10、給仕係のユニフォーム
いつも読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
「じゃあ店を開けるわよ。大丈夫?」
「うん。お願いします」
今私が着ているのはライラさんと同じユニフォームだ。
夜営業前に、マリーさんがこれに着替えるように渡してくれたのだ。
「前の子が着てたやつだからサイズが合わないかもしれないけど、一度着てみて」
「いいんですか?」
赤のギンガムチェックのワンピースは半袖の軽く膨らんだ袖に、膝までのふんわりしたスカート。
白い丸襟と袖の白い折り返しがアクセントだ。
ヒラヒラした白いエプロンもすごくかわいい。
私はマリーさんちのお風呂で軽く旅の汚れを落として、借りたユニフォームに袖を通した。
「わあ、こんなかわいい服がユニフォームなんて素敵」
さっそくマリーさんたちに見せに行く。
「とりあえず大丈夫そうね。新しいのができるまでそれを着ててくれるかしら。アニーちゃんの分のユニフォームは明日注文するから」
マリーさんが着替えた私のサイズをチェックしながら言った。
「わざわざ新しいのを注文しなくても、これで充分ですよ」
そんなにダボダボでもないし、大丈夫だろう。
私がマリーさんにそういうと、マリーさんとライラがわかってないなと呆れた様子で首を振った。
「アニーちゃん、ダンジョンに挑む時、着られるからってサイズの合わない防具を身につけるかしら?」
冒険者にとって防具は命綱だ。
サイズが合わないなんて命を危険に晒すようなものだ。
「ありえないですね。サイズが合わないなんて、命の危険が…、あっ、もしかして!」
ライラは何故か得意な顔をした。
「わかったかしらアニー。給仕係にとって、ユニフォームはいわば戦闘服。戦場に向かうには最高の装備で向かわなければ」
「師匠!」
「髪もお化粧だってそう。女の戦いは家を出る前から始まっているのよ」
なんと!
私は今まで全く無防備だった。
素手でダンジョンボスに挑んでいたのか。
どうりで負けるわけだ。
「マリーさん、是非新しいユニフォームをお願いします」
「ええ、もちろんよ。サイズがピッタリであってこそ、ウチのユニフォームは最高の防御力を発揮するんだから」
ああ、新しいユニフォームを着るのが楽しみだ。
「お前ら、うちの店を何だと思っているんだ?」
マスターが呆れた様子で見ている。
「もちろん、理想の相手を見つけるための戦場ですけど?」
ライラさんが言い切る。
「俺は、うまい料理が食べられる憩いのレストランのつもりなんだがな」
…そんなやり取りがあり、今がある。
ライラさんに私のお化粧品で軽くお化粧もしてもらった。
そして緊張は最高潮だ。
ダンジョンボスに挑んだあの時を思い出す。
「いらっしゃいませ!」
ライラさんの爽やかな挨拶にハッとして、私も挨拶する。
さあ、新しい戦いが今始まるのだ。
「いらっしゃいませ!」
読んでいただきましてありがとうございました。
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