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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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挨拶

「ん~体貸すってどうやってやるんだ?」


「知らないわよ」


「分かる訳ないよう」


「そう言えばあの時のエル、言って無かったよな」


 俺は貸す事を決意したが、どうやって貸したらいい物か分からず戸惑っていた。


「取り合えず、寝てみたら良いんじゃないのぉ? 昨日は寝てる時だったんでしょ?」


「ああ、そう言えば。なんかあまり寝た気がしないし、そうさせて貰おうかな。」


 そうして、俺達は屋敷に帰り布団に着いた。


「……やっと出て来れた。じゃあ、二日程行ってくる。二日をオーバーするようなら、一度どのくらい超えるかを伝えに来るからさ。心配せずに適当に過ごしていてくれ。テレポート」


 そう言うと、彼はそのまま転移でどこかに飛んだ。ここは、どこだろう。


「ああ、ここはミルフォードの王城内部で謁見の間だよ」


「貴様、何者だ。ここをどこだと思っている」


 俺達? いや、俺はフルプレートアーマーを着込んだ戦士たちに取り囲まれた。


「ああ、父さん居ないかな? って、それじゃダメか。アルフ・グラエム・ミルフォード様はいらっしゃいますか?」


「ふざけるな! お前みたいな不審人物に会わせる訳が無いだろう。名を名乗り大人しくお縄に付け。」


 近衛兵であろう者達に取り囲まれ、逃げ場が無くなった。大丈夫なのか? これ。


「ああ、そんな時間は無いんだ。えーと、俺は、フェルディナンドの記憶を継し者。エルバートと言う者だ」


 お、おい、人の名前勝手に使うなよ……


「なんだよ、騒がしぃな。何だ? 賊か?」


「ああ、良かった会えた。父さん俺ですよ、フェルです。って言っても生まれ変わりですが。」


 こ……国王陛下か……後々何かあっても面倒だから真面目に傍観してよ……


「はぁ、またこの手の輩か……分かった分かった。んじゃ間違い探しだ。お前の母さんは聡明で優しくて、いい匂いで、危機対応能力にも優れていて……」


「はい、ダウト! 母さんは追い込まれるとダメな子です。ちなみに凄くいい匂いです」


「む、じゃあ次だ。お前の装備は何製だ」


「全身オリハルコンで作って貰いましたが、それは、俺だけが知っている事では無いのでは?」


「ムムム、ではもう一つだ、お前のパーティメンバーの名前を言って見ろ」


「それも、知られている事だと思いますが……アデル、メルディナ、アルファ、兄弟として、シャノン、フィービー、ルディ。最後の時にリーアにも一緒に戦って貰いました。と言うか、五歳で父さんを超えたとかの話のが手っ取り早い様な……」


「おい、超えてねーだろフェル、超えられたら困るって言ったんだ。ああ、お前達、下がっていいぞ」


「ふふ、信じてくれたみたいですね、父さん」


「ああ、違和感はあるがな。だが、そうだとしたら何故もっと早く来なかった」


「俺の今の名はエルバートと言います。彼の中の人格の一つでしか無い存在。と言えば分かりますか?」


「ああ、何となくだがな。そのお前が何しに来たんだ? 遊びに来てくれた訳じゃ無いのだろう?」


「ええ、いつかは遊びに来たいものですが、俺はもう本当ならいない存在なので……今日来た理由はルディが今どこにいるのかを知りたくて、手がかりでも教えて貰えればと思いまして」


