7、ライラの仕事
いつも読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
「いらっしゃいませ〜」
ライラがさっきとは違ったさらにかわいい声でお客さんに挨拶する。
「やあ、ライラちゃん、今日もかわいいね」
おじさん2人組が席に座りながら、ライラに声をかける。
「やだもう、グリーさんたら。いつもからかって」
「ホントだよ。いつもおじさん達ライラちゃんに癒されてるんだ」
「ホントに?なら嬉しいな。注文なんにします?」
え?すごい!トーク力高すぎ。
「こんにちは〜、お腹すいたわ。今日の日替わりはなあに?」
「いらっしゃいませ、リンダさん。今日もお仕事お疲れ様です。今日の日替わりはメンチカツですよ」
「ありがとう、ライラちゃん。じゃあ、それもらうわ」
「はい、急いで用意してもらいますね」
次々やってくるお客さんを、笑顔でどんどん捌いていく。
ぽーっとなってライラさんの凄さをみていると、ライラさんが私の方に来て耳打ちした。
「あのさ…悪いんだけど、カウンターの方に移動してもらっていいかな。今日グループ客が多くてテーブル使いたくて」
1人で4人テーブルを占領していた私が悪い。
「は、はい。今移動します」
「悪いね、午前の営業が終わったら埋め合わせするから」
「いえ、大丈夫ですから」
お皿とコップを持ってカウンターの端に移動する。
うん、ここからの方がライラさんの様子がよく見える。
流れるようなトークと共に注文を聞き厨房に伝達、できた料理を運び、笑顔で提供。
素早く会計をし、笑顔でお客を送り出す。
あっという間にテーブルを片付けて、次のお客さんを案内する。
すごい!彼女も特殊スキル持ちなんだろうか。
よく見れば、水も無くなりそうになる前にさりげなく継ぎ足しているし、オーダーしたそうなお客さんには呼ばれる前に聞きに行っている。
すごい…。
その間もずっとにこにこ可愛さを失っていない。
これだ!
目からウロコとはこのことなのか。
こんな、日常と思えるところに新しい目標ができるなんて。
昼営業が終わり、最後のお客さんを笑顔で送り出したライラは入り口のドアプレートをクローズにし、ドアに鍵をかけると、ホールの椅子にどっかりと腰をかけた。
「あーっ、つっかれた。やっぱ、ホールひとりじゃキツいわ。マスター、マジでそろそろ張り紙してくださいよ」
「うん、そうだな。給仕係の募集かけるか」
それを聞いて私は立ち上がった。
「私をこの店で働かせてください!」
「「え?」」
ツカツカとライラさんのところに行ってその両手を掴んだ。
「ライラさん、あなたの仕事ぶりはとても素晴らしいです。ぜひ私にご教授ください」
「は?」
「体力と運動神経は自信があります。笑顔とトークはこれから修行を積めば…」
「ちょ、ちょっと待って、落ち着いて…」
ライラさんは私を制してマスターに向かって言った。
「何これ?どういう話?」
「いや、俺たちもまだ話が聞けてなくて…」
「とりあえず一息つきましょう。話はそれからね」
マリーさんがコーヒーを人数分入れてくれ、私は自分のことをポツポツと話し始めた。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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