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裂かれたものは

二章も楽しんでいただければ幸いです。








 キラキラと、目の前で真珠が光を反射している。


 


 どうしてこんなに私の結婚式はスムーズに行かないの……。


 純白のドレスに飾られた真珠が弾け飛んだ瞬間、脳裏をよぎったのはここにはいないレオンの柔らかな夜空の瞳。


「貴方……今から結婚式だというのに……」


 そう澄んだ声で、私に言う彼女は女神かと思う程の美しい女性。

 月の光を依ったかのような銀髪に、紫水晶を思わせる澄んだ瞳は驚きで大きく見開かれていた。

 そこに立っているだけで、神々しさが滲み出ている。



 彼女のような人がレオンの隣にはふさわしい。

 私のようにドレスを着たまま、剣を振り回し、ウェディングドレスを泥と血で汚すような女ではない。

 腿あたりから裂けたドレスなど着るような事もしない。


「貴方のような女性は……レオン様には相応しくないわ」


 その女性がポツリと言った。



「――そんなこと、私が一番分かっていますよ。皇女殿下」



 そう言って、目の前の敵に剣を向けた。 


 

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