episode3~エキストラ~
とある日の事だった。映画監督の男性はスタッフの一人と話をしていた。
どうやら監督はご立腹なようだ。
監督「どうするんだよ」
スタッフ「いや、それを言われても」
監督「エキストラが、彼女とデートで来れないって聞いたことあるか?」
スタッフ「ないです」
映画にとってエキストラはある意味重要な出演者だ。
それも今回の撮影は、エキストラはたったの2人で、脇役に相応しいと言っても過言ではない状況だ。
そんな中、2人とも都合で来れなくなり、困っていたところだった。
監督「なんとか代わりはいないのか?」
スタッフ「どうしましょう」
監督「あっそうだ。スタジオの外で偶然歩いている人連れてこい」
スタッフ「大丈夫ですか?」
監督「ギャラは出すから。早く行け」
スタッフは急いでスタジオの外を出る。
しばらくすると、スタッフが2人組の男女を連れてきた。
スタッフ「監督。連れてきました」
監督「よしよくやった」
すると男性が監督に
男性「あの、本当に10万円渡してくれるんですよね?」
監督「は?」
男性「あのスタッフさんが出すって」
監督がスタッフに近づき、持っているメガホンを叩く。
監督「何でそんなこと言ったんだよ」
スタッフが小言で
スタッフ「だって、そんなこと言わないと来てくれないんですよ」
監督「日本はそんな国になったの?」
スタッフ「とりあえず始めましょう」
監督が頷き、男女のところに戻る。
監督「それでは、主役の刑事に男性のあなたが、報告書ですと言って紙を渡す。女性のあなたもお茶ですと言って、湯飲みを渡す。それでいいかな?」
男女「はい。大丈夫です」
監督が周りに
監督「それじゃ始めるよ」
スタンバイが終わり、どうやら刑事課のセットみたいで、奥の真ん中の机に男性主役が座っている。
監督が椅子に座り
監督「よーい、アクション」
主役「一体犯人は誰なんだ」
男性が主役に近づき、笑顔で
男性「おい、何悩んでるんだよ。報告書。書けたぞ」
監督「カット!」
監督が立ち上がり、男性の頭をメガホンで叩く。
監督「何してるんだよ」
男性が困り果てた顔をして
男性「いや、先輩って設定作ろうかなって思って」
監督「何でだよ。てか言っとくけど上司だからな。報告書ですだけで良いって言ったじゃない」
男性「あぁそういうことね。わかったよ」
男性が監督の肩を叩くと、メガホンで叩き返す。
男性が申し訳ない顔をして
男性「すいません」
監督が怒りながら自分の椅子に戻り、スタッフの頭をメガホンで叩く。
スタッフ「何するんですか?」
監督「どんなの連れてきたんだよ」
スタッフ「そんなの言われても」
監督「よし始めるよ。よーいはい」
主役「一体犯人は誰なんだ」
男性が主役に近づき
男性「部長。報告書です」
主役「あっありがとう」
すると女性が主役に近づき
女性「部長。お茶です」
湯飲みを主役に渡す。
主役「あっありがとう」
男性「おいおい。俺にはお茶はないのか?マイハニー」
女性「あとで上げるわ。マイダーリン」
男女がキスしようとするとことで
監督「カット!」
監督が立ち上がり、男女に近づき、メガホンで頭を叩く。
監督「何してるの?」
男性「いや、カップルの設定にしようかなって」
監督「だから、先輩とかカップルとかそういう設定いらないの」
女性「じゃあ幼馴染は?」
監督は呆れながら
監督「頼むから、何もしないで。言われた通りにやってくれ」
男女「はーい」
すると男性が監督に近づき
男性「そんな顔しちゃ、ダメ―ベーダ」
すると監督が男性にビンタする。
男性は少し泣きそうな顔になり
男性「すいません」
監督が椅子に戻り
監督「いきまーす。よーいはい」
主役「一体犯人は誰なんだ」
すると男性が主役に近づき
男性「部長。報告書です」
主役「すまない。ありがとう」
すると湯飲みを持った女性が近づき、
女性「熱い。熱いわ!」
と熱々のお茶を主役にかける。
熱がっている主役に、男性が水消火器を主役にかけ始める。
監督「お前ら、何やってるんだ!」
監督が近づくと、男性が監督にまで水をかける。
監督「お前ら、クビだー!」」
~終~