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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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双子


 俺と、ジェニは要件を果たし、村へと向かった。


 装備は結局、中古の中の安め物を狙ったが、3セットが限界だった。まあ、村人の人数を考えれば、取り合えず、何とかなるだろう。彼らは畑のつなぎと言っていたしな。


 そして、俺達は村予定地へと帰って来た。


「よぉ、ただいま」


 と、二人に声を掛けると、まるで自分の装備を買ってきてもらったかの様に、装備をあさり、自分の装備と比べ始めた。


「ん~、変わんねぇな」


「そうだね、ボロさも一緒」


 彼等は、何かを納得した様に装備を置いた。だが、俺はエミールに声を掛けた。


「ああ、エミール、お前元々リーチ長いのずっと使って来ただろ?だから、ついでにお前にも槍を買って来たんだ」


 そう言うと彼は飛び上がり、一本しかない槍を手に取りちょっと試しに行って来ると遠ざかって行った。俺は大声で返す金から引いておくからなと言うと、少し振り返ったが足は止めなかった。


「もう、お戻りになられたので? 往復で四日は掛かるはずでは?」


 振りむくと、ロルさんが驚いた表情で問いかけて来た。


「いえ、まあ、走って移動しましたからね」


「それは、お疲れ様です。それで、どうでしたか?」


 俺は、言葉を返さずに買って来た物を彼らに渡した。


「おお、あの額でこれほどの装備が……」


「すべて、中古ですからね。質も下の中と言った所でしょう。俺らが付けているのと同等かそれ以下です」


 俺が金を出したエミールの槍はもうちょっといい物だが、彼らの代金から買えるだけと考えるとこれが限界だったのだ。


「十分です、これならば死なせずに糧を得る事も出来ましょう」


「いえ、安全を取って、怪我すらも早々しない様になって頂きます」


 そう告げると、ロルさんは再度頭を下げ礼を言い、レベルが高い者の所へと足早に歩いて行った。


 そして、装備を装着した彼らを連れ、俺達は森の中でみっちりと教育した。レベルは適正を超えていた為戦闘は問題が無く、索敵を念入りに教えると支援の必要は無くなり、俺達は役目を果たした。一応、二日様子を見たが問題がなさそうだったので、また村人たちに集まって貰った。


「ええと、これで皆さんは自活が出来る様になったと思います。なので、予定の通り俺達は一旦此処を離れるつもりでいます」


 そう告げると、彼らの顔は皆一様に不安の表情を浮かべ、こちらを伺った。


「何か、言いたい事はありますか? 少しの事なら時間を取っても良いと思っています」


 と言うと、ロルさんが彼らと話し合いをして、代表して返事を返した。


「我らには今、返せるものが一つもありません。ですから話し合って決めました。ここを離れている間は、この子等をお好きなようにお使い下さい。小間使いでも、奴隷でも」


 ロルさんは、よく似た俺達と同年代の女の子二人を差し出して、そう言った。俺は、頭に血が上った。


「それは、村人全員のつけを、この二人を代金にして、支払う、と言う事か?」


 俺は得をするはずなのに、彼等を睨みつけながら、言ってしまった。


「それは違います。恩返しと言う意味合いもありますが、労働力として使って貰いつつ、外の世界を見てくる、それも村の為になるのです、もちろん本人も望んでおります」


 二人の女の子も首を縦に全力で振っていた、それを確認すると血の気が引いたようだ。どうやら俺は、売られるという事にトラウマを覚えている様だ。


「……いかがわしい命令をするかもしれない、とか思わないのですか?」


「もちろん、それも含めて本人も了承しています」


 な、なんだってぇ~。あからさまに動揺をしていると、うちの女性陣にめっちゃ睨まれた。これは危険だ。


「そう、ですか……まあいいか。では、ありがたく受け取らせて貰います」


 そう言うと、殺気のような物を感じたが、何とか堪えた。これは利益になるからだ。上手く稼げれば、彼女たちに行商人をやらせる事も出来る、これは確実に村の為にもなるのだ。最初は足手まといで大変だろうが……


「では、どのくらいになるかは分かりませんが、しばらくここを離れます」


「必ずや作物を実らせ、年貢を納めさせて頂きます。どうか……いってらっしゃいませ」


 彼は言葉を選びながら、行ってらっしゃい。と言った。そうして、俺の中の警戒心は綺麗に無くなったようだ。もう少しなら頼っても良いと告げても、彼らは自分たちで頑張ると決め、お返しを出来る様に努力をすると返して来たのだから。


