続ける事。要するに売ったりはするなって事だけだ。どうかな?」


「何故、いきなり俺に託そうなんて思ったんですか? 装飾とかあるし結構高そうですけど」


 と、俺が言うと、エティが何故か激怒した。


「おまっ、ばっかじゃねーの? 高いなんてレベルじゃねーし、オリハルコンだぞ」


「へっ? マジか……でも、それなら、なおさら意味が分からないだろ」


 やばいな、オリハルコンって小さなコインですら金貨の上位貨幣だろ……


「深く考えなくていいさ。彼女たちを守る為に絶対的に必要になる物だ。この子達は何度言っても無茶を止めないからね。君の本気を受け取り、彼女たちを守って欲しいからこれを託す、とでも思ってくれ。」


 とでも思ってくれ、か。まあ当然だが、裏がある様だな。


「やっぱり、理解が出来ません。ですが、確かに貰えるなら絶対に欲しい物ですね。一生売ったりせずに、返還を求められたら応じればいいんですかね?」


 そう、この男が後で回収に来るとしても、それまで使わせて貰えるなら大分プラスに働くだろう。一応、アイリたちの知り合いで彼女達が信頼している人物でもあるし、意味が分からなくとも彼女たちを守る為に此処は受け取っておくべきだろう。


「あ~、ああ、まあ、そう思ってくれていい。仮に壊しても文句は言わない。守る為に全力で使ってくれ」


 ……やっぱり可笑し過ぎる。止めて置いた方が良かったか? だが、普通の装備すらない俺には喉から手が出る程の物をさらに何段階か飛び越えた装備だしな。後々の面倒はしょうがない物として、心しておこう。


「あの、ルディ様? どうして……」


 アイリは少し悲し気に、真剣な表情でそう聞いた。


「彼が俺の兄さんと被って見えるから、かな。」


「確かに、彼はフルヒーリングが使えるし。テレポートも出来る。でも、だからってそんな……」


 ケイは稀有な魔法が使えるからと言って、英雄と同列に語るなんてと、困った表情をした。


「ルディ様は驚かないんですね、知っていたんですか?」


「……ノーコメントと言って置くよ。兄さんに怒られてしまうかも知れないからね」


 と彼は俺に視線を向けてからそう言った。だがそこまで言ったら教えろよ。素直に言えよ。イケメンはこれだから困る。などと思っていると、彼は『まだなのか? それとも記憶喪失でか?』と呟く声が聞こえて来た。


