61、最終話 新しい日常
ついに今回で完結になります。
いつも読みに来てくださった方々本当にありがとうございます。
皆様のおかげで書く力が出てきます。
最後までお楽しみいただけると嬉しいです。
3日後、ハリソンは約束通り私を連れ戻すことを諦めガレリアに戻る事になった。
「冒険者に戻りたくなったら俺たちはいつでも歓迎するからな」
とハリソンは帰る間際まで言っていた。
「冒険者に戻っても戻らなくてもガレリアはアニエスの故郷よ。いつでも遊びに帰ってきてね」
ハリソンとモーリスと一緒にガレリアに戻るユーリは私の手を取り、そう言ってくれた。
「うん。ユーリもまたランベルに来てね」
私がそういうと、ユーリは強く頷いた。
「ええ、私もまた来るわ。困ったことがあったらいつでも私達を頼るのよ」
「うん、ありがとう」
相変わらずユーリは私のお姉さんのようだ。
涙が止まらないユーリの肩をモーリスが優しく抱いた。
「じゃあアニエス、元気でな。ディルック、アニエスを頼んだぞ」
私の隣に立ったディルックは力強く頷いた。
「ああ、任せとけ」
「けっ、アニエスより弱いくせに」
ハリソンが呟く。
「ハリソン?何か言った?」
ユーリがハリソンに聞くと彼はそっぽを向いた。
「じゃあ皆元気でね。気をつけて!」
私達は手を振って別れた。
今日も依頼に行くと言うディルックは私を食堂ひだまりの猫に送ってくれた。
「じゃあな。また夜に顔出すわ」
「うん、頑張って」
確実に冒険者としてステップアップしているディルックは頼もしい存在だ。
食堂に入るとすでにマスター、マリーさん、ライラが仕込みを始めていた。
「アニーちゃん、ちゃんとお別れは出来たの?」
マリーさんが心配そうに聞く。
「うん、ちゃんとできたよ」
「そう。少し寂しいわね」
昨日の夜はユーリやモーリス、ハリソンも交えて食堂で楽しく騒いだ。
お互いすっかり仲良くなって、まさかこんな日が来ると思ってなかった私はとても喜んだ。
S級冒険者をやっていたということが街の人達にバレてしまったので、皆の態度が変わってしまうことが気がかりだったが、思ったよりすんなり受け入れてくれた。
「いつもあんな荷物を軽々と持っているから、只者じゃないとは思っていたよ」
と肉屋のマーカスさんが言うと、負けず嫌いのシーラさんも、私もわかっていたと言い始めた。
いつも通りじゃない、いつも通りな新しい日常。
こんな毎日もいいじゃないか。
S級冒険者でも食堂の給仕係でも私は私、そう言ってくれる人達がいるから…。
「よう、アニー。来たぞ」
片手を上げて食堂に入ってくる私の大切な人。
これからもどんな私でも、どんなあなたでも共に自分らしく生きていきたいな。
「いらっしゃい、ディルック」
私は彼に向かって微笑んだ…。
完結です。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
いつも最後は反省会です。
もっと細かく書きたかったな。
ディルック目線も、ガイアスの話も…。
しかし何故かかきすすんで行くうちに完結してしまった。
機会があれば、またその辺りも書くかもしれません。
あくまで未定ですが。
他の作品も書いているので興味がある方は読んでいただけると嬉しいです。
全部読んでくれたと言う素晴らしい方は、また次の作品で会えることを楽しみに。
それではまた。
iru




