虹の子ども
目の前の大地が割れて
その中から虹の子どもたちが
飛びだしていく。
子どもたちは雲を踏んで
次々に空へ駆け上がっていく。
虹の子どもの後に
虹が描かれる。
虹は子どもたちの喜びの跡。
色様々な喜びの色。
やがて向こうへ届いたら、
笑い声だけが残っていて、
次第に虹は薄れていく。
つまらない一日もあるけれど、
疲れて悩むそんな日も、
どこかで虹の子どもが笑う。
美しい奏でに乗って
半球を描いている
虹の子どもたちの周りでは
細かい泡が湧き立つような
昇っていく気持ちが溢れる。
やわらかな手触りの気持ち。
あたたかなふんわりとしたこころ。
突き刺さった棘さえも
溶かしてしまう笑顔に、
くだらない依怙地さなど
もうどうでもよくなってしまう。
虹は大地に架かるものだけではなくて、
見えないところにも架かるもの。
見えない
彼らの父と母の間に。
音楽と始まる前の詩の間に。
誰かのこころと誰かのこころの間に。
小さな己を超えて
流れ込んでくるもの。
虹は向こうからもやってきている。
受け入れた時に、
こころは従うだろう。
次第に明るくなる夜明けに
応じるように、
こころの蕾は開かれる。
その花はあなたの好きな色に咲くだろう。
鮮烈な赤、
清楚な白、
しっとりとした濃いピンク。
主張する黄色。
沈黙の青。
もっと、もっと、混ざっている。
その花から発する虹の粒子。
やがて虹の子どもが引き寄せられて、
さらなる虹が生まれていく。
*
詩とは、飛躍を楽しむもの。想像を超えたところでの共感を得るもの。あるいは目覚めや気付き。それでいて読めるものでなければならないと思います。この詩には、虹の子どもが出てきます。わたしは疲れていたのです。その疲れを吹き飛ばしてくれる存在はなにかと思った時、浮かんだのが虹の子どもであり、この詩です。だから、この詩には疲労回復効果があるはず……なのです。