13、新しい我が家
いつも読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
「ここが私が住んでるアパートよ。私の隣の部屋が今日からアニーの部屋」
「ここが…」
そこは2階建ての建物で、1階、2階とも5部屋ずつあるそうだ。
白く塗られた壁に赤い瓦のかわいい建物だ。
窓にはアイアンの飾りもある。
「少し古いけど、中は割と綺麗なのよ」
ライラさんは大家さんから鍵を預かってくれていて、私の部屋をガチャリと開けてくれた。
「わあ!ここが今日から私の家」
はっきり言って狭い!
ガレリアではS級冒険者はギルドが一軒家を用意してくれていて、私もそこに一人で住んでいた。
もちろん最新の設備だ。
でもガレリアの家よりよっぽどワクワクする。
普通の女の子の家だ。
「キッチンはそこ、こっちがトイレ、こっちはシャワーね。湯船はさすがに一般家庭にはなかなかないけど、街に銭湯もあるのよ」
「へえ、銭湯があるんですか」
それはいい。
お風呂に入りたくなったらいつでも行ける。
「とりあえず、寝られるようにはしてくれてあるから、少しずつ生活用品を揃えていけばいいわ。何か足りないものがあったら私のところに来なさい。貸してあげるから」
なんていい人なんだ。
「ありがとう、ライラ」
うるうるした目で見ていると、ライラが照れたように言った。
「やめてよ、そんな目で見ないで。なんかあんたって放っておけないのよね」
え、初めて言われた。
「アニエスはどこでも一人で生きていけそうだな」
と、ガレリアの冒険者達からはよく言われていたものだ。
「と、とにかく、旅の疲れもあるだろうから今日はゆっくり休みなさい」
「うん、色々ありがとう」
「じゃあ、また明日ね」
ライラと別れて改めて部屋をぐるりと見渡す。
ベッドと丸テーブル、椅子1脚の何もない部屋だ。
だが、今日からここが新しい私の家だ。
ボフッとベッドに倒れ込む。
「ああ、いい人達に会えてよかったなあ。あ、ユーリ達に手紙を書かなきゃ…」
安心したからか、旅の疲れなのか、私はそのままの体勢で眠ってしまったようだ。
夢を見た…。
私はウエディングドレス姿でバージンロードを一人で祭壇に向かって歩いている。
祭壇の前ではタキシード姿のハリソンが笑顔で待っている。
私は祭壇までたどり着いて、ハリソンの手をとった。
その時、教会のドアがドンドンと叩かれて、バンッと大きく開かれ、ウエディングドレスを着た冒険者ギルドの受付嬢のモナが現れた、
「ちょっと待ったあ!!」
モナは私を押し除けハリソンの隣に立つと私に言った。
「ハリソンと結婚するのはこのアタシ。アンタは女として見てないって」
ハリソンも私に言った。
「アニエスは妹だから列席者の席に行ってもらえるかな」
なんで、どうして…、ハリソン…。
ガバリとベッドから身を起こす。
「夢か…」
ドンドンとドアを叩く音がする。
「アニー、私よ、ライラよ。まだ寝てるの?」
慌ててガチャリとドアを開けた。
「おはよう、ライラ」
ライラは私を上から下まで見た。
「アニー、アンタもしかして昨日そのまま寝たんじゃないでしょうね」
なんでわかるの?
「うん、実は…」
「もう!もしかしてと思って早めにきて良かったわ。早くシャワー浴びてきなさい」
ライラ…ユーリに似てるな。
頼りになるお姉さんみたいだ。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
返事が返せないこともありますが、感想必ず読んでます。ありがとうございます。
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