クラスメイト
クラス替えで好きな人と同じクラスになる方法。
1カ月前くらいから気づいたらずっとその人の名前、同じクラス、を何回も繰り返す。
これだけ。
自分はこれで、違うクラスになったことはありません。
七夜(作者)。
コンコン。
俺は、登校の準備はできていた。
バッグは中学のころのスクールバッグ。
その、ノックしたやつは・・・
羽雪だ。
「おはよ。」
よっと手をこちらに見せる。
にこっとほほ笑んだ俺。
「そういやぁ、なんて呼んだらいい?麗輝?世浪?」
中学時代、世浪としかよばれていなかった。
「なんでもいいよ。」
「じゃあ、麗輝ってよぼうか?」
なんか、照れる。
「じゃあ、なんていえばいいの?君のこと。」
「いいよ、なんでも。」
「同じ答えじゃん。」
「羅音って呼ぶか?」
こいつが女とは思えない。
きれいでさっぱりしていて、爽やかな。
俺らは昨日の、スクールリゾートへの道と逆方向へ歩いた。見るからにでっかい校舎がたっている。
入学式に通った校門とは逆の『寮側校門』と呼ばれる校門から入った。
周りの女子は、羽雪の方を見ている。
注目の的だな。
女だけど。
「1年B組ってここ?」
俺は羽雪に尋ねた。
「あぁ。」
入った瞬間、羽雪は女子に囲まれた。
俺はその場を遠ざけるために避けた。
避けるの成功。
「世浪っていうんだ~。」
うわ。
金持ちってなんなの?いったい。
いかにも染めたような金髪のスカートをめちゃくちゃ短い丈にした奴に話しかけられた。
「あっ・・・うん。」
「親、何やってんの?」
・・・
「親っていうか・・・私、養子・・・だし・・・」
「へぇ。どこの。」
少しは気ぃつかえや!
「あの人の家の・・・」
といって、羽雪の方に指を指した。
「ちょっと!あの人、バニカの社長の子じゃん!」
そんなすごいのか、バニカっつーブランドは。
「そうみたいね。」
「当たり前のように言うなよ。」
チっ
心の中で舌打ちをした。
「ちょっとまって!」
待ってるよ、さっきから。
「しかも、超美形!」
といって、俺をおいていった。
てか、こっちからお断りだ。
「はぁ。」
ため息をついてしまった。
羽雪を見ると、ニコッと笑ってくれた。
━ドキッ━
一回だけ心臓が大きく鳴った。
ちょっとだけ、遊んでみっか。
まだ、ホームルームはじまんないみたいだし。
「羅音?」
「どした、麗輝。」
周りの女子がひそひそ話をはじめる。
「何時から、はじまるの?ホームルーム。」
「もうすぐだよ。」
ニコッと彼はほほ笑んだ。
「羽雪君、この子だれ?」
睨みつけてくる。
女ってこえーな。
まっ、俺から仕掛けたんだけど。
「俺んちの養子~。」
さらに、ざわめく。
「みえないわ。」
ホホホホホホと笑う彼女に対してさっき俺に話しかけてきたギャルが口を開いた。
「だからなんだよ。お前だって、社長令嬢には見えないが?」
意外といいやつだ。
「チッ。なんですの?貴方こそ、この学校にふさわしくなくてよ。」
と言われた瞬間に・・・
彼女は自分の髪の毛を引っ張った。
ここにもいた。カツラをかぶった高校生。
他にもいるんじゃないのか?
いっそ、全員の髪の毛ひっぱるか?
「誰だかわかる?」
さっきはわからなかったが、すらっとした背の高い身長。
抜群のスタイル。
この条件で何をやってるかなんてわからないやつはいないと思う。
カツラをはずしたら、確かに金髪ではあったが、さっきのようないかにも染めたようではなく、自然な感じの金髪だった。
「久しぶり、羅音ちゃん。」
ちゃん・・・ってことは、女ってことを知ってんのか?
「前よりずいぶん男前になったね!さっき、この子からも聞いたけど・・・」
と、笑った口で横目で俺を見てきた。
「養子なんだってね。初耳だわ。」
周りは、
「あの子、北常愛奈じゃないの?」
北常・・・愛・・・
あっ。
「あのモデルの?」
俺でもわかる。
妹が大ファンだからな。
いつも、一緒に飯を食う時、
『愛奈ちゃんの服、すっごく可愛くてね。』
とか、めっちゃ言ってたな。
「羅音さぁ、教えてよ、こんなかわいい子が彼女だなんて~。」
「彼女じゃねぇよ。」
これも、ジョークというものだろうか?
「世浪ちゃん、初めまして。北常愛奈です。」
俺より断然、背が高い。
「初めましてっ。世浪 麗輝です。」
「めずらしい名前だね、下の名前なんて書くの?」
興味深そうに尋ねてきた。
「『うるわしく、かがやく』で、麗輝です。」
「タメでいいよ~。」
だってよう。
セレブ様に話しかけられたらタメじゃだめだよ。
「愛奈って呼んで。ちゃんとかはいらないよ。あたしは麗輝って呼ぶし。」
いい子じゃねぇか。
「うん。」
「羅音~。少し見ない間に、背、伸びた!」
「っ。一応、平均以上なんだよ。」
気にしているように言った。
「だって、麗輝と同じくらいじゃん。」
「ぷっ。」
ぷって何?!
低くて悪いな!
「お前が高いだけだろ?」
からかい半分に言った。
でも、羽雪が女っていうと、女にしか見えなくなってくるんだよな~。
だから、俺には、女子同士の会話にしか見えないってわけ。
愛奈ってやつぁ、羅音が女ってわかってんのか?
先生が入ってきた。
羅音のまわりの女子たちも、みんな席に一斉に座った。
俺は出席番号20番だから、一番端っこの後ろの席だ。
「出席確認をする。」
やっと終わった。
40人は結構多いな。
そして、担任の話が終わり。
北常がこっちに来た。
「羅音ってかわいいよね。」
俺の机に肘をついて羽雪のほうを見た。
「あたしさ~。この前の春休みの撮影で『バニカ』の服で撮影だったんだ~。」
こくりとうなずいた。
「もしかして、羅音のこと好き?」
そしたら、真っ赤になって
「好きってか・・・」
ほほう?
「弟・・・みたいな・・・」
「好きなんでしょ?」
目をかがやせて言ってみた。
「う~ん・・・」
こいつ、男っておもっとるな。
「そっか。」
「言わないでよ?」
言えるか、バカ。
「大丈夫だって。」
「でもさ、羅音って、モテるじゃん?」
羽雪のほうを見ると、キャーキャー言われてる。
「だからさ、かないっこないんだって。」
そりゃあなぁ。