うざいけれど大切な人達
三人は嫌な予感を感じながら目を足元から顔に目線を上げると同時に喉の奥で悲鳴を上げた。
「ちょっと~~なんでそんな顔するの??憂衣、葵。それがお兄ちゃんと恋人に向かってとる態度?」
と頬を膨らませながら言ったのはこの蓮華学園生徒会会計の浅葱 瑠衣だった。金茶色の髪を首元まで
緩く巻いた髪をしてカラコンの橙色の眼をした軽そうな美形。苗字でも判ると思うが実の兄である。そして葵の恋人でもある。
「お前に会いたくなかったんだろうが。そんなこともわかんねえならここを辞めろ。」
と偉そうな態度で大胆不敵な事を言うのが生徒会長の光ノ宮 龍貴だ。真っ赤な髪に光ノ宮家特有の金色の眼をしたワイルド系な美形である。実を言うと憂衣と龍貴は恋人兼婚約者でもある。
「違うよ~~龍ちゃんが怖いからだよ~~だってお兄ちゃん&恋人に会いたくないなんてそんな訳ないもん。龍ちゃんは恋人って言ったって親の取り決めでしょう?だからしょうがないよ~~。諦めなよ。」と口喧嘩をしながらこちらに向かって来た。そうこの二人は何故か私の事を溺愛している。
こんな平凡に龍貴なんてもったいないと何回も言ったがそれでもこの関係でいる。私は昔から龍貴の事が好きだったので嬉しいが横に立つととても申し訳ない気持ちで一杯になる。親衛隊の人達は認めてくれているが私は早苗や副隊長が横に立つ方が凄く絵になる。それでも私達は恋人だ。龍貴だけは誰にも渡したくないと思うほどには思っている。まあ他から言わせれば私達みたいなバカップルの邪魔をするのは疲れるそうだ。瑠兄とは血が繋がっているのが不思議なくらい似ていない。私が父、瑠兄が母に似たからだろうといわれている。私達が兄妹だということはあまり知られていない。似てなさ過ぎるために今知っている人物は親友達に龍貴そして時任先生だけだ。あまり目立ちたくないので調度いい。
「それで憂衣?それは何~?」と笑顔で尋ねてきたのは腕の痣の事だろう。龍貴が腕を取って舐めてくるのをあしらいつつ答えた。「あの女よ。こんな事するのは決まってるじゃない。」
「わかった~~~」と部屋を出て行こうとする瑠兄を慌てて止めた。
「瑠兄!落ち着きなよ」と止めると、
「じゃあ、龍ちゃんも止めなよ~~」と龍貴の方へ指を差した。その方へ顔を向けると龍貴が携帯でなにやら指示していた。
「ああ、宮中花蓮だ。そいつの家も容赦なく潰せ」という声が聞こえたので携帯を奪い「止めてください!!さっきのはなしで!!」と携帯に怒鳴った。
「なんでだ。お前は悔しくないのか。俺は今まで我慢してたんだ。もういい加減どうにかするぞ。あいつ等もそろそろリコールするつもりだしな。」
とソファに座りながら足を組みながら言った。「それは・・・・そうだけど・・・」
と声を濁らせた。実は私もいい加減疲れていた。興味ない連中から何を言われても平気だがそれでも自分の好きな事が出来ないのはストレスが溜まってしょうがない。すると横から
「私達も龍貴さんと同意見です。最近の副会長達の行動や言動は目に余ります。いい加減判らせてあげた方がいいですよ。この学校はそんなに甘くないと・・・」と何やら後ろに黒いものを漂わせながら菫が言った。
「そうそうこっちとしても委員長がいなくなった方が最近は良くなったしな。あの下半身馬鹿を下ろしたいぐらいだ。」と笑顔で葵が言った。
「そうだよ。憂衣ちゃん。あの低能な奴等は居ない方が清々するよ。目に入るだけでも嫌なんだから。」
と早苗が頬を膨らませながら言った。
「そうね・・・私もいい加減ストレスが溜まっているしもう・・・・我慢しなくていいよね。」
と周りに聞くと全員が首を縦に振った。
「俺との関係も表沙汰にするぞ・隠れてなんかはもうゴメンだ。あいつらにも誰の恋人に向かって悪口を言っていたのか思いしればいい。」と偉そうに言った。
「じゃあ僕の妹だってのも良いよね。隠してなんかいないけど気づかないみたいだし!」
と言った
「別に良いけどまずはあいつ等だけよ。それにあいつ等にいったら他にばれるしね。」
と返すと
「なら明日放課後に生徒会室に集合ね。あいつ等もどうせいるんだろうし。」
と確認すると瑠兄が
「うん。最近毎日居るよ。風紀委員長と爽やかクンも一匹狼くんも。」
と苛立ちながら言った。
「じゃあ明日にね。」
とその言葉で解散になった。
私は明日の放課後がとても楽しみになった。明日になれば反撃できるのだから・・・
そのような事を考えながら足取り軽く帰っていった。
「あっ時任先生にも連絡しなきゃ・・・」
次の話で憂衣達の反撃が始まります。