 そして話は終わり、彼は無理だけはしない様にと告げ、俺達はその場を後にした。


「なあエル、装備交換しようぜ。なっ、良いだろ?」


「こらっ、止めなさい。ルディ様の言いつけを忘れたの?」


「そうだよ。もう、エティは……エル、良く似合ってる。ピッタリだね」


「本当にピッタリだな。それにこれ、やばい位に高位な装備だよな」


「大英雄フェルディナンド様の装備だからね。お金がどうこうの装備じゃ無いんだよ」


 アイリは真剣な表情で、装備を触りながらそう言った。


「まっさかこんな事になるなんてなあ。まあ、いっか。よし、行くぞエル!」


 いつもの如く何も考えて無い彼女は、早速行くぞと声を掛けて来た。


「回復薬の準備とかいいのか?」


 俺は問いかけ彼女達に目をやると、彼女達は俺を指差した。


「せめて、人扱いしてくれよな……テレポート」


 そうして、俺達は、どことも知れない場所に転移したのだった。


「あら、これはまた、凄い場所ね。廃墟かしら?」


 壊れた家屋が立ち並ぶ場所に出た様だ。ケイの言う通り廃墟の様だなと思っていると、その奥で生活している人が見えたので、俺達は声の音量を下げた。


「なあ、お前達、耳と尻尾は隠さないのか?」


「あっ、そうだよね。捜査の基本だよね」


 と、意味の分からない事を言っていても可愛いアイリ……では無く。アイリたちは思い出したように、フードや防具で獣人の特徴を隠した。


「んで、どっちに行けば良いんだ?」


 エティは、さて、準備が整った。と向かう方向を問う。


「まあ、普通に考えたらあの壁の向こうに町があるはずよね。見えないけど」


 ケイが、いつもの様に一般的な予測をして向かう方向を決めた。


「なあ、ケイ。お前リーダーやったらどうだ?」


 俺は、もういっその事リーダーはケイがやった方が事が円滑に回るんじゃ無いかと提案した。


「ばっ、エル……あ~もう……泣いちゃったじゃない……」


 ケイは、俺に注意をしようとしたが、もう遅かったと言葉を止めた。


「いいよぉ、どうせわだし馬鹿だじ……ぐすっ……ケイがやればいいじゃん……」


 俺は、絶句した。あのエティが泣いただと……そして、俺が対応しそうに無い事を見抜いたアイリがとっさにフォローに出た。


「私はエティを頼りにしているよ。一番に突き進むし、この中で一番強いじゃない」


 俺は、アイリのその言葉でようやく我を取り戻し、エティに声を掛けた。


「別に悪い意味で言った訳では無いぞ。エティにはエティの良さがある。その良さを生かすには、リーダーよりも隊のエースの方が合うんじゃないか?」


 ケイがため息を付いて、『もう、遅いわよ』と呟いていたが、俺は気にせず彼女と向き合い話を始めた。


「エースとリーダーっで、同じだろぉ……いいよぉもぉ」


「違うぞ。物事を考える奴と、前に出て戦う戦士、どっちも必要だ。違うか?」


「ち、違わない」


「お前は前に出て戦う戦士だ、物事を考えるのは、そう言うのが得意な奴に頼めばいい、そうだろ?」


「そうかも」


「じゃあ、エティが気に病む必要なんて無いじゃないか。エティは元気な方が似合うぞ」


「うん、無い、分かった。ごめん」


「「エティを言い負かせた!?」」


 アイリとケイは一斉に驚いて、いつもなら30分は……とか言いながらコソコソと内緒話をしている。


「ばっ、私は負けて何ていねぇ。でも、間違って無いと思ったんだ。これからは私はエースで良い。でも、それならリーダーはエルがやれ。お前回復薬だろ?」


 エティは、泣いていたのが嘘の様に立ち直り、俺にリーダーをやれと言って来た。だがその前に、発音が違う、俺は薬じゃねぇ。と思いながらも、それは出来ないと断った。


「……回復役な? てか、俺がリーダーで良いのかよ。新参者をリーダーに当てたりなんて普通しないぞ。全員からの信用がある奴じゃ無いとダメだ」


「「良いんじゃ無い?」」


 だが、何故か二人も異論は無い様だ。確かに、リーダーとして今後を決められれば無茶をさせなくて済むだろうと思い、俺は受け入れる事にした。


「……全員が良いって言うならいいか。分かった。取り合えず今回の件の間は引き受ける。それからはまた相談して決めよう」


「「「分かった」」」


 全員の同意を得られたので、俺はあの壁の向こうに移動しようと壁沿いに歩いて行った。


「あ、あそこ、入り口じゃない?」


 アイリの言葉に皆が視線を向け、足を速めようとしていた。


「ちょっと待った。まずはこのまま人の出入りを見て、種族を見極めよう。無理そうなら入る方向で」


 俺は、無理に入る必要は無いと彼女達の足を止めた。


「どうして? どっちにしても情報は必要でしょ?」


「いや、テレポートで物資の調達はどうとでもなるんだし、街道を移動する行商人からでも情報は得られる。他種族の不法入国なんだ、確証も無いのに危険に飛び込む必要は無いさ」


「た、確かにそうだわ。テレポートって凄いね」


「なっ、私が勧めた意味が分かっただろ?」


「やっぱりエティは私達の長女ね」


 ケイは、面倒くさそうな顔でそう言った。それで効果があるのか? と思ったが、思いのほかエティは満足の様だ。


「うーん、確証は無いけど、やっぱりアルテミシアで良いんじゃない?」


 通行人はさほど多くないが、見た限りでは人族の様だと話がまとまり、俺達は行動に出る事にした。


「んじゃ、俺が声を掛けるから、お前たちは喋らない。それで、話を聞いて覚えて置く事、いいか?」


「なんで覚えて置くんだ? お前が全部決めるんだろ? リーダーなんだから」


「まあ、そう言うパーティは多そうだが。それよりも、意見を聞いて、自分の意見を混ぜて、それから決める。その方がお互い良い気持ちで動けるだろ。意見が割れた時だけ俺が決めるようにしたい」 


