二人
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「あぁ……」
復讐を終えて1週間。
負荷によって傷ついた体も完治し、どういう訳だか、思い出そうとしても思い出せなかったはずのあの日々の記憶ももう思い出せるようになっていた。
あの日、彼女が殺された事は許せないし、今でも彼女に会いたいと思っている。
だけど、死んだ人間は戻ってこない。
だから、もう諦める。
だけど、少しでもあの日々にもう一度近づきたい。
だから、会いに行こうと思う。
一番会える確立が高いであろう、絶望していた彼に。彼の性格上、絶望してそのまま自殺などしないだろうし、意外としぶとい為、なかなか死なない。これは何気に彼の嫌なところだ。
だが、そもそも会いに行くなら情報を集めなければいけない。
どうやって調べようか、自分は、機械を使う事が苦手だ。パソコンを使おうにも上手く使えない。普通の、検索をして、調べて……は出来るものの、個人情報となるとハッキングなるものをしなければ……。もちろんそんなものは自分に出来るはずもなく断念。
一気に詰んでしまった。
「あーくっそ……。どうすっかな」
椅子にもたれかかってぶつぶつと呟く。
まぁ何も変わらないのだが。
「もうやだ詰んだあああああどうしよううううう」
そのまま自分の気持ちを大声で叫ぶと突然後ろから声が掛かった。
「じゃぁこうしようぜ」
「え」
しゅばっ
あり得ないほど速く立ち上がって後ろを見ると、そこには長身の男がいた。
見覚えがある気がするが、まさかあの時のアイツ……今自分が情報を集めようとしていた人物ではないだろうか……。いや絶対アイツだ。間違いない。確信した。
「よぉ。元気してた?俺だよ。覚えてる?10年前、もう俺死ねなくて絶望してたんだよねー」
というかこいつの態度軽すぎないだろうか?
10年も会えなかったというのに、まるで旅行から帰ってきたような態度。
そもそも覚えてるも何も忘れる訳がないだろう、と脳内で突っ込みつつ、死ねない、というのはどういう意味だろうかと考える。
不死の肉体でも手に入れたのだろうか?
だが不死の肉体を作るのは果たして可能だっただろうか?
ぐるぐると頭を回していると、頭を思いっきり叩かれる。
「痛ってぇ!!何だよお前!!久しぶりに現れたら身長すげぇ伸びてるし!!いくつあるんだよ!!」
「あ?180センチ位じゃねーの?っつーかお前考えすぎ。流石、優等生様は違うなぁ」
なんだろう、物凄く、今こいつをぶん殴ってやりたい。
だがこうも簡単に会えたのだ。ここは喜ぶべきか。それよりも先に、一つずつ質問をしていこう。
「とりあえず聞くけど、死ねないってどういう事だ?あとなんで俺の居場所が分かった?」
「あぁ、死ねないって言うのは不死の呪いがかけられたから。居場所が分かったのはなんとなく探してたら辿り着いた。」
駄目だこいつの説明がさっぱりしすぎて全くわからない。
だけどこいつに会えた。それだけでも大きな進歩だ。あの日バラバラになった俺達5人。
死んだ奴もいれば生きてる奴もいる。こんな簡単にその5人のうちの1人に会えたのは幸福な事だろう。多分、こいつは簡単には俺の居場所を特定出来なかっただろうが。
とにかく、こいつが俺に会いに来たという事は……。
「なぁ、会いにきてくれたのは嬉しいんだけどよ、今からどうするんだ?」
きっと目的は同じだ。
あとは方法を決めるのみ。
「あぁ、それだがな。5人のうち、今生きてるのは俺達2人だけなんだよ。だから2人で頑張ろうぜ。あの日々を取り戻す事を」
そう。
目的とは、あの日々を取り戻す事。




