暗闇
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二人だけしか生きてない。
つまりそれは、二人だけであの日々を取り戻さなければいけないという事だ。
具体的には分からない。
だけどやるしかない。
「とりあえず、俺は通りすがりの変な男から情報を得たんだよ、どこかの誰かさんが眠っている場所を」
眠っている……アイツか。
アイツは居ても居なくても変わらない様でいて何気に凄い活躍をする。
出来る事なら起こしたいが、通りすがりの変な男とは、こいつどんな人脈持ってるんだろう。
「どうやって起こすんだ?っていうか、アイツ今どこにいるんだよ」
「あー、アイツのとこに今から行くぞ
暗闇よ
魔を操る我に
暗闇の歌を歌わせよ」
急に呪文を唱えだしたこいつのせいで。
どっかーん
ぐしゃぐしゃ
ずずずずず
音と共に壁が崩れ、そこにあったのは真っ暗な闇の中に広がる、魔方陣。
いや、魔方陣の中に暗闇がある、という表現が正しいのだろうか?
二人で恐る恐るその場所へと足を踏み込む。
「っつーかお前、こんな魔法使いだったの?」
「違ぇよ。これは変な男に教えてもらった。本当は炎魔法使いだよ」
炎魔法使いとは無縁の魔法。
しかもこれはかなり強力だ。
次こいつがこの魔法をもう一度使うようなことがあれば……
こいつは即座に息絶えるだろう。
「お前……いつからそんな頼もしくなったんだ……」
そんな俺の呟きを無視してこいつは前に進んでいく。
10分位だろうか?歩いたところで、巨大な、縦に伸びる、光の様な、水晶の様な物があった。
その中に、誰かがいる。
「ここだ。ここに、アイツが眠ってるんだ。見えるだろ、あの人影」
「あ、あぁ」
触った感じは氷と似ている。
だけど氷とは別のもの。
それはその聳え立つ雰囲気が物語っていた。
「これをぶっ壊せばいいんだ。お前、身体強化系魔法使いだろ?少しだけ強化して、ここの少し尖ってる部分を思いっきり殴れ」
「え、あ、……わかった」
言われるがままに、俺はそれを壊した。
暗闇の中に光が差し込む。
そして、アイツは落下する。
隣に立つこいつが受け止めるものの、目を覚ます気配はない。
「起きねぇ……」
失敗したのだろうか?
それともまた別の呪いがかかっているのだろうか?




