プロローグ
今日から俺は男子高生・・・っていうはずだったんだが、今日から俺は女子高生。
好きでなった訳じゃない。しかも、共学。お嬢様とお坊ちゃまのかよう学校なんて、貧乏のウチが通えるわけもない。
女が嫌いだ・・・
入った理由なんて、ウチは学費が払えない。
だったら安い県立いきゃあいいじゃん、ってな。
それさえも、厳しいんだよ。そこで見つけたのが、この学校。
妹の雑誌がリビングに開いてあった。
ふと見たら、
『私立蘭華峰学園に入りませんか?ごく平凡な生活をしている君!無料でお嬢様高校に通いませんか?
〜条件〜
●女子であること
●高校入試を受けていない人
以上のことが条件です。興味のある方はぜひお電話ください。応募も電話でお願いします。受かるのはたった一人です。
応募用電話番号 XX-XXXX-XXXX
お問い合わせ電話番号 OO-OOOO-OOOO』
俺は早速電話をした。女子の声で。
「あの、雑誌の広告を見ました。」
あっちがわの人は
「お名前をお願いします。」
「世浪麗輝と申します。」
「かしこまりました。決まった場合、お電話します。」
「すいません、決まる基準はなんですか?」
「この電話の礼儀です。礼儀は基本中の基本ですから。」
あのときは、さすがお嬢様高校って思った。
「あ、ありがとうございました。」
と緊張義気でも自身はあった。
理由なんて、簡単だ。
高校入試を受けてないヤツだんてお嬢様高校の豪華さにつられてギャルとかが集まるだろ?礼儀まで気にする訳ないから、
「あ〜の〜。雑誌みたんスけど〜。ウチ、高校受験受けてない系なんでぇ〜。ぶっちゃけ?無料なら通いたいな〜って?」
とか言うかな、って。
あとはあれだな、高校入試を受けてないってやつぁ、そういないって。俺みたいな事情はあったとしてもな。
電話をかけた3日後、電話がかかってきた。予想どうりに。
「世浪さんですか?」
緊張しながらも、この間の声で
「は・・・い。」
といった。
「蘭華峰高校の者ですが、この間のお電話の結果、一人はあなたに決まりました。」
当たり前、と思いながらも
「ほっ本当ですか!?ありがとうございます!で、なんで私に決まったんですか?」
と聞いてみた。
「まず、高校入試を受けていない人が少ないですよね。それが一番おおきいでしょうけど、この間も申したように、礼儀があなたが一番よかったからですね。」
笑ながら言った。
「約束道理、学費はもちろん、制服もこちらで免除いたしましょう。寮はどうなさいますか?」
「寮も無料なら、お願いします。」
ここから、蘭華峰までは3時間くらいかかる。ルームメイトが女だろうと関係ない。
「かしこまりました。一人部屋をご希望ですか?」
即答した。
「はい、お願いします。あと、もう一つお伺いしたいのですが・・・」
「なんでしょう?」
「なんで、募集なんてしたのですか?」
「あぁ、この学校に通いたくても通えない生徒がたくさんいるでしょう。その生徒の願いを一人でも叶えるためにです。あと、校長が『庶民がこの学校に入ったらどうなるかね。女の子1人くらいは夢を見さしてやりたいな』とおっしゃっていました。」
なんで、女なんだよ。
「なんで、女子だけなのですか?」
「女子がちょうど1人たりなかったもので・・・同じ人数にしたいというのが校長のお考えなのでは?」
「いろいろありがとうございました。」
と言って俺は電話を切った。
ということがあって、春休み中に買った女物の服やらアクセサリーやらをバックにつめて出かける。
数日前届いた蘭華峰学園の制服を着て明るめの茶髪で、おろしてすこしだけ高い位置で二つに結んでいるという感じだ。
蘭華峰学園の制服はブレザーで白と紅色。ブレザーが紅色でシャツが淡いピンク。リボンかネクタイは女子は選べる。一応2つもっている。スカートがフリルというか、一応制服には見えてチェック柄なのだが、ひらひらしている。スカートは赤と深い赤と黒のチェック。靴下は好きなもの。髪型やアクセサリーも好きなもので規定はないらしい。
親はこのことをしらない。
俺はもともと妹と2人暮らしといっていいほど、親が帰ってこない。
妹には、「高校決まったから。3日後からいないよ。寮に住むから。3日後は早く出るから、寝てろ。」
妹は1日中泣いていた。俺は妹が嫌いだったが、そのときはなぜか恋しく感じた。
そして今、蘭華峰学園の校門にいる。
とても大きい学校だ。
とてもどころではない。
やべぇよ。
一般庶民にしてはやばいよ、これ。
なんていうか・・・下手したらバチカン市国くらいあるんじゃないの!?
ほら、そこ!そこのビラ配りの人みたいに立ってるやつ!
何を配ってるかとおもったら、地図だよ!なんだよ、この学校・・・
これ、移動するのに何分かかんだよ!
あ~もう、とんでもないとこ来ちゃったな。
「あの人、かっこよくない?」
とかいろんな女子が見ている注目の男子は、俺がかぶっているカツラよりも深い茶色だった。どっちかというと、かっこいいというより美少年だった。