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量産型自己

作者: 乾燥人生


突然ですが自分を解き明かしてくれるような

そんな自己啓発本は好きですか?

ダメな自分を見つめ直し新しいスッキリとした負のない自分に生まれ変わるための方法を提示してくれる本。

生まれ変わった先に何があるのか楽しみにさせてくれる本。

まるで自分のことを全て分かっているかのように語りかけてくる本。

自己とは何なのか、人類が長い年月をかけても明確な答えを導き出すことが出来ていないこの哲学をいとも簡単に解き明かした名著。

素敵な本ですよね。

そんな自分を甘やかしてくれる自己啓発本は好きですか?

僕は大嫌いです。反吐が出るほど。

かと言って僕自身が自分に厳しいかと言われると全くそんな事はなく、どこまでも怠惰で責任感の欠如した救いようのない愚物です。

いつまでも寝ていたいし大好きなギャンブルをしていたいしもちろん働きたくは無い。

つまりダメ人間です。

しかしそれでも自己啓発本は吐くほどに嫌いです。

何故か?答えは簡単です。

「お前俺の何?」

という感情が頭からつま先までの血流を波乗りして駆け巡るから。

「自己とは本来唯一無二のもの」なんて臭い当たり前のフレーズを書いて薄っぺらい金を得ているのにも関わらず、肝心の書内では全くの他人で声も顔すらも知らないどこぞのタンパク質が誇ったような顔で「自己を確立するためのポイント!」などというふざけた見出しを立てている。

確かにその方法で実際に自己を確立することができる人もいると思います。

そりゃそうですよ、人口が1億人以上も居れば当たります。

僕だってメイウェザーのストレートを1億回も受ければ1回や10回、もしかしたら100回くらいはまぐれで避けれます。

そんな確率のことを彼らは平気な顔をしてまるで誰しもがその方法で当てはまるように宣う。

その方法で自己を確立するように誘導する。

他人に確立される自己とは?自分を高めようとしているにも関わらず自分に頼ることなく他人の差し伸べた汚い札まみれの手に縋るその心理は?

言い返す人は口を揃えて言うだろう。

「そんなこと言ったってどうしていいか分からない」

「やり方さえ分かれば」

まずこの時点で啓発される自己もクソも無いのでお土にお還りください。

悔しくないですか、今までのあなたの人生が薄っぺらい本一冊で塗り替えられるの。

僕が読んだ某早口メンタリストの自己啓発本は姿勢を正せば色々上手くいくというニュアンスのことを書いてました。

まあ、ある程度の事はうまくいくんでしょうね。

例えば集中力が上がったり健康になったり。

でもそれだけです。

結果的に根本の部分の解決には絶対に繋がりません。怠惰な人間はどこまでも怠惰ですし、怠惰な人間の皮を被っただけの人間は本一冊で元の姿に戻る。

これに尽きます。

姿勢が正しい健康体の怠惰なタンパク質Aと厚着をやめたタンパク質Bが量産されるだけの世の中の完成。

自分を見つめ直す方法なんて簡単です。

何が嫌いで何が好きか、何がしたくて何をしたくないか。それを自分に聞いて紙にでも書き出すだけ。

そんなことすら思い付かずに他人に頼る人にとっての自己って何でしょうか?

その自己を守るために身体中に張り巡らせた厚いスカスカの骨?

枠組みの上から塗りたくった肌色の粘土?

服?アクセサリー?時計?スマホ?

僕の解釈ですけど半分正解で半分不正解。

自己は脳であり心であり身体です。

つまりあなたという人間です。

今までのあなたの生活が今のあなたを作っていることくらいは多分分かるんだろうと思います。

あなたが今までやってきた中であまり苦じゃなかった事、本当に嫌だったことくらいは覚えていると思います。

僕の場合だと嫌だった事は労働と薄く広がる人間関係。

なので22歳の1年間僕はほぼニートで好きなパチンコを打ちながら数人の仲の良い友人と遊んで生きていました。

ただし好きなことを続けるためには犠牲が要ります。僕の場合は時間と食事とお金。

それが何に変わるかはその人次第。

それを犠牲にしても続けたいと思えることが好きなことです。

逆に苦じゃなかった事は文を書く事。

だから今こうして書いています。

これも嫌なことを避けて生きていた結果たまたま見つかっただけです。

別段文を書いていた訳でもないし馬鹿みたいに本を読み耽っていた訳でもない。

でも嫌なことを避け続けた結果、最終的に僕に残ったのが「文を書く」という自己でした。

見つけ方なんてこんなもんでいいんですわ。

たまたま何かの途中で「あっ、これもしかして俺のしたい事?」ってなれば100点ですし間違いでも100点です。別にそれが空を眺めながらボーッとする、なんてことでもいいんです。

まず自己なんて無理に見つける必要がない。

自己を大切に!という風潮の世の中で何を言っているんだこいつは?ってなるかも知れませんが、別に自己を理解したところで何か変化があったかと言われると自分自身に諦めがつくだけです。

自己なんて見つからない方が頑張れます。

諦めずに理想の自分になろうとするから。

自分を騙すために必死になろうとするから。

自己理解は前進と同時に諦めであるという事実から目を背け続ける人は多分ですけど一生自己理解は出来ないんだと思います。

結局僕も自己理解は出来ていないんだと思いますし一生出来ないとも思います。

したい事は毎日変わるししたくない事も毎日変わる。アレやっていれば良かったと思えるものに死の淵で出会えて初めて自己理解の完了なんだと思います。

長々と綴りましたが結局のところ何が言いたいかと言うと

他人に流されるのも自由ですし僕みたいに捻くれた考え方をするのも自由、勝手に好きに生きたらいいんじゃない?

ってことです。

以上、僕の考え方に共感する

「1/1億」の方へ向けた自己啓発本でした。

何かの間違いで啓発された方、お疲れ様でしたこんな俺でも書けてしまうクソみたいなジャンルに分類されている自己啓発本でも読んで自分見つめ直してください。







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