「ん? お前が言ったんだろ? 俺の娘の騎士になれって」


「……確かに進めましたが、それはやっぱりいいから自分で選べって言ったんですがね。て事は此処に居る訳ですね?」


「あ~どうだろうな、ミッシェラも割とあっちこっち言っては色々やってるからな」


「ミッシェラ姉様でしたか、唯一お話をした事がありますね。では、居たらで良いんですが、ルディに声を掛けて貰ってもいいですか?」


「それ位ならかまわんさ。大英雄」


 国王はそう言い、近衛兵に手を振ると、振られた一人が即座に居なくなった。


「ははは、虐めてますよね?」


「ふはは、相変わらず謙虚な様だな」


 と、その時、テレポートによる移動で、一人の男が現れた。


「また、兄さんを名乗る輩ですか。ここでなければ切り捨てたい所ですが」


 ……マジかよ、トラウマ降臨した上に、殺す宣言してるんですけど。


「よぉ、久々だな。もう金貨は無くさなくなったか?」


「何を……お前はっ!」


 うはっ、気が付かれたっ、大丈夫なのか、これ……


「はぁ、せっかく可哀そうだからともう一枚くれたってのに覚えてないのか……いつも俺を立ててくれてたのになぁ」


「くっ、兄さんの振りはよせっ、此処で無ければ……」


 おい英雄、もっと頑張れよ。殺る気満々じゃねーか!


「おい、そろそろ止めろ。隷属解いた時とは状況が違うんだ殺されてはやれない。それに、フィーとシャノが泣くぞ。ってもう生まれ直してるけどな」


「なっ、ほ、本当に兄さんなのですか?」


 お? こいつ、奴隷だったのか。


「やっとか、それなら、父さんと同じく俺にしか分からなそうな質問でもしてみろよ」


 うん、此処は畳みかけるべきだな。


「じゃあ、俺が兄さんと初めて会った場所は?」


「ジャスタスさんの所だろうが。もっと俺しかわからない事聞けよ」


 おい、あんまり煽るなよ。分かんない事言われたらどうすんだよ。あ、無いか。


「じゃあ、俺が初めて魔物を倒した時はどうやって倒した」


「ん~、あ~、ああ! 俺がアイアンクローで捕まえてやったままで突き刺したんだったな、確か。」


「本当に……兄さん」


 おお、これは信じたくさいな、一安心か?


「ああ、生まれ変わりで、この体の人格は別にいるけどな。」


 ふぅ。ここで隠さないで言うって事は、ちゃんと返してくれる気がありそうだな。


「それは、俺が昨日戦った時の兄さんですか?」


「ああ、お前、リミットオーバーを見て大分感情的になっていただろ。このままじゃ危険だと思ってな」


「兄さんは俺の事どこまで分かるんですか? 確かに生かしておけないとは思っていましたが」


 ……選択を間違わなくてよかった。これ記憶があったくらいじゃ無理だったわ。この場所で、体貸さなかったら危なかったんじゃ無いか?


「やっぱりか。お前は俺を中心に考えすぎなんだよ。ちゃんと結婚したのか?」


「え? いえ、俺なんかが結婚なんて」


 あれ? なんか急に話しが変わったな。


「好きな子とかできなかったのか?」


「ふふ、それは私の事かしら? フェルちゃん、でいいのよね?」


「ミッシェラ姉さん、お久しぶりです。って、え? ルディ、姉さん好きになっちゃったの?」


 ん~どうでも良いな。まあ、話はつけてくれたし、後一日は貸したままでも良いか。


「え? あ、いえ、すみません」


「謝る事じゃねーよ、頑張れよ」


「ほらっ、フェルちゃんならそう言うって言ったでしょ?」


「ですが、俺は元は平民で、種族も違うし」


「まあ、後は当人同士でやってくれ、俺はそろそろ行くからな」


「待って下さい、せっかく会えたのに……」


「まあ、俺はこの体の主と人格融合するかもしれないし、また会えるかも知れないぞ? もしかしたらまた、体貸して貰える時が来るかもしれないしな」


 あら、この状態でも伝わっているんじゃないのか? もう良いのか?


「分かりました。ではその時まで、その体守らせて頂きます」


「……姉さん、ルディの手綱、よろしくお願いします」


「も~、暴走状態にする前に言って欲しいわ。まあ、でも分かったわ」


「では、父さん、失礼します。また会いましょう。テレポート」


 ……今度はどこだよ、もう驚かねーぞ。


「よう、久しぶりだな、アルテミシア」


 って、おーいっ。また王様かよ!! 大丈夫なのか? 敵対してたんだろ?


