表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/37

14.元英雄、ストーカーされていた

 俺はマオに見られないように、すぐに雄っぱいを押して木の後ろに隠れる。


「おい、なんでお前がいるんだ!」

「そんなに私の雄っぱいが好きならいくらでも――」


 俺はすぐに転移魔法陣を地面に描いていく。

 一分もあればこいつをマオが近寄れない場所まで飛ばすことができる。

 この世界の最果てがどこかはわからないが、適当に座標を決めれば問題ないだろう。


「もう一度聞く。なぜお前がいる?」

「魔王様のお世話係の私がお側にいないのはおかしいわ」


 やはり魔王のお世話係なのは間違いなかったが、俺が聞きたかったのはそこではない。


「いや、お前は逆召喚でここに来てるんだろ?」


 この間、逆召喚を強制的に封じ込めた。

 例えば召喚は誰かに呼ばれて手でくるが、逆召喚は勝手に出てくる迷惑行為だ。

 もし、逆召喚していたらマオは気づいているだろう。

 それに俺とずっと一緒にいるのに、そんな気配もなかった。


「何言ってるの? 私は転移魔法でここにいるわよ」


 まさか俺以外に転移魔法を使っている人物……いや、淫魔がいるとは思いもしなかった。

 転移魔法って魔法の中でもかなり難しい分野だし、ある程度仕組みを理解していないと使えない。

 目の前にいる淫魔は相当頭が良いのだろう。

 ただ、こいつの存在を子どもたちに晒すのは悪影響だ。


 俺はすぐに転移魔法陣を解除して、最上級の高位魔法陣を構築していく。


「ちょっと! そんなの発動したら、私だけじゃなくて町の人が消し飛ぶわよ!」

「大丈夫だ。お前以外に防御魔法と蘇生魔法をかければ問題ないからな」


 別に町の人を殺すわけではない。

 目の前のイかれた格好をしている淫魔をこの世の記憶と存在を消すだけだ。

 使ったことがない魔法だが、理論がわかっていれば魔力で押し込めるはず。

 マオの記憶からも消したほうがいいからな。


「パパ?」

「とーちゃん?」

「ボス、こんなところでなにしてるの?」


 声がすると思い振り返ると、なぜか三人とも俺の後ろにいた。

 視線は俺の目の前……雄っぱいに向いていた。


「「エッチ!」」

「はぁん!?」


 ひじきともずくの声に俺はすぐに手を引いた。

 そういえば、雄っぱいを掴んだままだった。

 あまりにも驚いたためか、構築していた魔法陣は何事もなかったかのように、すぐに消えていく。


「もう、あなたったら! 強引なんだから!」

「おいおい、近づくなよ!」


 俺が離れたのに、今度は淫魔の方が強引に詰め寄ってくる。

 雄っぱいをわざと押し付けてくるのは、何か理由があるのだろうか。


「とーちゃん、ママがいたの?」

「ボスってメスを群れの外に追いやるタイプなのか……」


 なぜかマオとは違い、ひじきともずくの反応がぎこちない。

 それに「ママ」とか「メス」なんて言葉は、男に使う時に聞く言葉ではないはずだ。

 一体何が起きてるんだ?