「じゃあ、今度は肉だけじゃ無く、野菜などを楽しめる事を期待しています。では、行ってきます」


 俺達は、新たに加わった女の子二人を連れ、見送られながら街道を歩き出した。


「なあ、お前たちは本当に良かったのか? 何されっかも、分かんねーのに」


 皆が見えなくなった直後、エミールは直球で疑問を投げかけた。


「はい、私達、もう他に家族はいませんし、一度町にも行って見たかったですし」


 一人の少女はそう言った。


「でもさぁ~、奴隷って言わなくても良かったんじゃない?」


 ミラも会話に入り、当然の疑問を問う。


「いえ、恩返しもしたいんです。その……いかがわしい事だとしても……」


 ……本当に本人の了承あったのか。もう一人の少女は顔を赤らめ、うつむきながらも俺をチラチラと伺っている。


「お兄、私怒ってるからね。」


 まて、俺は何もやっていない。ミラにだって手を出していないだろうに。


「何故だ? 我が家の教えに従っただけだが」


 そう、これは儲かるのだ。町に行って仕事をさせればお給料は俺に入ってくる。


「母さんみたくなっちゃうよ? そしたら私嫌いになるからね?」


 なっ、いくら何でもそりゃ無いだろう。あれになるのは振りでもしんどいぞ?


「ぐぬっ、待て待て、ミラを見ろ。俺が何かひどい事をしたか?」


 そう言うと、皆の視線がミラに向かう。


「一杯してるよねぇ、私忘れてないからね。ミニ中級魔法使いとか言った事」


 ふふ、それで仕返しをしたつもりか? ミラよ、このなごんだ空気を見ろ! そしてありがとう。


「あ、それ言ったの俺じゃね? すっげー笑ったよな」


 と、エミールが援護射撃をして、今度はミラがぐぬぬと言った。


「まあいいわ。まずは名前からよね、私はジェニ、あなた達は?」


 ジェニは取り合えず矛を収めた様だ。


「姉のキャロル12歳です」


「妹のチェルシーです。双子なので同じです」


 二人は、どうやら俺達と同い年だった様だ。


「俺はエルバートって知ってるよな、年齢は皆一緒みたいだな」


 二人はコクコクと頷き、年齢が一緒だと言うとすごく驚いた様子だった。エミールとミラも自己紹介を終えると、キャロルが真剣な顔で俺に、話しかけて来た。


「あのう、奴隷でも良いから連れてって欲しいと言い出したのは私達なんです。村の皆には止められたけど、それでもって押し切ったんです。だから村の皆は、悪く無いんです。ごめんなさい」


 妹のチェルシーも同時に頭を下げて来た。


「ああ、もう大丈夫、分かってるから。だけど奴隷にはしない。そうだな、村の顔役って事はちょっとだけ偉そうだし従者ってのはどうだ?」


 とても従順そうな子達だし、奴隷にしなくてもいう事は聞いてくれるだろう。


「あ、そうよね?ナイスだわ、お兄。奴隷にしなくたっていいんじゃない、気にして損した」


 良かった、ジェニは奴隷と言う事に腹を立てていた様だ、もう大丈夫そうだな。


「「はい、従います。何でもします」」


「チェルちゃん、キャロちゃん、お姉さんとして言わせてもらうけど、何でもとか言っちゃダメなんだよ」


 そう、人差し指を立て片目をつむりミラが言った、ミラが言った。


「「「お姉さんだって、あはははははは」」」


 俺達三人はミラを大笑いした。ミラが泣いてしまったので話はそこで終了になり、何故か俺が動かなくなったミラを抱っこして歩く事になってしまった。


 そんなやり取りを見た彼女たちは、緊張が解けた様子で姉妹で笑い合いながら共に歩いていた。そして、野営の時間がやって来た。


「さて、今日の見張りはどんな組み合わせにしようか?」


 俺がそう、皆に問うと。


「二人は疲れただろうから、先寝かせて上げたら?」


 と、ジェニが言い、二人も賛成の様だ。


「まあ、交代だからさ。戦える俺達が最低一人は先に寝て交代しなくちゃだろ?」


「あ~、じゃあエミール……やっぱりお兄、先寝て」


 と、最近はこいつがリーダーなんじゃ無いか? と思う位指示を出すジェニが、いつもの様に組み合わせを決めていた。


「何でだよ、なんもしねーぞ?」


 何故、俺を呼んでから変えたんだとエミールは不満げにしているが、まあ、俺も少し双子に興味があるしとその提案を素直に受け入れた。


「分かった、んじゃ一緒に寝るぞ、お休み」


 と、言い残し俺は一人横になり眠ろうと目をつむると、両脇から抱き着かれるように添い寝をされてビックリして起きた俺は、ジェニとミラに切りかかられて殺されかけた。理不尽過ぎて泣きそうです。


「お前達なぁ、いくら何でもやり過ぎだろ? 母さん見たくなるぞ、嫌いになっちゃうからな?」


「「ぐぬぬっ」」


 と、俺はさっきの仕返しをして、再度眠りについた。


 そして目を覚まし、交代して見張りをしながらキャロルとチェルシー、二人に色々聞いた。彼女たちは魔物の群れが村を襲撃した際に両親、兄弟を失い、お金なんて一銅貨も無い中で餓死しそうな程の空腹に襲われていたので、もう死にたいと思う程失意のどん底に居たそうだ。


