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彩王主00 語り継がれるもの
「ねぇクラン、クランの王さまのお話がききたい!」
「王の話ですか?分かりました。でもこれを聞いたら大人しく寝るんですよ」
「うん!ぼく、ちゃんとねるよ」
「いい子ですね。では始めましょうか」
――この世界には色という精霊がいます。火に、水に、大地に、自然の中のありとあらゆる場所に存在し、この世界を保っています。色は己に定められた属性でもってこの世界の秩序を守っているのです。翡翠は風を、紫は天候を司るように。
その我ら色を束ね、君臨するのが彩王と呼ばれる3人の王なのです。遥か古から存在し、万物に通じる彩王。
「私もまだ直接お会いした事はありません。ですが、感じることはできます。王の存在はあまりにも大きい」
「そばにいないのにわかるの?」
「ええ。王は世界そのものですから。さて、そろそろお休みにしましょう。明日は朔の、月の出ない夜になるので決して家の外には出ないようにしてくださいね。何かあっても私は助けることができませんから」
「うん。大丈夫だよ!父さんも母さんもいっしょにおうちの中にいる」
「愛しています、イェンフェン。我が主。良い夢を」