「はぁ? 少年、忘れろって言ったはずだよ、勝手にこんな所は行って来る……どうやって来た」


 お、覚えてくれてたんだな。なんか嬉しいもんだな。


「テレポートに決まってるだろうが。ちょっと待ってろ、お前に信じさせるネタ考えてるから」


 ちょ、お前言葉に気をつけろよ、お前はたかだか王子だろうがっ!


「何を言っている。少年、余り舐めてると痛い目に合う事は重々承知だろうに」


 俺はもちろん知っています。こいつが悪いんです。


「お前。BLでご飯何杯いける?」


 ん?


「それはカプによる。ってええ!?」


 何の話だ?


「久々だな、フェルだ。やっぱり腐ってやがったか」


「それを先に言えって。何でお前はいつもネタから入るのよ」


 何故、理解した? まあいいか。おそらく危機は去った、のか?


「まあ、お前の所には遊びに来たんだ。俺の体の主もちょっとくらいなら良いと言っていたからな」


 こっちの声、聞こえてんじゃねーか。まあ、確かに、今の俺の声に言葉を返しても変な奴にしか見えないが。って遊びに来たのかよ。


「そうか、よく来てくれたね。って遊びかよ。って事は用は無いの?」


 ほら~、アルテミシア王も仰っていらっしゃるじゃないか。


「まあ、しいて言うならば、この体の主をよろしくって所だな」


 あ、え? そう言うの良いから。そんな凄いコネあっても使えないし。


「はぁ? 何? フェルは今うちの国の子供を乗っ取ってる状態なの?」


 ああ、そうなるな。もっと言ってやって下さい。


「いや、生まれ変わって記憶が中途半端に残ってたんだ。多分女神のせいだろう。本人に頼んでちょっと借りてる状態だ」


 女神……なのか。確かに英雄譚には出てくるけど……


「そう、なら良いけど」


「てか、お前の復讐の形はそういう風に落ち着いたんだな。優しい奴め」


「そう言うのじゃないわよ。てか、言うな。外で言ったらぶっ飛ばす」


「だそうだ、エルバートよ、心に刻んでおいてくれ。こいつは結構無茶する奴だから」


 ぐぬっ、知ってるよ、魔物の群れとの大立ち回り見てたし。


「お前にだけは言われたくないわっ! さっさと帰れっ!」


「はいはい。じゃあ、またいつかな。テレポート」


 また、同じ空気がする。まさか……


「国王陛下、お久しぶりです。生まれ変わったのでご挨拶に来ました」


 やっぱりかぁ。もう慣れたよ。


「なんだ貴様っ!」


 いや、やっぱり慣れてない。ダメだ、怖いもんは怖い。


「良し、わしが相手をする。下がっておれ!」


 え?ええ~?


「「「ダメです!」」」


 ですよねぇ~。


「はは、相変わらずですね。父さん、いえ、ミルフォードの王……は降りたんだっけか? あれ? でもさっき王座に座ってたし……まあ、いいや。父、アルフ・グラエム・ミルフォードは結局、約束守って謝ってくれました?」


「……本物の様じゃな。あの騒動の後、お前の父は結局王座は降りておらん。それを知ってるのはお前とその家族、それとわしくらいじゃな」


「ああ、そうでしたか。手間が省けましたね。またここで稽古をつけて貰う羽目になるかと思っていたのですが」


「ふむ、面白い。だが、お前強そうじゃしなぁ、こっちが稽古をつけられそうじゃわい」


 やっとわかる話になったと思たらこれかい。でも、やらずに済んで良かった。


「そうですか、じゃあ、まだ100レベルとちょっとなのは黙っておきましょう」


 ちょ、言うなよ、やる気になったらどうすんだよ。


「木剣じゃ、木剣を用意せよ。なんてな、最近歳での。昔より元気が無くなってしもうてな」


 ふう、流石は国王様だ。空気を読めていらっしゃる。


「本当ですか? さっきも俺とやり合おうとして怒られてたじゃないですか」


 あんまり無礼な事言うなよ。公爵様にはお世話になってるんだからなっ!


