いますぐここに流れ星
祈るという行為の残酷さに、大人になってから漸く私は気付いた。
一人で来る夜の海は昼とはうって変わって黒く禍々しく、ここが何度も訪れた優しい思い出の場所とは到底思えない。対岸には人口の明りがまばらに涙のように小さく煌めいた。
昔、私の大切な人は度々ここに足を運んだ。真夜中、一緒に流星群を見に来たこともあるが、轟く潮に今みたいな不気味さを感じはしなかった。どこか温かく幸せに満ちた夜気は貴方のおかげ。知ってて失くしてしまった。
あの過去の日、私は尾を引く星に無邪気に願った。「ずっと一緒にいられますように」と。それが彼を傷つけるなんて微塵も思わず。
あの人は知っていたのだ。私の、遠い頭上の流れ星を通してすぐ真横の人に押し付けた祈りが不可能だと。視線を空に盗み見た曖昧なほほ笑みは、永遠の別れを確信してのものだった。
ずっと辛かったはずだ。叶えられるのは自分しかいない祈りを抱えるだけで捨てられないでいたのは。無自覚の内に追い詰めてしまった。
だから、今日は罪滅ぼしに来た。あの星に、次は君のありったけの幸せを祈るから、どうか許して。
涙が一筋、流れ星のように一瞬輝き消えた。
新聞部と我が文芸部がコラボして、作品の提供を依頼されました。
あみだくじで掲載順を決め、まさかの私がトップバッター。
文字数の制限が厳しいため、かなりとっちらかった文になりました。
ごめんよ新聞部。