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9、給仕係のお仕事

いつも読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。

今作も楽しんでいただけると嬉しいです。

「いい?アニー、給仕係とは言っても、単に料理を運ぶだけじゃないのよ」


賄いにと、あっという間にマスターが作ってくれた肉野菜炒めとパンをいただきながら、私はライラさんに給仕係の仕事とは何をするのかを聞いていた。


「まず朝は店の掃除、で、昼営業でしょ。営業中はさっき見てた通り、料理を運んだり、食事の終わった皿を片付けてテーブルを拭いたりお会計したり…まあ色々とやることは沢山ね」


「沢山あるんですね…」


「あ、私に敬語はいいから。ホントは皿も洗うんだけど、今は給仕係が一人しかいないからマリーさんがやってたの」


「皿洗いですね」


皿か…いつも外食だったから洗ったのは遠い昔だ。


ダンジョンでは保存食で皿なんか使わなかったし。


「昼休憩の後は夜の仕込みの手伝い。その後夜営業よ。夜はお酒も出すから賑やかよ」


昼でもすごい賑わいだったのに、ほんとに人気店なんだ。


「あ、私、賄いのお皿洗います!」


いいところを見せなければ。


しかし…。


バリン!


ガシャン!


…お皿を洗う力加減がわからない。


「ま、まあ、今日は無理しなくていいわ」


マリーさんが焦って私から割れた皿を取り上げた。


「ごめんなさい!お皿を割っちゃって…」


私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「いいのよ。誰にだって最初はあるんだから。野菜の下ごしらえはむつかしいかしら?」


ジャガイモ、玉ねぎ、人参が箱にゴロゴロ置いてあるところにやってきた。


「ジャガイモを洗って皮を剥くの。無理なら違う仕事がまだまだあるから無理せずやってみてね。ライラちゃん、教えてあげてくれる?」


「はーい。料理したことある?え?ない?これは…難しいかな」


ジャガイモを洗い、ナイフを渡された。


野菜の皮剥きか…私にできるだろうか?


ゴブリンの首なら簡単に落とせるのだが。


「こうやって皮を薄く剥いて、芽のところは取るんだよ」


ナイフ…その手に馴染むしっかりとした質感に落ち着いてきた。


「こう?」


「そうそう、上手いじゃん。その芽はこうやって取るんだよ」


「こうかな?」


さっと教えてもらった通りに芽をとる。


「いいじゃん、上手い上手い」


皮を剥いたじゃがいもを水につけ、次を手に取る。


さっきみたいにすればいいんだよね。


じっと、ジャガイモを見つめるとナイフを構える。


スススッ。


「え?今何が?」


ライラが目を擦った。


私の手には一瞬で皮の剥けたジャガイモが乗っていた。


刃物の扱いは得意だ。


野菜の下処理にも刃物の扱いが役に立つようだ。


「ジャガイモって、どれくらいの数剥けばいい?」


「あ、じゃあそのカゴに入ってるジャガイモ全部お願い」


「了解」


一度上手くいけば後はその通りに反復するだけだ。


私はあっという間にカゴのジャガイモを剥き終えた。


「次は何すればいいかな?」


「え?もうできたの?」


ライラが驚いて剥き終えたジャガイモをみる。


「すごい全部できてる…」


「ナイフは得意だから」


「なるほど…刃物系は器用で早いのか…」


ライラは何か考え込むと、人参と玉ねぎを持ってきた。


そこで、人参と玉ねぎの皮剥きとみじん切りを教えてもらった。


「玉ねぎは切ると涙が出るから気をつけて」


教えてもらったように皮を剥いて、まな板でみじん切りにし、ボウルに入れていく。


「うん、上手いね。いい感じ。人参と玉ねぎもカゴにあるだけみじん切りよろしく」


「了解!」


嬉しい。


さっきお皿を割ってしまって凹んでいたが、何とかできる仕事がありそうだ。


待てよ、要はみじん切りしてこのボウルに入れればいいんだよね。


私は皮剥きした人参を顔の高さまで放り投げた。


「な、何?」


ライラさんの驚いた声がする。


ナイフを構えると人参に向かって素早く何度も振るった。


シャシャシャキン!


ボウルを手にして、空中でみじん切りになった人参を受ける。


ザアッ。


うん、やっぱりこっちの方が早く切れる。


「何?今、何やったの?」


ライラさんがこちらにすごい勢いでやってきた。


「まな板を使わない方が早く切れるかなって思って?」


「思って?じゃないわよ。何よ今の技は?アンタ何者なの?」


「やだなあ、ただの元冒険者よ。剣士だったからできるだけ」


マスターとマリーさんも近寄ってきた。


「何、何?どうかしたか?」


「すごいわ、アニーちゃん、もうこんなに野菜がきれたのね」


マリーさんが野菜の入ったボウルを見て褒めてくれた。


「はい!野菜を切るのは得意みたいです」


「得意とかいうレベルか!?」


その後、皮剥きした玉ねぎも同じようにみじん切りにして見せたら、マスターもマリーさんも手を叩いて喜んでくれた。




読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

返事が返せないこともありますが、感想必ず読んでます。ありがとうございます。

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