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私の恋人

作者: 美夢

「ありがとう。大好きだよ。凄く幸せだったよ。」





私は高校生の時に大好きな恋人ができた。

その子の名前は優也。私の1つ年上だ。

名前の漢字にある通り凄く優しい子だった。


優也と出会ったのは私が高校2年生の時。

いつもの通り1人で裏庭のベンチでお弁当を食べていたら突然現れた。


「いつもここでお弁当食べてるね」

最初にかけられた言葉だった。

私はびっくりしてお弁当を落としかけた。

「おっと危ない。落ちなくてよかった。急に声掛けてごめんね。僕の名前は優也。君の名前は?」

「……。沙希」

私は人と話すのをそんなに得意としていなくて、自分の名前を答えるだけで精一杯だった。

だけど、彼は優しく笑顔でよろしくと答えてくれた。

その日をきっかけに私と優也は毎日一緒にお弁当をたべることになった

人とたべるお弁当は1人で食べるより凄く美味しく感じた。

最初は全然話せなかったけど、優也はいつも私が話しやすいように簡単な質問をしてくれた

私はそれに答えるだけだった。

お弁当も自分で作ってるのかと聞かれたことがあった。

優也はいつも菓子パンだった。

私は勇気を出して優也の分も作ってこようかと聞くと、凄く嬉しそうにしてくれてその日をきっかけにお弁当を2つ作るようになった。

一人暮らしだから、よくあるような親に何か言われることもなかった。

お昼とお弁当を作るのは私の唯一の楽しみになっていた。

だけど、優也は優しいから負担になってないか聞いてくれた。

私は唯一の楽しみと言ったら驚いていたけど安心してくれた。


優也に惹かれるのにそう時間はかからなくて私はいつの間にか惚れていた。

少しでも可愛く見られたくてメイクをするようになった。

本の少ししかしてないのにその変化にも気づいてくれた。


そろそろ夏休みだ

夏休みには告白しようと思った

だけど、優也とは学校が以外では会えないらしい

何故か気になったけど深く追求して嫌われたくないからあまり深く聞かないようにした

それに、聞かないでほしい感じの雰囲気が出ていた。


夏休み会えないのは辛いけど夏休み会えないんだったらもしも振られても気まづくないと思い、私は優也に告白することを決めた。


夏休みの2日前

「ね、優也、明日のホームルーム終わりいつもの場所で待ってる。話があるんだ」

そう言って呼び出した

夏休み前日はホームルームだけで終わるからお昼とは言えなかった。

「分かった」


優也は何となく察してくれたような顔をしていた。


そして、ホームルームおわり優也は約束通り来てくれた。

「呼び出しちゃってごめんね。少し察してたかもしれないけど、私、優也のことが好き」

緊張と恥ずかしさで顔が真っ赤になっていると思う。

優也は優しく微笑んで私を抱きしめてくれた。

「僕も好きだよ」

とても低く甘い声だった。

だけど、少し悲しそうにも聞こえた


優也と会えない夏休みを過ごした。

早く夏休み終わらないかなとどれだけ思ったのか分からない

優也以外に特に友達も居なく、私はバイトばかりの生活を送っていた。

優也に連絡もしたかったけど、学校にはケータイを持って行けないから連絡先は交換できなかった。

メモか何かにかいて渡したら良かったと後悔した。

夏休み中ずっと優也の事を考えて過ごしていた気がする。

そんな夏休みももう終わろうとしていた。

やっと夏休みが終わって優也に会える!

それが嬉しくていつもより早く家を出た。

もしかしたらいつもの場所で会えるかもしれない

そんな期待をしていつもの場所に行った。

「優也!」約束はしていないけど優也がいた。

「沙希!久しぶりだね。夏休み会えなくてごめんね」

「ううん。いいの!今日いてくれたから!会えて嬉しい!」

「僕もだよ。来てくれてありがとう」

そう言って優也は抱きしめてくれた。

それだけで凄く安心したし会えなかった寂しさが和らぐようだった。


そろそろ夏も終わろうとしている。

優也があまり来なくなった。

毎日会うことがなくなってしまった。

最近3日に1回とかしか会えない。

長い日は1週間会えなかったりする。

優也が来ないだけですごく寂しい。

心にぽっかり穴が空いたようだった。

来なくなる時間が長くなっていった。

前の生活に戻っただけ。優也がいない時の生活に戻っただけ。

そう思ったけど悲しさは紛れなかった。

優也も日に日に透けていっている気がする。

人だから透ける事なんてないだろうから気のせいだと思うけど。

私は我慢できなくなって優也を問い詰めてしまった。

「なんで最近来ないの?浮気してるの?私は優也のこと大好きだし優也以外考えられない。前のように毎日来てよ。寂しいよ」

優也は凄く悲しそうな顔をした。

なんでそんな悲しそうな顔してるの?悲しいのはこっちだよ。

「ごめんね」

優也はその一言以外何も言わなくて余計にイライラしちゃってもっと攻めてしまった。

「そんな一言だけじゃわからないよ!浮気してるの?私の事なんてもう嫌い?こんなに大好きなのは私だけ?」

「ごめん」

優也はそう言って私を抱きしめようとしたけど、優也の手が私の体を貫通して優也の温もりも感じられなかった。

なんで??

なんで貫通するの??

「ね、優也…どういう、こと…??」

私は訳が分からず泣いてしまった。

「本当にごめん…」

「ね、それじゃ分からないよ!ちゃんと話してよ!なんで貫通してるの?なんで少し透けてるの?なんで私温もりを感じないの?ねえ、なんで?」

私は勢いのまま色々聞いてしまった。

「僕は、、この世にいてはいけない存在なんだ……」

「どう、いう、こと…?」

私はそれを聞くのだけに精一杯だった。

「黙っててごめんね。俺は5年前にここで死んだんだ。だから名簿に名前もないしクラスとかも言えてなかった。教室にこられたらバレるから。夏休みに会えないのもここから僕は出られないから。連絡先も教えなかったのはケータイを持ってないから。だけど、沙希にはどんどん惹かれていっていて、黙ってた。気づくのも遅かった。もうすぐ夏休みという時に気づいたんだ。だから、告白をしてくれて嬉しかった。本当は僕から告白したかった。だけど、出来なかった。最近来れてないのはなかなか姿を表せられなかったから。僕にはもう、時間がないんだって思った。今日が最後になるかもしれないっていつもビクビクしてた。沙希と会えなくなるのは辛いから。本当は毎日ここに来てた。だけど、姿を表せられなかった。僕にはもう……時間が……」

「優也!待って!まだいかないで!」

優也がどんどん透けていく。どんどん見えなくなる。

「さき、ありが、とう。今、まで…だい……好き……」

「待ってよ!優也!ねぇ!優也!私も!私も、大好き!!優也のこと、忘れない!」

「うん」

優也はそう言ってこの場所を去った。


それから3年生になったけど優也に会えていない。

友達もできたけど、お昼はいつもの場所で食べている。

いつもお昼に1人で抜けるから友達がついてきた。

「さーちゃんこんな所でお昼食べてたんだ!いいねこの場所。私達も入れて!」

そう言っていつの間にか毎日いつもの場所で友達と食べていて賑やかになった。


優也は私に友達と言う贈り物を残してくれたのかもしれない。


優也、ありがとう。幸せだったよ。

私は心の中で優也にお礼を言った。

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