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私を生贄にしようとするサイコパスたちを、隠れた魔法の才能で見返します  作者: 山田露子 ☆ヴェール小説4巻発売中!
3.結婚しよう

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うふ、可愛い♡


「オーブリー、一旦僕の膝から下りてくれる? 姿は見えないんだが、クソ鳥がずっと怒鳴っていて――」


 話し始めたナイト辺境伯が言葉を途中で途切れさせ、たまらずといった様子で人差し指を両耳の穴に突っ込んだ。……彼の表情筋は、時間がたつごとにどんどん死んでいっている。


「どうしたの?」


「畜生、このクソ鳥――」


「アヴィスが何?」


 アヴィスはホバリングをやめ、今は芝生の上に着地している。


 オーブリーが眺めおろすと、青い小鳥がつぶらな瞳で小首を傾げて見上げてきた。頬っぺたのあたりが少しピンクになっていて、ものすごく愛らしい。


「……うふ、可愛い♡」


「どこがだ、目を覚ませ」


「あなた、嘘を言っていない? 私がアヴィスの声を聞き取ることができないからって、まるでこの子がひどい悪態をついているみたいに言って」


「あのな、オーブリー、このクソ鳥はあろうことに僕の――……ぐぁ、気が狂わんばかりにうるせー‼」


 ナイト辺境伯が本当にしんどそうなので、オーブリーは四つん這いでハイハイするように彼の膝から下り、すぐ近くで正座した。そして、


「――おいで」


 アヴィスを呼んで膝に乗せる。


「……あー、まじで助かった」ぐったりと肩を落とすナイト辺境伯。「オーブリー、抱っこしてほしければ、またあとでしてあげるよ」


「はぁ?」


 途端にオーブリーの顔が真っ赤になる。キッ、と鋭い目で彼を見据え、


「べ、別に抱っこしてほしくないから! さっきまでのあれは、あなたが『猫さんみたいに甘えろ』って面倒なことを言うから、仕方なく――」


「またまたぁ」


「またまたぁ、って何!」


「だって君、なかなか僕の膝から下りたがらなかったよね。この、あ・ま・え・ん・ぼ・さん」


「違うもん! あなたが私の腰をしっかり押さえていたから、動けなかっただけだもん!」


 ギュッと両拳をグーに握り、必死で言い訳するオーブリー。


「いーや、君は自分からギュウギュウ抱き着いてきた」


「そ、それは、ムカデモドキが怖かっただけで――」


「――つーか君、意外と着痩せするタイプだよね」


 ……え?


 オーブリーはキョトンとし、一拍置いて意味を理解し、ボボボ……とさらに顔を赤くした。頬だけでなく、おでこも鼻も、耳も、首も、指先まで全部赤い。


 オーブリーはキュッと目をつむり、身を乗り出して、半泣きでポカポカ彼の膝を叩く。


「馬鹿馬鹿、エッチ、なんでそんなこと言うのよぉ! もうやだー‼ もうお嫁に行けないー‼」


 わーん、と取り乱すオーブリーを眺め、ナイト辺境伯は呆気に取られた。


「おっと……これはちょっとキュンとするなぁ……素でこんなにあざとい仕草を繰り出せるオーブリーさん、ヤバイ」


「何がヤバイのよ、失礼ねぇ!」


「褒めているんだよー」


「馬鹿ー‼」


 という具合にイチャイチャしていたら、またブルーバードがブチキレ始めたので、ナイト辺境伯は「ぐあ!」と声を上げて耳を押さえた。


「お、オーブリー‼」


 ナイト辺境伯がフラフラしながらSOSを求める。


「た、頼む……このクソ鳥に、僕は生贄の件を知らなかったと説明してくれ……!」


「え?」


「このクソ鳥はその件でキレて――……くっ、腹立つぅ……! そんなに言うなら服を脱いで実際に見せたろうか、このガキ」


「な、なんかよく分からないけれど、ちょっと待って」


 ナイト辺境伯が頭を抱えて悶絶し始めたので(……アヴィス、何を言ったの……?)、オーブリーは膝に乗せた可愛い小鳥に話しかけた。


「あのね? アヴィス」


 するとアヴィスがまたつぶらな瞳でこちらを見上げてきた。羽や毛は鮮やかなブルーなんだけれど、頬っぺたのところだけピンクなの。


「……うふ、可愛い♡」


「絶対可愛くねぇ! つーかこのくだり何度やるんだ! いいから早くそのクソ鳥に説明してくれないか!」


 ナイト辺境伯がちょっと怖いので、オーブリーはアヴィスに説明を始めた。



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