 責任の分担と言う言い方もあるが……それは言わないでおこう。


「まあ、当然ね。でも嬉しいわ」


 ケイは、珍しく可愛いスマイルを見せ、俺を見つめた。俺は、まあ当然だしなと答えて移動を開始した。


 そして、馬車を引く行商人であろう男に、俺は突然声を掛けた。


「なあ、情報交換をしないか?」


「なんだ、ガキ、喧嘩売ってんのか? ぶっ殺すぞ!」


 商人の男は、うぜぇ、と言う顔をして、近寄ってくるなと言うアピールをした。俺はステータスのレベルだけを開示して、話を再開した。


「どうだ? 話し合い、してみないか?」


 俺は、ニヤニヤといやらし笑いを浮かべた。


「あ、ああ、分かった。何が聞きたい。」


 商人の男は少し戸惑ったがすぐに平常心を保った様で、会話を再開した。


「最近、大口で獣人の奴隷を入手したって町を知らないか?」


 俺は、そのまま本題の情報を引き出そうと話を振った。


「ああ、なんだその話か。あんた、来たばかりか? この町じゃその話で持ち切りだぜ?」


 ……早速当たりひいちゃったみたいだな。


「……この町だったか。じゃあ、対価の情報としては、勝ちすぎてしまうか?」


 俺は、出す情報をフルヒーリングの事にしようと思っていたが。少し考えた。


「もったいぶってねぇで教えろよ。こっちはちゃんと話したんだ」


 だが、考える時間は与えてくれなそうだな。と思い答えた。


「ああ、フルヒーリングを使える者が確認されたらしいぞ」


 ここまで情報を狭めれば面倒は起こらないだろうと、誰かどころか場所すらも伏せた。


「ま、マジかよ。そりゃすげぇな。だが、それだけじゃ金にはなんねーな。場所は?」


 商人の男はもっと情報をよこせと言って来たが、俺はそれを許さなかった。


「おいおい、こっちだってそれだけじゃ金にならねぇんだ。欲張んなよ」


「ちっ、じゃあな」


 男は気に入らなそうな顔をしたが、一応は納得した様だ。舌打ちをして、去って行った。


「ああ」


 男が去って行った事を確認した後、彼女達は思い思いに声を上げた。


「エル、すごーい」


「てか何よあの笑み、もうしないでよね。気持ち悪い」


「おい、今度は私にやらせろ。面白そうだ」


 俺は、目的の話が一切で無い事に呆れ、口を開いた。


「お前らな、孤児院の仲間は良いのか?早速当りを引いて、この町にいるかもしれないんだぞ?」


 彼女達は俺の言葉に我に返った様に表情を変え、口を開いた。


「「「行こう」」」


「ハイちょっと待ったー。お前達、まさか突撃するつもりじゃ無いよね?」


 俺は彼女達をこのままいかせたら奴隷商人にそのまま突撃しそうだからと、町に入る前に確認を取る事にした。


「当ったり前だろ。場所は分かったんだ、奪われたものは奪い返すしか無いだろ」


 やっぱりか、こいつの頭には敵を知るって言葉は無いんだろうな……


「私も、流石にここで足踏みはしたく無い。エル、行かせて」


 アイリ、そんな求める様にいかせて、なんて言うなよ。同意しちゃいそうになるだろ。


「……そうね、意見はまとめてから行くべきよね」


 はぁ、やっと真面な意見が出たな、ケイと話してる時が一番安心できるわ。


「そうだ、まず意見をまとめる。エティ、アイリ、ケイ、作戦はあるか?」


「無い。言った通りだ、そのまま奪い返す」


 エティは思った通りの返答だな。


「取り合えず私はあの子達を安全な所に連れて行きたい。考えるのはそれからにしたいよ」


 アイリは扱いが酷いであろう事から、一刻も早く仲間の安全を確保したいと思っているだけみたいだな。


「そうねぇ。少なくとも敵戦力は把握したい所よね。……まあそれが難しいから突撃するしかないとも思ってるんだけど」


 なるほどな。確かにそう言うのは奥の手も含めたら、早々暴けるもんでも無い。だが強者がどれだけ町にいるか、それ位なら分かるもんなんだよ。ケイも詰めが甘そうだな。


 俺はそう思いながらも、取り合えず情報を集めるまで突撃はしないでくれと話をまとめ。町に入る事にした。

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