4/13

地中海を血に染めて3

モスキートの夜間爆撃は電子戦タイプのモスキートによるレーダージャミングから始まった

［レーダーが白くなったぞ］

［どうせ故障だろう、叩けば治るから修理出来る奴を向かわせろ］

電子戦タイプのモスキートはチャフを蒔き、レーダーの一部を白くさせ、見えなくなった方角から低空侵入し地中海艦隊上に現れた。もしレーダーが使用できたとしても機体が木で出来ているモスキートはレーダーに映りにくかった

「欺瞞爆弾投下」

電子戦タイプのモスキートにはチャフロケット弾8もしくはチャフ爆弾4を懸架出来た。地中海艦隊上空で爆発したチャフ爆弾は艦隊全域にチャフをばら蒔き地中海艦隊のレーダーを完全に潰した

「電子戦機からレーダーを潰したとの事です」

「よーし、全機俺に続け赤どもにちょっと早いがモーニングコールだ」

30機あまりのモスキートが低空飛行のまま艦隊に近づき爆弾倉から円形の爆弾を投下した。

反跳爆撃（スキッピングボミング）と呼ばれるこの攻撃方法は魚雷と同じく喫水下を狙うが対魚雷網を水面を跳ねることにより越え、爆弾に魚雷よりも大量の爆薬を装填出来た。特にイギリスでは研究が盛んでモスキートが投下したハイボールと呼ばれる反跳爆弾は対戦艦用に作られた物だった

「外苑部の艦に命中、艦が浮き上がったぞ」

水中で爆発したハイボールは駆逐艦の艦底で爆発し爆圧で駆逐艦を真上に持ち上げた

［駆逐艦轟沈、爆圧で艦が持ち上がったとの事です］

［何だと…枢軸連合の新兵器か？］

［巡洋艦被弾、次々に被害報告が来ます］

［対空砲はどうした？］

［レーダーが真っ白でレーダー連動の対空砲が使えません］

［手動に切り替えれば使えるだろう］

［それが手動の訓練をやっていなかった為射線が疎らで敵機に抜かれました］

［フォージャーを発進させろ］

［艦隊を覆っている金属片がエアインテークに入る可能性があるため発艦は危険だと進言が整備班から来ています］

［くそ、Ilで構わん発艦させろこれ以上奴等の好きにさせるな］

無理矢理迎撃に上がったIl10だったが爆撃の終わったモスキートがIl10と空中戦を開始した。モスキートは爆撃や攻撃、偵察など何でも出来る万能機で史実でも夜間戦闘機として高いスピードと20mm×4、7.7mm×4の大火力でV1の迎撃などを行っていたそんなモスキートの前に鈍重な艦載攻撃機であるIl10はカモだった。

枢軸連合艦隊

「司令、攻撃隊が帰ってきました。奇襲は成功し損失機は無し、使用不可能機が1損傷機3です」

「敵の損失はどれ程だ？」

「駆逐艦2を撃沈巡洋艦1撃破、駆逐艦3戦艦1損傷、迎撃のレシプロ機4撃墜との事です」

「空母に損傷を与えられなかったのは残念だが、敵艦を減らせただけでも素晴らしい戦果だ」

「それとドイツ大洋艦隊がスエズを抜けたそうです」

「了解した。敵艦隊の残り艦艇はどれ程だ？」

「モスキートが撮ってきた戦果確認写真の解析の結果、空母3戦艦2巡洋艦4駆逐艦5ですね」

「空母は4隻とのことじゃなかったか？」

「空母の内二隻にはドーバー海峡にもいたジャンプ台が付いた2万トンクラスですから8万トンクラスの新型空母の一隻に何かあった為地中海に進出してこないのではないかと推測しています」

「別行動かもしれん…念のため警戒は怠るな」

「了解しました」

1943年２月14日

日の出前、イタリア沿岸の基地からは航空隊が上空支援のため出撃した

［こんな朝っぱらから我々を駆り出すなんて海軍航空隊はどんな腑抜けなんですかね］

［海軍航空隊をそう責めるな、レーダーを潰されたんじゃ練度を補うための艦艇の自動化が裏目に出たんだ。枢軸連合は敗けたら敗けっぱなしじゃない強敵だ。何かしらの打開策が無ければ大敗した敵には挑んでこないさ］

［海軍航空隊の奴等は双発機に攻撃されたと言ってましたが、何処から来たと隊長は思いますか？］

［先日の枢軸連合艦隊に攻撃を仕掛けた時にもジェット機の迎撃を受けた。ジェット機の航続距離は良くて2000km…今回の双発攻撃機といい枢軸連合は何か隠し持っているな］

［隊長、海軍から枢軸連合の艦隊を発見したとのことです］

［海軍はどうすると言ってきている？］

［航空隊の大半を攻撃隊に回すそうです。我々には艦隊上空の支援を頼みたいとの事です］

［了解した。気を引き締めていくぞ］

枢軸連合艦隊

「レーダーに敵機捕捉しました。速度からしてジェット機です

「全艦対空戦闘用意、奴等のミサイルが来るぞ」

「ハボクックから艦載機が迎撃に出ました。蒼星とグレムリン隊のハンターです」

「日本軍機は改造してないため着艦出来ないため発進させないはずでは？」

「着艦出来るであろう腕を持ったベテランパイロットのみに発艦を許可したとの事です。駄目でしたでしょうか？」

「確かに枢軸連合内でも屈指の性能を持つ日本軍機は頼もしいが補給がきかん、パイロットには無理をしないように言っておきたまえ」

「グレムリン隊のネヴィル・デューク隊長から敵航空隊とミサイル群を捕捉、戦闘に入るとの事です」

「対空ミサイル用意、総員覚悟を決めろ」