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美希。  作者: 翠月瑞希
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美希。  2





――――




俺は、今日も、君に会いに行く。






「やほ、美希」





美希。

俺にとって、唯一無二の存在。

なによりも大切で、誰よりも想っている愛しの人。



現在、俺の最大限のスマイルを見事にスルーしている、“ツンデレ”だ。


でもまあ、こんなことじゃ、めげないけどさ。




「美希、今日なんの日か覚えてる……?」





君の暖かい手のひらを握りながら、俺は訊いてみた。


そう。


今日は、俺と美希にとって、かけがえのない、大事な日なんだ。





――――




「わたしも……智也くんのことが好き。

 これから、よろしくお願いします」




こうして始まった、俺らふたり。

ちょうど一年前だ。



緊張しすぎてわけのわからないことを言ってた俺の告白に対し、美希はこう言ったのだ。


どう告白したのかなんて、そんなの覚えてない。


ただ覚えてるのは、全身が心臓みたいな感覚になって、バクバクしていたのと、、、。


頬をほんのり紅く染めた、どうしようもなく可愛い君の姿だけだ。





――――





付き合う前のことを思い出してみる。



大学入って初めての講義で、俺は美希に出逢った。

そのとき、俺は君に一目惚れしちゃったんだよな。


そして、週イチしかない授業でしか会えなかった俺は、その一週間という時間で、心の中の「スキ」をどんどん培養していったのだった。




――――




「……憧れのシチュエーション?」


「うん……。何でもいいよ、ない?」




付き合い始めて、いくらかの月日が流れたときのふたりの会話だ。



何気なく、俺は小説のネタにでもしようと思って、美希に訊いてみたのだ。文学部で小説の研究をしていた俺は、自分でも書いてたし。





……ゴメン、嘘ついた。





もちろん、小説を書くためでもあるけど、それだけじゃなかったんだ、美希。

ホントは、その「憧れのシチュエーション」を君にしてあげようと思ってたんだ。バカだよね、俺。




そんなバカな俺の下心を見透かすこともない純粋な君は、たっぷり一分たった後、満面の笑みでこう囁いた。




「……Sleeping Beauty」

「……は?」

「知らないの? ともくん」




なにそれおいしいの。


とたんに、キョトンとした顔をされて、俺は焦る。






「本当に!? 女の子の憧れだよ!」

「なんだよ……。教えて?」





教えなーい、とウインクしながら舌を出す君。


結局、そのときからしばらく、分からずじまいだった。







――――




ザー、という雨の音に、ここは美希の病室だと気付かされる。




ボーっとしたり、以前のことを思い出すことが多くなった。

最近、美希がこんなことになってから、そして俺がこの部屋に来るようになってから。





この数週間、俺が見ていたのは、君の寝顔だけ。



大好きな笑顔や、恥ずかしそうに頬を紅くする顔。

拗ねたような顔や、ほっとした顔。



そんな顔をしてくれる美希は、どこへいってしまたんだろう。

こんなに思い出は鮮明なのに。









もう会えないのだろうか。

このまま、君は俺のそばからいなくなっちゃうのかな。










いきなり怖くなって、美希の手を握る。









……なぁ、美希、知ってる?




君があのあと事故にあって、こういう状態になってから。



俺は自分を呪ったし、事故を起こした奴も呪った。

悔しかったし、でも泣き顔は見せたくなかったし、必死にがんばった。

いつも明るく振舞ってたけど、でも万が一の最悪のことを考えちゃったりして。





辛いし、苦しいよ。



でも、美希だって、俺以上にがんばってるもんね。







美希。






君とのまぶしい思い出は、一人で抱えるには大きすぎる。



それに、これからまだ、君と行きたい場所だって、遊びたいことだって、たくさんある。



だから。






美希、目を覚まして、もう一度。

もう一度……。



そしたら、俺は一生、君を離さないだろう。











「好き」と言ってください。

俺を支えてください。
















一緒に、生きてください。










美希、さっき思い出したんだ。



君が待ってたこと。





俺は知ってる。



幼稚園の先生を目指してること。

だから童話が好きなこと。



それに、「Sleeping Beauty」の訳だって。








俺はゆっくり立ち上がって、静かに眠る美希の白い頬を両手で包む。



奇跡を信じて。











美希の唇に、自分の唇をそっと重ねる。












目を閉じながら、俺は心の中で「美希」と呼んだ。


目を閉じながら、君の「ともくん」という声を聞いた。









…………
















窓から陽の光が注いでいる。





俺はなぜか、君の姿を見て、涙を流している。













この世に神様がいるなら。

この世に奇跡があるなら。













俺は感謝するよ。



















ふたたび、君の目を見ながら、言えたことに。




まっさきに、俺を見て微笑んだ美希の瞳を見て、そっと。





















「美希」














end.





はい、完結です。

ありがとうございました!

とりあえず完結できてよかったです、美希ちゃんとともくんお幸せに!

さて、ここで今書き終わっている原稿は終了です。

ここからは新しく執筆しないといけませんが、なにせ受験生なのでなかなか投稿できません……

長い目でお待ちいただけたら幸いです。

(コメント、評価、感想、お気軽にっ)

では、また。


翠。

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