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ヒカリの行方  作者: ソラ
1/1

第一話 出会いは普通に

人はどういう時に孤独を知るのだろうか。

例えば、まわりに誰もいないとき、また仲間外れにされた時。

またまわりが知らない人だらけとか、気づいたら世界に一人だけとか、

小さいところで言えば家に一人でいるときとかはどうだろうな・・・

いずれにおいても自分はどんな状況にいようとも孤独だということだな。



つまりこういう状況だ。

「おい、いいかげん進路調査票を出すんだ」

「わかってますよ」

「お前、一人暮らし、してるんだってな。今度訪問するからそのつもりでおけよ」

「はいはい。わかりましたよ」

俺は今は一人で暮らすには立派すぎる一軒家に暮らしている。もともと歴史好きの先祖たちから伝わっているだけのおんぼろ屋敷だ。

両親は数年前の事故でなくなり、快適気儘とはいかないが自由満開だ。

「んじゃあ、失礼しますよっと」

踵をかえし下手な事を言われる前に退散しようとする。

すると後ろから担任が言葉を飛ばしてきた。

「忘れるなよ。いいな」


へいへいわかってますよ。


家に帰っても暇なので俺は部活が終わるまで学校にいるようにしている。

スーパーが安くなる時間とも丁度あう。

そんな訳で俺は適当に学校の中を歩き回っていた。



図書館か・・・

まあ、ひと眠りするには十分か・・・

内の学校は設立が古く、100年以上経っている。

つまり本の蔵書数は多く、いいかげん捨てろよと思いたくなるような、読めない字で書かれた古い本もある。中には適当にテーブルと本棚があるだけ。

よほど退屈なのか俺はここで図書室員という存在を見たことがない。

そういえば図書委員ってあったっけ?

そんなこと思いながら出口から死角となるテーブルがある本棚を越える。

そこには女性徒が一人。

こんな時間なのに友人と遊びに行かずに一人で本を読むなんて、なかなか涙が出てきそうな奴だな・・・人のこと言えないけど・・・

気になり横目で見るが、腰まで届くような髪で顔が隠れて、誰かは確認できない。

とりあえず視界から無視して出来るだけ離れた椅子に座り、すぐに突っ伏した。

図書室にいる身としては大変不適切なありようだが、静かにしているので問題はないだろうよ。とりあえず30分ぐらいは寝よう・・・今日の献立を考えながら・・って無理か

ガリガリガリ

「・・・」

ガリガリガリガリガリ

「・・・・・・・・」

うるせええええええっ!

頭を起こすと、原因がわかった。向こうにいた大人しく本を読んでいると思っていた女が

目にも留まらないような速さでシャーペンでノートに書いているのだ。

その振動が激しく俺のいる場所まで響かせている。

この机ぼろすぎだろ・・・・

今は3月で必至になって勉強する理由はない。期末試験はつい先週終わったばかりだ。

俺の結果は聞かないでくれ。

それなのに、女性徒は本を捲るのと同時進行でノートに何かを書き込んでいる

気になりのぞいてみる。

「*****************」

「はっ?」

思わず声が出た。彼女が書いていた文はあまりにも奇怪なものを書いていて、

一瞬寝ているのかと思ったが、その手はよどみなく動いている。

つまり彼女は意図してこの文字を書いているのだ。

「電波さんだったのか・・・そりゃこんな時間に一人でいるわけだ・・・」

女性徒がいきなりこちらを向いた。

やべっ、思わずつぶやいちまった。

振り返った顔は思わず顔を固定してしまうような整った顔だが、それより目についたのは顔に浮かべた表情というより目だった。

まるでこの世界には敵しかおらず自分が今にもとってくわれそうな・・・・

「何か、用?」

固く結ばれた口が開かれたと思ったら厳しい一言だった。

いきなりこの女は初対面の男にこの口調かよ、俺が上級生とか思わないのか・・

いや校章でわかんのか

「いや、何でもない。俺にかまわず、地球侵略を防ぐ方向で頑張ってくれ」

「は!?あなた、何言ってるの。頭おかしいのね」

「なっ、頭おかしいのはあんただろ。何なんだその怪奇文は!!」

俺が指差すのは女性の手元にあるノート。

「これは、私だけにわかる言語よ。いい!、これは・・・何で話さなくちゃいけないのよ」

「誰も聞いていない」

俺は腰を落ち着けるともうこの女を無視することにした。

もともと誰とも関わらないようにしてるのになぜ話し返してしまったのか。

向こうではノートを鞄にしまうような音がした。

目だけ向けると女性徒が鞄に筆箱をしまっていた。

帰るのだろう。俺が電波だとか言ってしまったせいで彼女の未知なるプライドを傷つけてしまったのかもしれん。

悪いことをした。

再び頭を机に突っ伏す。

椅子を押す音がして、女性徒の歩く音がしてそのまま出口に向かうのかと思われたが、こっちに音が近づいてきた。

腕の隙間から見ると、俺の腕の近くに、日の光をあびたことがないような白い手が近づいてきて、テーブルに紙が置かれた。

そして今度は真っ直ぐに女性徒は出て行った。

ゆっくりと顔を上げると、

机の上にはルーズリーフを半分に切ったものがありそこには一文が記されていた。

「*******」

「なんて書いてんだこれ・・・・?」

ごみ箱をつい探してしまったが見つからなかったので紙はポケットにしまう事にした。

「変な女性だな・・・」

もう今日の夕飯はカップラーメンでいいや・・・面倒臭くなった。


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