38、その後
今日も読みに来ていただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
楽しんでいただけると嬉しいです。
次の日、ディルック達が店にやってきた。
オリバー達は色々な街で同じような詐欺を繰り返していたらしく、冒険者ギルドの方にも手配が来ていたらしい。
ステラさんのお金は全て返ってくるわけではないが、彼らの報奨金の取り分を渡すと言うと、ステラさんは断った。
「どうして?ステラさんのおかげで私は被害に遭わずに済んだのに」
私がステラさんに言うと、ステラさんは微笑んだ。
「捕まえたのはアニーちゃんだもの。他にも被害に遭った人はいるのに私だけがもらうわけにはいかないわ」
「そんな…」
ステラさんには幸せになってほしいのに。
「あのね、アニーちゃん。私、あいつらが捕まってすごくスッキリした気分。ここまで追いかけてきて良かったって本当に思えた。これもアニーちゃんのおかげよ」
ステラさんは本当にスッキリした顔だ。
「私、この街が気に入っちゃった。私もこの街で暮らしていこうと思うの」
「え?本当に?」
「ええ、実はここにくる前に道具屋さんの従業員募集の張り紙があったから応募してきたの。無事に雇ってもらえたわ」
「道具屋ってもしかしてシーラさんの?」
「シーラさんを知ってるの?彼女元気ないい人ね。だから…良かったら私と友達になってくれない?」
「え?」
「ダメかしら?」
「とんでもない!!もちろん大歓迎です。こちらこそよろしく!」
ライラがやってきて言った。
「私には?友達は多い方がいいでしょ?」
「もちろんライラさんにも友達になってほしいわ」
ステラさんはライラに向かって手を差し出した。
ライラも手を差し出す。
「これからよろしく。ライラでいいよ」
「では、私もステラって呼んでね」
「私も!私もアニーで!」
そんな私達を皆優しい目で見ていた。
それから数日、食堂ひだまりの猫は今日も賑やかだ。
ステラもすぐに街に馴染んできた。
元々自分で店をしていただけあって、人付き合いは得意らしい。
「ところで、アニーとディルックはどうして付き合わないの?」
夜営業中、食事に来ていたステラがいきなり爆弾発言を落とした。
ガラン!
思わず持っていたトレイを落としてしまった。
ブフッ!
ディルックも飲んでいたエールを吹き出した。
「ちょっと!汚い!ディルック」
ガイアスがディルックに向かって怒る。
「悪い悪い」
ディルックは服の袖でテーブルにこぼれた拭こうとして、ライラに拭いてもらった。
「ステラ。それは皆が思ってても言わないことよ。そっとしておいてあげて」
ライラ!
「そうなんだ。何か理由があるのかなって思ったんだけど」
「理由がないことはないけど、今となってはそれもあるような無いような」
私がうろたえている隙に、ステラの質問にライラが答える。
「無いのか?アニー?」
ディルックが期待に満ちた目で私を見る。
「いや、理由あるから。私は冒険者とは付き合わないんだから」
「そうか…ダメか」
しゅん、としたディルックに罪悪感を覚える。
「いつまでも意地張っちゃって、拗らせてるのよ」
ライラがステラこっそり言うけど、聞こえてるから。
「と、とにかく、次の恋愛は慎重にいきたいの」
私が言うと、ステラがため息をついた。
「そうよねえ、私も慎重に行くわ。もう騙されたくないもん」
テーブルに頬杖をついてステラがしみじみ言った。
「誠実さが実際に見えるメガネでもあればいいのに」
「俺はアニーに対してめちゃくちゃ誠実だぞ」
ディルックが私に言う。
「そうかな?どうなのかな?」
私が言うと、ガイアスがため息をついた。
「本当に誠実さが見えるメガネがあればいいね、ディルック」
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