“出逢い”と“別れ”の中で気付かされた小さな想い。
あなたとの思い出のメール。
消そうと思っても、親指がボタンを押すことを拒絶する。
忘れようと思っている過去。
絶対に記憶を消すことはできなくて、何かあるたびに思い出す。
静かに鍵をかけたメール。
暗証番号は頑張って忘れようとした あなたの誕生日。
「傍にいて欲しい」という真実。
それを、あなたに告げることはできなくて。
「ごめんね」だって、「ありがとう」だって、
まともに あなたの目を見て言えた例なんてなかった。
今までだって、今だって、 それは変わりのない事実。
だけど、私達の関係に“これから”なんて真実はなくって。
静かに落としたあなたの部屋の鍵。
ポストには とり忘れた私の郵便が届いていて。
「行ってきます」と言い続けた 二人の為の玄関。
今では、空しく脱ぎ捨てられた靴だけしかなくって。
私は、あなたが最後の人だと思っていた。
黙っていても心は通じていたし、何をしても許してくれた。
だけど、そんな私達の関係にも終わりはあったみたい。
きっと、“終わりのない愛情”なんてこの世にはないのだろう。
だけど、世界中の人々は、今日も誰かを愛しながら生きている。
そして、“出逢い”があれば、そこには必ず“別れ”がある。
私達だってそうだったように、何処かの誰かも“出逢い”と“別れ”を繰り返す。