「マオ……こいつって男だよな?」


 俺は淫魔を指差し、マオに確認をする。


「……そうだよ?」


 少し反応は遅かったが、マオにも聞いたら淫魔が男で間違いない。

 だが、ひじきともずくは首を傾げたままだ。


「ふふふ、幼いオルトロスぐらい魅了魔法で一発よ」


 魅了魔法って、相手の心を操り、意識や感情を変化させる魔法のはず。

 過去に戦争とかにも使われて、敵の部隊を味方につけたほど強力な魔法だ。

 俺はすぐに剣を抜き取り、淫魔の首元に当てる。


「子どもらに手を出したら許さないぞ」

「いやん♡ 私はただ見た目を女性に変えてるだけよ」

「……はぁん?」


 淫魔が語ったのは俺の思っているような魅了魔法とは違っていた。


「魔王様もだけど、あなたが別次元に魔法耐性が強いのよ。ちなみにこの町の人たちには、私が女性の姿で見えているわよ!」


 ただの頭がおかしい淫魔だと思っていたが、実は才能を無駄にしていただけだった。

 見た目はゴツい男なのに、口調が女性っぽいのは見た目に合わせて変えていたのだろう。

 それならマオも即答できないのが納得がいく。

 ただ、俺が完全に男に見えてるってことは、マオにはどういう存在に見えているのだろうか。

 場合によっては……いや、考えるのはやめよう。


「何でそんなことしてるんだ?」

「そりゃー、魔王様の側付きなら女性がいいものね!」


 どうやらマオのために、女性だと思わせているらしい。

 ただ、マオに効かないなら、そのままでもいい気もするが……。


「別に男でも問題ないだろ。それにマオには男に見えているだし――」

「はぁ!?」


 淫魔は驚いた顔をしていた。


「えっ……」


 まさか今までその考えに気づいていなかったのだろうか。

 やっぱりただ才能を無駄遣いしている淫魔だった。

 もし、これで頭が回っていたら、今頃マオは操られていたのかもしれない。


――パチン!


 淫魔が指を鳴らすと、一瞬だけ魔力の波が広がっていく。

 きっと魅了魔法を解除したのだろう。


「とーちゃんって……男の子が好きなの?」

「オスが好きならメスがいると取られちゃうもんね……」


 変なタイミングで魅了魔法を解除したから、ひじきともずくが変な勘違いをしていた。

 このままだと俺が男好きの雄っぱい好きになってしまう。

 俺はその場から離れようとしたが、なぜか体がびくともしない。


「俺のことが好きだったのか!」

「はぁん!?」


 耳元から体の奥に沈み込むような低音ボイスが響く。

 まさか俺が淫魔のことが好きとか冗談じゃない。


「俺は男好きじゃない!」

「別に男でも問題はない――」

「問題しかないわ!」


 体を振り払おうとするが、淫魔の力が強すぎてびくともしない。

 才能の無駄遣いではあるが、あの雄っぱいは無駄遣いしていないようだ。


「オレも女の子になった方がいいのかな……」

「オラのことも嫌い?」


 ひじきともずくが変な勘違いをしている。


「この淫魔が嫌いなだけで、ひじきともずくは大好きだぞ」


 俺がすぐに訂正すると、二人とも嬉しそうな顔をしてにっこりと笑っていた。

 今まで愛情を与えられることもなかったから、小さなことでも不安になるのだろう。


「雄のオルトロスがいけるなら俺だって――」

「無理だ!」

 

 これ以上関わっていると、色んな意味で俺が危ない気がする。

 それにおっさんとゴツイ男が戯れているところなんて、子どもに悪影響でしかないからな。


「転移!」


 俺は座標をマオの隣に設定して、俺自身に転移魔法を発動させる。


「そっちがその気なら、俺も転移魔法で――」

「マジックバインド!」


 俺は魔法を高速展開させた。

 地面から無数の鎖が淫魔を縛り付ける。


「ははは、そんな趣味があったのか。これで亀甲――」

「うるせぇ!」


 俺はすぐに三人を抱えてその場から立ち去る。

 マジックバインドは拘束する魔法でもあるが、その間は魔法を使えなくする。

 これなら転移魔法も使えず、すぐに追いつくことも不可能だ。


「おい、マオ! 本当にあいつは何者なんだ!」

「しらにゃい!」


 やはりマオは淫魔のことを知らないようだ。

 ひょっとしたら、マオもあまりにも衝撃的な見た目と言葉遣いに耐えきれず、脳が自動的に記憶を改ざんさせているのかもしれない。


「とーちゃん、男の子が好きなら、オラとも結婚できる?」

「ちがう! オレと群れを作るんだ!」


 ひじきともずくの無邪気な笑顔に、自然と胸が温かくなる。

 だが、今はそんなことを言っている場合じゃない。

 淫魔が雄っぱいの力を見せつけるように、力技で鎖を引きちぎっていたからな。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