地中海を血に染めて4
久しぶりの投稿です
「迎撃機隊が敵航空隊と交戦、敵ミサイル群も対空ミサイルの射程に入ります」
「敵ミサイルを引き付けろ、焦るなよ」
「敵ミサイル群、射程に入りました。距離19000」
「焦るな、まだ引き付けろ」
「距離15000」
「良し、V7発射」
ドイツが開発したV7艦対空ミサイルが発射され対艦ミサイル群に向かった
「敵ミサイル群34機迎撃成功、残り21機です」
「対空ロケットと高角砲で迎撃しろ、対空機銃用意」
「高角砲、対空ロケット突破されました。残り14機距離1600、V7再装填完了しました」
「V7発射、機銃も弾幕を形成しろ」
「敵ミサイル4着弾、駆逐艦撃沈1大破2、それ以外の艦に損害無し」
「撃沈艦の乗組員を救助しろ、次は我々の番だ」
ハボクックからモスキートが発艦しミサイルの飛んできた方角へ向かった。この頃のミサイルは今のミサイルのように進行方向を変えたりすることは出来ずひたさら真っ直ぐ進むことしか出来なかった。そのためミサイルを撃つということはその一撃で敵艦隊に致命傷を与えなければこちらも見つかってしまうことを意味していた
〔同志中尉、レーダーに敵機を捉えた。単機なところを見ると偵察機のようだ。こちらが見つかる前に撃墜してくれ〕
〔了解した。攻撃隊はどうなっている?〕
〔現在敵航空機と交戦中とのことだ。防空は任せたぞ〕
〔了解した。各機増漕を投下しろ、害虫駆除の時間の始まりだ〕
モスキートをMiG15は上から攻撃を仕掛け、モスキートは機載レーダーでMiG15を探知したが、逃げ切れずにソ連艦隊を視認する前に撃墜された。しかしこのモスキートはレーダーでソ連艦隊を探知しておりその位置を送信していた。
大洋艦隊
『アルビオンから敵艦隊の位置が来ました、まだまだ距離がありますね』
『そう焦る必要はない、我々は空母が一隻しかないのだ。あくまで残敵掃討に集中すれば良いのだからな』
『司令、哨戒機が駆逐艦と空母を発見したそうです』
『アルビオンが捜索していた行方不明だった敵空母か!艦載機を発艦させろ、ようやく赤と戦えるぞ』
リヒトフォーフェンから日本で載せた新型機の翠星改と天山が発艦した。
一方の地中海艦隊はモスキートの敵艦隊発見の報を聞き、ハボクックからは攻撃機が発艦し、一部の大型艦からは対艦ミサイルを発射した
「今こそ奴等に殺られた者の敵をとるチャンスだ。総員最善を尽くせ」
ミサイルや攻撃隊はソ連艦隊のレーダーにも映り、防空に付いているボルシェビキ航空隊が迎撃に向かった
〔各機残りの燃料を見て戦闘を行え、残弾尽きるか燃料残量が引き返すまでしか無くなるかしたら各自帰投せよ〕
攻撃隊には蒼星改やハンターなどのジェット戦闘機の護衛が付いていたためボルシェビキ航空隊のMiG15は近付くことが出来なかった
〔この部隊のパイロットも凄腕だ。先日の部隊といいこれだけのパイロットがこの戦域に集まることなど普通は有り得ん、我々のような部隊が枢軸にもあると言うことか…〕
その時彼の視界に日本軍機の尾翼が目に入った
〔あの尾翼の識別はイゼオ湖の時の…〕
ハボクックに搭載されている蒼星改は損害の大きさから撤退したコルシカ島航空隊の機体で、セルゲイ中尉がイゼオ湖上空で戦い敗れた強風の所属していた部隊でもあった
〔あの時の借りかえさせてもらうぞ〕
MiG15が1機の蒼星改に狙いを定め突っ込んだ。歴戦を潜り抜けてきたコルシカ島航空隊の生き残りである蒼星改も突っ込んでくるMiG15の攻撃を避け巴戦に持ち込んだ、蒼星改はジェット戦闘機でありながら高い運動性能を持ちその能力はMiG15などのジェット戦闘機はおろかP47などの一部のレシプロ機にすら勝っていた。そうスペック上では巴戦ではMiG15では蒼星改に勝つことは無理だった。しかし人間は時に機械を越えることができる。セルゲイ中尉はそれまでの勘をたよりにMiG15の失速寸前まで 機体速度を下げ失速寸前の速度で旋回し蒼星改よりも小さい旋回半径で内側に回り込みガンサイト一杯に蒼星改を捉えて引き金を引いた。蒼星改はドイツで開発された脱出装置を搭載していたがパイロットがそれを使うよりも早く爆散した。そして味方艦隊を狙う爆撃機を墜とそうとするが数で勝る枢軸の戦闘機に邪魔してきた
〔こうも数がいては爆撃機に近付けん、弾薬が有っても燃料がない帰投せざるを得ないな。こちら直衛隊、もう飛んでいられない帰投する〕
燃料が残り少なくなったMiG15が次々に引き返していき直衛隊が居なくなった艦隊上空に表れた攻撃隊は深夜と同様にレーダーを撹乱し無線誘導式の対艦ミサイルや1トン爆弾かの急降下爆撃などで残っていたソ連地中海艦隊は漁礁と化した
「攻撃隊から入電、来た見た沈めた。大洋艦隊からも捜索していた残りの空母を撃沈したとのことです」
「良くやった、この報告をロンドンへ急いで送るんだ。これで黒海に残っている奴等の地中海侵出を阻止できた」
イギリス首相官邸
チャーチル首相の元には様々な場所から様々な情報が入ってきていた
「首相、ワルシャワを包囲していた連合陸軍がワルシャワを占領しました。ドイツ軍の列車砲のおかげで早期占領ができたとのことです」
「そうか…このままモスクワまで進めるといいのだがな。イタリア方面はどうなっている?」
「既に北東部までの占領は完了し、ベネチアまで進んだそうです。また、市街地を含め遺跡などを破壊しないようにするためなるべく砲撃はおこなっていないそうです」
「それで進軍できるなら、別に構わんがその司令官は物好きだな」
「地中海艦隊からソ連黒海艦隊を殲滅したとの連絡が来ました。被害は軽微だそうです」
「遂に海軍も奴等に勝てるようになったか…ハボクックは帰還させろ、メンテナンスが必要だからな。それ以外の艦はジブラルタルとトリポリで待機せよ」
「了解しました」
伝達を終えた部下が部屋を出ていった
「やったぞ、奴等め我々の本国艦隊に勝ったからと調子に乗りやがって貴様らの負けは本国艦隊を倒したときから決まっていたのだ」
その時、唐突にドアが開いた
「何だね?入るときはノックでもしたまえ」
「大変です首相。ソ連がロケットを打ち上げ衛星軌道上に人工衛星の投入に成功したと発表しました」
「国威掲揚のための嘘ではないのかね?」
「日本軍がミッドウェーに展開している超空プラットフォームというもののレーダーに捉えたと先程連絡が来ました」
「急いでMI6を派遣しそいつの能力を調べろ。ただの人工衛星なのか、地上偵察が出来る人工衛星なのかをだ」
「急いでMI6に命令を出します 」
「不味いことになったぞ。どうにかして人工衛星を破壊しなくては…」
後日その人工衛星は比較的低軌道に有ることから偵察衛星であることが確認され、枢軸は対応を迫られることとなった。
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