表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/61

37、制裁

今日も読みに来ていただきありがとうございます。

誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。

楽しんでいただけると嬉しいです。

「それじゃあ行くか」


ディルックが剣を構えて家に乗り込もうとするが私は手で制した。


「ディルックとガイアスは逃げないように裏口と窓の外にいて。ケジメは自分でつけるから」


わたしが言うと、ディルックはこくりと頷いた。


「わかった。それとお前が強いのはもうわかっているが、それでも女の子だ。助けが欲しければすぐに呼んでくれ」


「うん、そうする。ありがとう」


ディルック達が裏にまわったころ、ドアを開けようとするも、鍵がかかってる。


ガチャガチャ。


バキッ!


鍵ごとドアを壊してドアを押し開ける。


「な、なんだ?」


「アニーちゃん?アニーちゃんじゃないか!どうしてここが!?」


オリバーの向かいの男を見てみると、おばあさんにひったくりをしてオリバーが捕まえたあの男だ。


「そう言うこと…」


「もしかしてあの女の言ったことを何か勘違いしてるんじゃないか?彼女は完全に人違いをしていたんだ。話を聞いてくれ」


私は一歩オリバー達の方に歩みを進めた。


「何が勘違いよ。そいつはひったくりの男じゃない。初めからグルだったのね」


私がもう一人を指差すと男は首を傾げてみせた。


「ひったくり?なんのことだい?何か証拠でもあるのか」


わたしはさらに一歩進んだ。


「昼間の女性、ステラさんって言うんですってね。全て聞かせてもらったわ。それに、警備隊のオリバーさんは全くの別人だった」


オリバーに向かって言うと、彼はいつもの優しい口調と全く違う乱暴な話し方で言った。


「あーあ、素直に騙されてれば怪我をさせずにお金だけで済んだってのに。全く馬鹿な女だ」


「そっちが本性なのね」


「全く、警備隊の制服も苦労して盗んだのに。この街での稼ぎが無くなったじゃねえか」


もう一人の男もこちらに近づいてきた。


「女一人で何ができると思ったんだ?かわいい顔して。おい、適当に痛めつけて、そのあとは楽しませてもらおうぜ」


どこまでも最低な奴らだ。


「そうだな。この街での稼ぎの代わりに俺たちを楽しませてもらおうか」


「最低ね。あなた達には罪を償ってもらうわ」


私の周囲の空気がズンと重くなる。


「生意気な女だ。痛い目に遭わないと大人しくできないようだな」


オリバーが拳を固めて殴りかかってきた。


が、遅い。


遅すぎる。


私はヒョイっと顔に向かってきた拳を避ける。


今、女性である私の顔を狙ったな。


ますます許せん。


「調子に乗りやがって!」


「ふざけんな!コラ!」


オリバーとさらにもう一人の男も殴りかかってくる。


ヒョイヒョイとパンチを避ける。


「なんで当たらないんだ!」


オリバーはかなりイライラした様子だ。


「来ないならこっちから行くわよ」


私はもう一人の男の腹に軽めのパンチを当てた。


ドォン!


男は壁に吹っ飛ばされ、壁にできた窪みにハマって動かなくなった。


「あれ?死んでないよね?」


私が首を傾げると、オリバーさんがヘナヘナと座り込んだ。


「お前、一体何者なんだよ…」


「私?私は食堂の給仕係よ」


ただし元S級冒険者の、と心の中で付け加える。


「アニー、大丈夫か?」


ディルックとガイアスが入ってきた時にはオリバーは床に座り込んで腰が抜けて呆然としていた。


「コイツ生きてんの?」


ガイアさんが壁の男を指でつつく。


「うーん、素人だと思ったからかなり手加減したつもりなんだけど」


「あ、息してる」


とりあえずとディルックはそこら辺に落ちていた男達の服で奴らの手足を縛った。


「もう少しで逃げられるところだったわ。捕まえられて良かった」


そう言う私の頭にディルックが優しく手を置いた。


「お前のおかげで奴らを捕まえられた。よく頑張ったな」


ぽんぽん。


今は絶対泣くもんか。


私は涙を堪えて頷いた。


「俺たちは警備隊にコイツらを連れてくから、アニーは店に戻って皆を安心させてやれ。皆心配してるだろうから」


「うん、わかった」


「明日、また店に行って事後報告するから。ステラさんにも明日警備隊に来るよう伝えておいてくれ」


「うん、ありがとう」


私は彼らにオリバー達を任せ、店に戻ってオリバー達を捕まえた事を伝えた。


「ありがとう!本当にありがとう!」


ステラさんは涙を流して喜んでくれ、明日警備隊の事務所に行くと言って泊まっている宿に帰って行った。


「はあ」


店のテーブル席で気が抜けたため息をついた私の前に、マスターが焼きたてのマカロニグラタンをドンと置いた。


「疲れた時にはあったかい飯だ。それもとびきり美味いやつ」


「マスター…」


「熱々だから火傷に気をつけるんだぞ」


私はスプーンを取ってグラタンをすくい口に入れた。


「熱っ」


ハフハフ言いながら食べる優しくクリーミーなマカロニグラタン。


気がつけば涙が止まらない。


「えっ、熱くて舌やけどした。えっ、くっ」


嗚咽を漏らしながらグラタンを食べる。


「舌をやけどしたんじゃ、泣いてしまってもしょうがないわ」


マリーさんが優しく言った。


ライラが優しく私の肩を抱き寄せる。


クズな男に騙されそうになっても、私には慰めてくれる優しい人達がいる。


明日からはまた元気に生きていこう。





読んでいただきましてありがとうございました。

当初考えていたよりアニーが暴れられなかった…。

相手が弱すぎたのか!?

引き続き次もお読みいただけると嬉しいです。

返事が返せないこともありますが、感想必ず読んでます。ありがとうございます。

評価、リアクション、ブックマークもお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