21、農夫マルコス①
いつも読んでいただきありがとうございます。
今日は少し早めの投稿です。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
次の食堂の定休日、私は生活用品や食材を買うために市場に来ていた。
ランベルの街の市場はいつも活気に満ち溢れている。
新鮮な野菜や果物、肉やソーセージなどの加工食品も所狭しと軒を連ねている。
野菜を買おうと店を覗いたら、懐かしいガレリアの野菜が目に入ったので思わず買ってしまった。
デーコンという白くて大きな根菜だ。
ガレリアの寒い冬にはよく味の染みた煮込み料理を食べたものだ。
もちろん私はガレリアにいた頃は、全く料理をしなかったので店で食べていたのだが。
しばらく歩くと屋台ゾーンに入った。
肉の焼ける音や煮込み料理や炒め物のいい香りがしてきてお腹が鳴った。
「よし、何か食べていこう」
ふと目の前のサンドイッチの屋台を見ると、マルコスさんが店主と何か話していた。
こんなところで会うとは偶然だ。
「マルコスさん、こんにちは」
マルコスさんは私を見てとても驚いていた。
「あっ、アニーさん。こ、こんにちは」
モジモジ、マルコスさんは照れている。
「マルコスさんもお買い物ですか?」
「あ、いや、俺はこの店に野菜を届けに来たんだ」
「え?この野菜マルコスさんが作ったんですか?」
みずみずしいレタスに真っ赤でピッカピカのトマト、玉ねぎも丸々と立派だ。
「う、うん。どれも俺が作った野菜だよ」
「え?すごーい、とっても美味しそう」
本当に美味しそうだ。
サンドイッチの屋台のおじさんが声をかけてきた。
「お嬢さん、マルコスの知り合いかい?よかったらサンドイッチをどうだい?スモークチキンと野菜のサンドなんかおすすめだよ」
それは美味しそうだ。
「はい、それを1つお願いします」
「何か苦手な野菜はあるかい?」
屋台ののおじさんが聞くが苦手なものはない。
一流冒険者は食べられる時に食べないといけない。
何かの食材が苦手など贅沢を言っていられないのだ。
「苦手な野菜はないです」
「いいねえ、お嬢ちゃん。じゃあチーズをおまけしとくよ」
おじさんはフランスバンを開いて、スモークチキンとレタスにトマト、玉ねぎをのせる。
そして大きなチーズの断面を温めると、溶けたチーズをナイフでとろーりと削って野菜の上にかけてくれた。
「ソースをかけて出来上がりだ」
おじさんが紙に包んで渡してくれる。
「うわー、美味しそう」
私がお金を渡そうとすると、マルコスさんが制した。
「ここは俺に払わせてくれないか?俺の野菜を褒めてくれたお礼だ」
「え?いいんですか?ありがとうございます」
本当に美味しそうだったから褒めただけなのに、奢ってくれるとはいい人だ。
「オヤジ、それと俺にも同じサンドイッチをくれ」
「はいよ。マルコス、いい格好するじゃねえか」
屋台のおじさんはマルコスさんに向かってニヤリと笑った。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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