第20話 勇者パーティのゲーム
「さて、このままじゃ埒が明かないからこれで勝負を付けましょう」
海から戻り、砂浜に集まった勇者パーティ。
エリスがどこから取り出したのか、ボールを人差し指に乗せて、くるくると回していた。
どうやら、先程俺の顔面に当たったのはあれらしい。
「良いでしょう」
「望むところだよ」
「構わない」
「ルールは簡単!」
エリスがルール説明をしてくれるみたいだ。
「円になり、このボールを蹴って誰かにパスをする。この時、転がったり、地面にバウンドさせたりしたらアウトよ。あくまでノーバンでパスしないとダメだからね。取れないキラーパスや手を使ってもアウト。ただし、明らかに取れるのにわざと取らないというのはパスを受けた側がアウト。審判はリッタにやってもらう」
「あいあい」
勝手に審判に任命されたが、美少女達の争いに入るより見ている方がずっと良いのでなんの文句もない。
「負けた人から抜けていくバトルロワイヤルシステムを採用するわ。最後まで残った勝者はリッタとデートで良いかしら」
「負けません」
「絶対勝つ」
ルナとローラが気合いを入れる中、フレデリカがエリスを見つめる。
「じゃ、行くわよ。リッタ合図をお願い」
「はーい。スタート」
俺の合図と共にエリスからのスタートでボールがルナに渡る。
「っと。えいっ」
軽く蹴り返してローラにパスをする。
「お、ルナちゃん上手だね」
「昔、こういう遊びをしてたましたから」
「へぇ。っと」
ローラはその場で、右足、左足と交互に使ってボールをキープしている。
「そういうローラさんもかなりお上手ですね」
「えへへ。ありがとう」
いつパスを出すかタイミングを見計らっている時、フレデリカがニヤリと笑いながらエリスを見た。
「エリスはリッタとデートしたいの?」
「は?」
「ほい」
ローラは狙ったかのようにフレデリカにパスをする。
「だって、勝った人がリッタとデートって提案したから……ら」
フレデリカがそのままエリスにパスをすると。
「ち、ちがっ。ちが、わよ!」
動揺しているエリスは、フレデリカのパスを落としてしまう。
「あ……」
エリス。アウト。
「1人消えた」
策士フレデリカ。しょぼ口撃で仕切りのエリスを落としたのであった。
「いや、エリスさん。今更過ぎますよ」
「そうだよ。バレバレなのになにを動揺してんだが」
「ううう……ふんっ!」
勝負に負けた涙か。それとも自分の思いがバレている涙か。それとも両方か。
18歳にしては幼過ぎる涙の理由である。
「では、罰ゲームですね」
「は?」
ルナの提案にエリスが焦った声を出す。
「なによそれ! そんなの聞いてないわよ!」
「勝手にルールを作った人がなにを喚いておいでですか」
「そうだそうだ。負けたら罰ゲームアリだろう」
「同意」
「ふんっ! 人間ってなんて醜いのでしょうね! いいわっ! 甘んじて受け入れてあげる! 脱ぐの!? 脱げば良いの!? 好きな人の前で羞恥を晒せば良いの!? でもね! これだけは覚えておきなさい! 好きな人の前で恥ずかしがられてもわたしの心はリッタだけなんだからね!」
ビシィ! と言ってのけると、ジト目娘3人がエリスを見た。
「ナチュラルに告白してますね」
「ナチュラルな告白だね」
「ナチュラルな告白」
「あ……」
その指摘で冷静になったエリスは顔を蒸発させた。
「罰ゲームは尻文字にしましょう」
「はあ!?」
軽い感じでルナが言ってのけるとローラが軽く乗る。
「そだね。尻文字でいいや」
「それで」
フレデリカも適当に答えると「なんでよ!」と1人必死のエリスの声が浜辺に響く。
「とりあえず尻文字でリッタ様に言いたいこと言ってください」
「それでいいや」
「うん」
「なんか適当じゃない!?」
エリスの哀愁に満ちた声を出す。
「はいはい」
「早く早く」
「時間押してる」
「くっ……。オーク以下の下衆め……」
非難しながらも、どこかノリノリのエリスは俺の前で尻を向けた。
そして、恥じらいながらも尻を、クリクリと動かす。
その文字は明らかに『好き』だった。
「あ、わたし……尻文字なら素直になれる……。リッタ……わたし……」
「エリス……」
キュンと、どこか、キラキラのエフェクトが入った。
側から見れば胸キュンなシーンなのだが。
「ぶっ!」
顔面にボールがめり込み、一気にコミカルなシーンになった。
「させません! させませんよ! 尻文字如きで良い雰囲気にさせまんよ!」
「なにが『尻文字なら素直になれる』だよ! 胸がないからケツってか!? 浅はかだよ!」
「残念ながらリッタはロリ派」
顔面にボールを受けて気絶するエリスに容赦ない勇者パーティさん、マジ鬼畜だわ。




