桜の木の下でまた会いたいね
もう1人の私は思い出していた。
私のことが好きな後輩に頼んだ。
『彼氏を殺してしまった。助けて欲しい。』
『いいすよ、先輩。でも、自分のものになってもらいたいす。』
『・・・わかったわ。』
それから。
もう1人の私と後輩は彼氏の肉を剥いだ。
『ねえ、先輩?人肉って生で食えるんですかね?』
肉を剥ぎながら後輩は、彼氏を食べた。
『人を食っている獣ってこんな感じなんだー。』
後輩は口元を血まみれにしながら、咀嚼する。
『美味しい?』
『美味いすよ?食べます?』
『生肉はあんまり好みじゃないのよ。』
私は彼の頭髪を抜いていく。
『頭髪なんて抜かないで焼けばいいじゃないですか。』
『いやよ。』
一本一本丁寧に抜く。
『変な人すね。』
私は私を俯瞰して見ている。
彼氏は肉片になった。
『ここなら大丈夫すよ。』
『樹齢150年の桜の木の下なら大丈夫ね。』
区画整理もしづらいだろう。
私は骨を丁寧に埋めていく。
『先輩、これで自分ら犯罪者ですね。』
『そうね。。』
俯瞰していた私は寂しかった。
彼にもう会えない。
死体でも良かった。
彼氏とはずっと一緒が良かった。
だからね。
私は私を封印してまた彼氏に会いに行きたかった。
後輩との情事はもう1人の私に任せることにした。
彼氏の白骨死体が見つかる前日。
私は桜の木の下にいた。
『ごめんなさい、あなたを1人にしてしまって・・・・。』
私は深夜に彼を掘り返していた。
『私はずっとずっと思っていたの。』
頭蓋骨を抱きしめる。
『桜の木の下でまた会いたいねって。』
残していた頭髪を添える。
『ほら、これで髪の毛が生えたわ。』
頭蓋骨を撫でる。
『大丈夫。あなたの体は、、私の胃の中に入り、消化されて私のものになってるから。』
お腹をさする。
『まだ残ってるわね。お肉。』
骨を埋めて立ち上がる。
『また桜の木の下で、、、会いたいね。』
彼とはこれっきり。
今頃焼かれて、骨壺に入ってるだろう。
告別式にも出た。
彼の家族ともご挨拶して、お墓の場所も特定した。
だから。
また埋めてあげる。
私と彼が会うのは、、あの桜の木の下だから。