School Resort
だんだん、なんでもありになってきてます。
寮を出る。
月がきれいだ。
カツカツと、ヒールをならして寮から出てすぐの看板を見る。
そこには『←蘭華峰学園校舎 School Resort→』とかいてあった。
「スクール・・・リゾート・・・」
想像はできていた。
あれだろ、きっとよ。プールとか、下手したらキャンプ場みたいな場所もあるんじゃね?
パン屋はそんなかに入っているだろうと思った。
その方向を見渡す。
見渡さなくてもわかるか。
でっかい門があるんだ。
そこには、でっかく『School Resort』とかいてあった。
というか、彫られていた。
門は俺の身長の2倍くらいはあり、かなりでかかった。
門番らしき人もいて、入る許可をもらうために聞いてみた。
「あの・・・買い物をしたいのですが・・・」
門番らしき人は
「この学校の生徒だという証明をもってらっしゃいますか?生徒手帳とか。」
明日、配られるんだよな。
「こ、これじゃだめですか?」
俺はそういって、食べ物だけを無料で買えるカードを見せた。
よく見たら、『Gold Food Card』と書いてあり、ベースは金色だ。
名前も彫られてあり、『Reki Yonami』とかいてある。
リッチな気分すね。
「そしたら、これを持ってあの建物の中にはいってください。」
門をのぞくと、さらにでっかい建物があった。
門を手動で開いてくれた。
ここが本物の門かよ。
門から入ると、まず噴水がある。
結構でかいものだ。
「おお・・・」
声をおもわずもらしてしまうぐらいにすばらしいものだった。
ライトアップがさらに高級感をだしていた。
さっそく中へはいる。
案内人的な人に聞いてみた。
「中に入りたいのですが・・・」
「では、あちらでカードを発行なさってください。」
案内されたのは受付だった。
「カードを作りたいのですが・・・」
「では、こちらに記入をお願いいたします。」
そこには、名前、性別、出身国、寮番号、クラスなどをかくところがさまざまであった。
性別ではもちろん、『女』に丸を付ける。
「次に、学園生徒と承認できるようなものはお持ちですか?」
さっきのカードを見せた。
「ありがとうございます。では、カードはこちらになります。次回からは、そちらのゲートよりお入りください。」
受付人の指の方向を見ると、さらに、門があった。
どんだけや。
門を通る。
本当に、すごいな・・・
ライトアップとか、いくつかの門があり、中央には噴水。
門の上には、一番最初の入り口と同じで彫られていた。
『Sports』『|Food(食べ物)』『|Fashion(服)』『|Interior(家具)』『Accessory』『|Sundries(雑貨)』『|Flowers(園芸)』と7つの門があった。
すげぇな。まじで。
たぶん、食べ物ゲートを通ればいいんだろ?
通ろうとした瞬間、
「姉ちゃん、遊ばね?」
何人かのヤンキーらしき奴に声をかけられた。
あぁ・・・金持ちなのか・・・?
どうすればいいんだろ。
断ると・・・てか、キレるととまらなくなっちゃうし。
「結構です。」
「いいじゃん。」
しつけーな。
女だと思ってるな。完全に。
「そういうこと、するくらい暇なんだね。」
と、声をかけてくれたのは、
「羽雪っ」
ニッと歯を見せて笑う少年・・・少女はさっきとは全く別人の美少年にかわっていた。
おやすみっていってなかったっけ?
「お前、誰だよ。」
「羽雪というが?」
本当に、かっこいいよな。
「おい、あの羽雪だぞ?!」
ボスらしき人に付き添いが言う。
「だからなんだ、この女には関係ないだ・・・」
「関係なくない。こいつは俺んちの養子だ。」
お・・・おう。
ヤンキーたちは行こうぜと言って去って行った。
「大丈夫?」
「大丈夫に決まってる・・・」
「シーッ。二人以外のときは女だろ?」
人差し指を俺の口に当ててきた。
なんか、すごくドキドキする。
胸がキューっとなるみたいな。
「るさいっ。」
ははっと爽やかに笑う羽雪。
「でも、ありがと。」
と、ほほ笑んでやった。
「ここは、いろんな人が通るから。会員証さい作れば誰だって通れる。ほら、一番最初のでっかい門を通る前、寮から来た道ともう一個道があったと思うんだ。」
全然気づかなかった。
「そこが、一般の人がここに来れる方法なんだ。夏とか、プールが開かれたりするからな。室内プールもあるぞ」
入れません。一般人以下に金がないんす。
「てか、寝るんじゃなかったの?」
「そういえば、夕飯食うの忘れてな。」
「どこいくの?」
「どこでもいいや。世浪は?」
「パン屋だよ。」
「じゃあ、俺もそうする~」
可愛く笑う羽雪。
Foodという門を潜り抜ける。
そして、いろんなものがある中、パン屋を選ぶ。
「おいしそう。」
うまそう、と言いたかったが、怒られるからな。。。
「だな。俺、これにしよっと。」
といって、チョコパンを選んでいった。
「ん~。迷うな~。」
そこへ、羽雪が近づいて、
「これでいいじゃん。」
といって、俺のお盆に羽の絵がチョコペンで書かれたパンをのせてくれた。
「堕天使の麗輝ちゃん。」
下の名前で呼ばれたときにドキっと大きく心臓が一回鳴った。
思わず、下を向いてしまった。
「気に入らなかった?」
「ううん!違う。これにするね。」
そういって、レジへと持って行った。
「俺、帰るわ。世浪は?」
「帰るよ。」
「じゃあ、一緒に帰ろうか。」
そう言って、SchoolResortを背に向けて歩いた。
「今度こそ、おやすみな。」
「うん。」
といって、同時にドアを閉めた。
俺は、部屋に入った瞬間にカツラを脱いだ。
「あ~あっつ。夏どうすんのこれ。」
そういって、カツラを脱ぎ捨てた女装の姿であぐらをかき、さっきのパンをかじった。
うまっ。
うますぎだろ。
なんか、クリームが挟まっていて。
おいしい・・・
妹はどうかな・・・
瑠姫・・・元気かな。
あんだけ嫌いな妹でも恋しくなる。
離れるって怖いな。
今度、帰ってやろう。