22、農夫マルコス②
いつも読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
「それでね。マルコスさんがサンドイッチを奢ってくれて、2人でベンチに座って一緒に食べただけなんだよ」
今、私は食堂ひだまりの猫の夜営業中、ディルックに向かって昨日の件について説明している。
昨日マルコスさんと並んでサンドイッチを食べていたところを肉屋のマーカスさんに見られていたらしく、マーカスさんが道具屋のシーラさんに伝えそうだ。
シーラさんは武器屋のリグルドさんに言って、リグルドさんがディルックに言ったらしい。
常連さんのネットワーク、恐ろしい。
「偶然あっただけということだな」
ディルックは納得した様子だが、私は腑に落ちない。
「そもそも私が誰とお昼を食べようと、ディルックに関係ないじゃない。付き合ってるわけでもないし」
「それを言うなよ…。じゃあ、付き合ってくれる?」
ディルックはしょげたように言うがその手には乗らない。
「付き合いません」
「いいさ、それでも俺は一途にアニーを思っているのさ…」
寂しそうだが、甘やかすのは良くない。
私は真面目な相手を探している。
例えば地に足ついた農夫のマルコスさんのような。
「実際、マルコスさんってどんな人だったの。ここではほとんど喋らないけど」
ライラが私に聞いた。
「それがね。マルコスさんって農家という自分の仕事に誇りを持っていて、作った野菜も格別に美味しいの」
「へー、そうなんだ」
「普段は無口なんだけど、野菜のことにはすっごく詳しくて沢山話してくれたの」
ライラに昨日のマルコスさんの様子を話す。
「大丈夫か?そいつ、ずっと街を離れて何してたかわからないんだろ」
ディルックの友人のガイアスさんが心配そうに言う。
「そ、そうだぞ。怪しいやつかもしれない」
ディルックも便乗してマルコスさんを疑う。
「も〜、あんな美味しい野菜作ってる人が悪い人なわけないじゃん」
「「え?」」
「絶対真面目ないい人に決まってるよ。作物は裏切らないんだよ」
私が言うと3人はヒソヒソと小声で話し始めた、
「大丈夫かな?」
「これ危ないんじゃないか?」
なんだよ失礼な。
「マルコスさんが今度畑を見においでって言うから今度の休みに見に行ってみようと思ってるんだ」
「え?1人じゃ危ないよ。私も行く」
ライラがわたしに言う。
私もライオネルさんの時にそう思ったな、懐かしい。
「いや今度の休みはライラはライオネルさんと出かけるんでしょ」
「そんなの別に次の機会でいいから」
「大丈夫、大丈夫。家に上がるわけじゃなくて、外で畑見せてもらうだけだから。1人で平気だよ」
その時、ちょうどお客さんが入ってきた。
「あ、いらっしゃいませ!お好きな席にどうぞ」
そう言う私の後ろでは3人が心配そうに見ていた。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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