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第14話:飛び入りオーディション

☆前回のあらすじ

自身の卒業式当日の放課後に、思い切って告白した彗太は、危うく結花と喧嘩になりそうな所を、共通の友人である夏妃が間に入り、事なきを得る。

しかしながら、結花と夏妃達は居酒屋で打ち上げをし、気分はそれなりに落ち着いたものの、彗太の方はと言えば、1人考え込むのだった。


メインストーリー、黒木彗太の視点になります。


が、最初の半分は、彗太と倍以上歳が離れた友人である、佐伯道正さえきみちまさの話からになります。


小説自体の設定に関しては。

https://ncode.syosetu.com/n8129gb/


をご参照ください。

※先行ネタバレがあるので見る際はご注意を。

 某日、東京のとあるスタジオにて。

「レッドウィングス所属の塚森です! 宜しくお願いします!」

 漫画原作で昨年アニメの放映がされ、更に人気に火が付いた「一球入魂」のドラマでの配役のオーディションが開催されていた。

「分かりました。では、投球の演技をしてください」

 審査をする人間の1人であるドラマの監督は、低い声で指示を促す。

 すると、審査側で用意していた相手役は座り、配役のオーディションを受けに来た俳優は、振りかぶって投球を開始するのだった。


 *********


 こいつで現在17人目。正直言って見るのでさえ飽きて来た。

「どうですかねこの子は、なかなか様になっていると思うのですが」

「んーどうだろうなぁ…。コイツは本当に野球経験者なのか? 俺から見ると完全に素人にしか見えんのだが」

 主人公が甲子園に行く上で、最大の障害となる高校に所属している主将役を決めるオーディション。かれこれ、もう1時間半も同じような審査を続け、先程一旦休憩を取り休憩後再開して早10分ちょっと。審査は難航している。

 ”そうですねー。登場後も、主人公とは日常でもかなり関わる役なので。存在感の出る人を探して欲しいですね”

 脚本を受け取る時に、要望は何かあるかと聞いたのが運の尽き。分かる様で分かり辛い注文が入る。

 本業は小説家で今回の為に脚本を書いているせいか、要望が曖昧な割に現場の事を度外視して分かり辛い要求をしてきやがる。

 今回のドラマでは、演出も含めて監修を基本的に全部俺が手掛けているから、俺自身の仕事ぶりでこのドラマの出来は評価されると言っても過言ではないのだが。

 これまでで、既に決まっている主役を含めた配役の殆どは、俺が決めたんじゃなく俺が関与しない所で、俳優の売り出しとかそっちの大人の事情ってやつで持ってきた、俺から言わせればただのお遊びの配役が殆どだ。

 このままだと、見た目だけ格好良い奴ばっかりをキャストに手掛けているだけの状態で、ドラマがただのアイドルの鑑賞劇になってしまう。

 これには流石に、今俺の横に居る監督のこいつも遂には怒りだし。

 ”配役に関しては会社の事情があると思うので、余り口をはさみたくないんですが。せめて1人ぐらいは僕にも配役を決めさせてくださいよ”

 なんて言いだした。

(いやーほんと良く言ったこいつ。ドラマの監督を任せられてまだ日が浅いから、このまま知らんぷりするかと思って落胆してたのだが、それは大きな誤算だった)

 そうとなったら俺もこいつに手を貸す以外の選択肢はない。

 そんな所で、最後の配役決めに少し難航していて、俺にも選出の出番が回って来たという感じだ。

 ”なぁ、監督さん。やっぱ映像を加工して誤魔化すとかは無しの方が良くないか?”