「ぬう、つい癖でな。して、何しに来たんじゃ?」


「顔を見せに、ですかね? 公爵様にもこの体の主はお世話になってるようですし」


 そうそう。って、言っちゃったら……まあもう遅いか。もうこいつヤダ。


「何を企んで居る」


「俺としては、元嫁とまた巡り合いたいと言う位ですね。しいて言えば、生まれ変わりのこの体の主は、帰る場所を作る為に村を作ったみたいなので。そこに元嫁をおびき寄せたいとは思っています」


 む、初耳だぞ。俺は好きでも無い奴をなんて嫌だからな。


「分かるものなのか?」


「ええ、分かりますよ。もう結構集まってますから。意識の表に出れなくても、とてもいい夢を見ている気分ですよ」


 え?じゃあ、もしかして……ジェニやミラも……


「そうか、それは良かったの。わしにして欲しい事はなんじゃ?」


「いえ、特には」


 やっぱり無いのか……


「ん? 何かして欲しくて、それを言ったのでは無いのか?」


「いえ? 顔を見せに来たのですが」


「ふぉっふぉっふぉ、相変わらずおもしろい奴じゃて。何か合ったらまた来い、お前には借りもあるでの」


 こっちにも貸しがあるのかよ。流石は英雄様だ事で……


「ありがとうございます。ではそろそろお暇しますね。いきなり失礼しました」


「ああ、そうじゃった。お主の父は結局、謝らんかったぞい」


「テレポート、え?」


 あ、ここは見たことある。良かった。やっと戻って来た。生きた心地がしなかった……


「お、おかえり? まだ早いよね? まだ途中?」


 ミラはまだ数時間しか経っていない事に驚き、途中で戻ったのか?と聞いて来た。


「いいや、終わったよ。ルディにもちゃんと言い聞かせて来たからね。心配しなくていいよ、ミラ」


 彼はミラの頭を撫でて優しく微笑んだ。


「え、えへへ、なんか心があったかいよう」


 ミラはふにゃっとした顔になり、もじもじしている。


「あの、ありがとうございました。良かったです、無事で」


 ジェニがその隙に前に出て来て、お礼を告げた。


「いいや、俺がやりたいからやった事だから、気にしないで良いよ。ごめんな心配だっただろう、エルバートの体だし」


 ああ、何となく分かった。やっぱりミラやジェニは前世の嫁なんだな。まあ、前世でも嫁って事には、嫌な気はしないな。


「いえ、よく考えたらフェルディナンド様が、下手を打つ訳ありませんでした。失礼をしてしまいました。申し訳ございません」


 おーい、ジェニ?なんかおかしく無いか?お前がそこまで丁寧に話すの初めて見たぞ……


「ふふ、畏まるなんて似合わないよ。ジェニ、良かったらフェルって呼んでくれないか?」


 はっ? おい、ジェニは俺の嫁! よ……嫁、になる予定! だから止めろって。怒るぞ。


「はい、フェル様。はぁ、感激です」


 グハッ……ジェニよそんな顔、するんじゃない。何という切なさ……


「これ以上はエルバートに怒られそうだな。そろそろ彼に戻るよ」


 もう……手遅れだよ……


「ああ、もっとお話を……」


「……全部聞いてたからな。はあ、あいつの言う通り嫁探しでもするかな。お前はあいつが良いみたいだし」


「え? お兄? 聞いてたの?」


 ジェニは後退りながら、気まずそうに疑問を投げかけた。


「全部な、お前、俺に説教できる資格無くね?」


「私のは、違うもん。憧れとか、尊敬とか、そういうものだからね」


「頭なでられたミラを見て羨ましそうにしてたのに?」


「うっ……ちょっと位良いじゃない。お兄のケチ」


 そんなこんなで俺は英雄がどんな奴かを知り、少しだけ、ほんの少しだけ心を許し……いや、やっぱり許せないな、ジェニは俺のだ! ……俺のか? あ、良い事思いついた! あいつが俺になれば良いんだ!


「リミットオーバー」


「「「ちょ、え!?」」」

ミルフォード国第三王女の名前を間違えてました。

ミッシェルからミッシェラに訂正しました。

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