49/72
裂かれたものは
二章も楽しんでいただければ幸いです。
キラキラと、目の前で真珠が光を反射している。
どうしてこんなに私の結婚式はスムーズに行かないの……。
純白のドレスに飾られた真珠が弾け飛んだ瞬間、脳裏をよぎったのはここにはいないレオンの柔らかな夜空の瞳。
「貴方……今から結婚式だというのに……」
そう澄んだ声で、私に言う彼女は女神かと思う程の美しい女性。
月の光を依ったかのような銀髪に、紫水晶を思わせる澄んだ瞳は驚きで大きく見開かれていた。
そこに立っているだけで、神々しさが滲み出ている。
彼女のような人がレオンの隣にはふさわしい。
私のようにドレスを着たまま、剣を振り回し、ウェディングドレスを泥と血で汚すような女ではない。
腿あたりから裂けたドレスなど着るような事もしない。
「貴方のような女性は……レオン様には相応しくないわ」
その女性がポツリと言った。
「――そんなこと、私が一番分かっていますよ。皇女殿下」
そう言って、目の前の敵に剣を向けた。