 だが、いざお腹が満たされてみると、やっぱり生きていたいと思える様になり、もう一度失ったのだと思う事にして、すべてを掛けて俺達に付いて来ることを決めた様だ。


 彼女たちには申し訳ないが、その話の中で俺が一番気になったと言うか知らなかった事は、彼らはあの150レベルの魔物の群れに襲われた様だ。となると、その群れは村を襲った後、国境の壁を壊し人族の国に入って行き国境の町ローレンを半壊させたのちにアルテミシア様に討伐されたのだろう。


「そうだったのか、慰めになるかは分からないが、あの魔物の群れはアルテミシア様の手によって討伐されたよ」


「ほ、本当ですか。って事は、人族の軍が動いてくれたのですか?」


「魔法の国に? 人族の軍が?」


 二人は状況が分からずに混乱している様だ。


「いや、討伐されたのは人族の国ローレンで、だ。それと軍じゃ無くてアルテミシア様お一人だったよ、言葉にならない程の強さだった」


「ひ、一人でですか?」


「150レベルの大群ですよ?」


「ああ、俺も見たよ、1000は超えていたよね。絶望しか感じなかった」


 二人は顔を青くし、ゆっくりと頷く様にうつむいた。


「あそこまで、とは言わなくとも、あれ単体と戦える位は強くなりたいものだな」


 そう言うと、二人は顔を上げ疑問を投げかける。


「あれを見て、そう、思うのですか?」


「あれと戦う……ですか、考えようとも思いませんでした」


 二人は目をぱっちりと開けて、恐怖を感じないのか? それは可能なのか? と思い耽っている様だ。


「良い事教えてやるよ。4カ月くらい前まで、俺は20レベルだった。ジェニは14レベルだ」


「「ええ?」」と、二人は驚愕していた。


「そして今、俺は96レベル、ジェニもその位だし、なっ? そう聞くと不可能には感じないだろ?」


 二人はコクコクと首を縦に振り、目を輝かせて俺を見ている。


「凄いです」「尊敬します」


「……自分がなりたいとは思わないのか?」


 俺は、彼女たちにそう聞いてみたが、彼女たちはそろって両手を前に出して横に振りながら言った。


「「無理です無理です、才能ありませんから」」


 仕草は可愛かったが、ミラですらやれるのだ。普通に運動が出来れば出来るはずなんだが……まあ、ミラもああ見えて攻撃ほとんど食らった事無いしな。才能なのか? よく考えてみると回避率は一番高いかも?


 あいつ、絶対適当に走って来て接敵する癖に、いつもなんだかんだで良いポジションにいるんだよな。と、俺は脱線して他の事を考えていると、二人が遠慮がちに聞いて来た。


「でもレベルを上げられたら、出来るお仕事の幅も広がるし」


「私達でも、お役に立てる事があるでしょうか?」


「そりゃ、あるだろう。お前たちが付いて来ると決まった瞬間から考えていたんだが、ある程度レベルを上げて稼いだら、お前たちが村に物資を売りに行く行商人になっても良いんだ。それをするには結構レベルを上げないと不安だが。」


「私達が……商人……ですか?」


「ただの村の子供が……商人なんて……」


「商人がお金持ちだと思ったら大間違いだぞ、成功を収めている奴だけだ。行商人の大半は店を構えられない程貧乏だから、泣く泣く頑張って売りまわっているんだ。」


「そ、そう聞くと、私達でも……」


「エルバート様は凄いです、お強いだけじゃなく知識も豊富なんですね」


 様って……そうか、従者か……悪くは無いが、もうちょっと肩書が無いとなぁ……下っ端が粋がってる様にしか映らない。俺の目から見ても……


「まあ、選択肢の一つだ強制はするつもりは無い、レベル上げも含めてな。まあ仕事はして貰うが」


「「はい、もちろんです」」


 と、彼女たちは、息ぴったりの声を重ねて元気よく返事をした。


 そうして夜は明けて行き、俺達は王都に向かって歩き出した。


 エルバート様、エルバート様、と、両脇で話しかける姉妹をジェニとミラは見つめ、ぼそぼそと何かを相談している様だ。おそらく、もう俺は彼女たちとそろって見張りをする事にはならないのだろう。そんな事を考えつつ、何気ない話をしながら草原の続く街道を、いつもの様に歩いた。 


感想を書いて頂きありがとうございます。

見た瞬間やる気スイッチが入り、頑張ちゃいました。

ちょっと短いですが、サブタイトル的にキリがよさそうなので、投稿しました。

                      オレオ

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