声
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逃げていた。
あの男達は一体誰なのだろう。
訳も分からず走り出す。
「嫌だっ…怖い……助けて……」
『助けて』に反応して指輪が光る。
果たして自分はこんな指輪つけていただろうか?
光から出てきたのは男だった。
「あぁ……随分姿が変わってしまったんだね、でも、その姿も君の本当の姿じゃないんでしょう?」
あぁ、この男は、自分の『家族』だ……。
自分の大好きな、大好きな『家族』。
「!!!なんか、変な男の人がぁ……!!」
それだけ言うと、彼は自分を背中の方に腕で押した。
彼の背後に回る形になったが、その瞬間さっきの男2人が現れた。
男達は目を細め、明らかな殺気を放つ。
「おい、そいつは俺らの物だぜ。何お前がかばってるみたいになってるんだよ」
「あれ、この子は僕の家族だよ?いつから君の物になったんだい?」
一瞬。
瞬きをしている間に、彼と男達はぶつかっていた。
彼が電気を体に纏い、
男が炎を手に宿し、
男が身体を強化し、
ぶつかった。
速すぎて理解が追いつかないけれど、きっと、彼の方が優勢だろう。
だけど、暴力を振るう彼は見たくない。
だから、言う。
「待って、やめてよ……」
そんな声は届かない、と言った風に彼は戦い続ける。
「ねぇ……やめてよ……」
誰も聞き入れてくれない。
「だから……やめろ……」
男が炎を放ち、彼が磁力で操った金属などで防ぎ、男が殴りかかり、彼が避け。
「聞いてよ、声」
自分の声など誰も聞いてくれない。
「ねぇ、聞いてよ、この声を!!!この思いを!!!!」
その瞬間、世界が色付いた。
今まで無色だった世界が。
彼は動きを止め、こちらを見る。
男は動きを止め、こちらを見る。
背後に、何か暗闇が現れた。
もやもやとした、雨雲のような、だけどもっと暗い。
赤い、赤い雷を纏っている。
そこから出てきたのは、子供だった。
あの時眠らされていた子供。
だけど、砂嵐がかかったように、その姿はよく見えない。
だけどその砂嵐こそが消された時、その姿が自分の姿だと気付くのだろう。
「ふふふ……。無様に戦っているわね、男達。」
声もノイズがかかったようでよくわからないが、言葉は聞こえる。
話し方から女の子だろう。
「ねぇ、もう私、疲れちゃった。だから終わらせるね。世界。折角色付いて、動き出したみたいだけれど、もういいわ。こんな世界ぶっ壊そうかな、それじゃ」
砂嵐が広がり、自分の意識も砂嵐n
そこには何も無い。
世界を砂嵐にした張本人も、自らの意思で消え去った。