 やる気のある奴とは、とことん意見を出し合って仕事をしたい。だから、ここぞとばかりに俺も監督に意見を出す。

 ”監督の僕としても、そうしたいのは山々なんですが…。迫力の出る映像を取るのを素人の配役で出来ます? 脚本からの要望で、画面外に思いっきり投げて、また画面外から遠くでキャッチとかぐらいならまだ良いですが。出来るだけ動きのある映像で製作をしてくれと希望されています。過去に一度映像の加工無しで製作したドラマがあるんですが、その時に大失敗したそうで。現状はCGに頼るしかないかという製作陣の総意ですね。それこそプロ選手並の俳優なら、加工を無しでも可能かもしれないですが…。何でしたら昨年まで現役だった佐伯さんが主演でもやりますか?”

 ”は? 馬鹿野郎! 高校生主体の原作で、どうやって俺が高校生の役をやるんだよ…。もう40歳過ぎてんだぞ”

 ”冗談ですよ、あはははは”

 ”取り敢えず、野球経験者主体でオーディションな。そこだけは俺絶対譲らねえよ”

 てな感じで、年齢がそれ相応かつスポーツがある程度出来るのを前提として、俺が選考をする事になったのだが…。

「そりゃあ佐伯さんと比べると、これぐらいの年齢の子なら皆そう見えると思いますよ。それこそ強豪校の高校生とかなら別でしょうけど」

 誰1人として真面な奴が居ない。ここまで当てが外れるとは思ってもみなかった。

 …あ、そういえば。

「なぁ、あいつ。えっと、黒木。アイツはオーディションに何で居ないんだ?」

「黒木? えっと…。あぁ、黒木彗太ですか」

「そうそう、そいつだ」

 俺がこの仕事を初めてした時に、紹介された俳優だ。あいつには本当に世話になった。

 今の俺が、新参者ながら一定の評価を受けてこの仕事を続けていられているのも、あいつを選出出来た功績の影響がデカい。

「一年程前まで、昼ドラで子役として出てましたね。あの子はなかなかだったなぁ。確かレッドウィングスの所属ではあった筈ですが…。ちょっと! そこの君! マネージャーの人ちょっと来て!」

 監督の遥か後方に居た、スーツを来たマネージャーは、沢山の資料を片手に此方へ歩み寄ってくる。

「君さ、今の僕らの話の流れ聞いてたよね? 黒木彗太君って今どうしているか分かる?」

「黒木ですか…。ちょっとお待ちください。…あった、ありました。えーと、今現在も北海道支部の所属ですね」

「今現在も? あんたが俺に最初に紹介してくれた時、北海道に居たが、あの一件でてっきり北海道からそのままずっと東京に居るものだとばかり思っていたんだが」

 俺が選出して東京に来て貰ってからは、ほぼ5年間ずっと東京で昼ドラの撮影をしていた。

 あいつはあまり自分自身の事は話さなかったから、毎回東京で撮影をしていたから、そのまま東京に引っ越しでもしたんだと、勝手に思っていたんたが。

「ええ、私が所属先の所長にお願いして、東京の所属に移って頂く様お願いしたのですが、本人の強い要望で、東京で撮影をするのは大丈夫ですが、家庭の都合で所属を離れるのは無理だと言われまして。必要時に此方の現場に来て貰った形です。ですので、昨年の契約の終わりと同時に、此方へ来て頂く事は無くなりましたが、元々北海道の所属と言うのは変わらずですから。まあ、そのままそういう事になりますね」

「マジかー。そう言えば撮影をする時、やたらとあいつの出演場面だけ纏めて一気にやってるなーってずっと思ってたんだよなぁ」

「何でしたら、今から連絡を取って此方から呼びましょうか?」

「いやいい。じゃー、非常に申し訳ないんだが…。今日のこのオーディションはもう無かったって事で」

「え? ちょ、ちょっと佐伯さん! まだ審査も受けていない俳優が向こうに沢山居るんですけど」

 そして俺は、マネージャーが指差す若い俳優たちを眺めると。

「んー…あいつらだろ? 遠目から見ても服の上からでわかるんだよなぁ。全然スポーツ選手って感じの体つきじゃねえよ。普段からスタイルを維持する程度のトレーニングしかしてないだろ。そんな奴を選びたいんじゃないんだよ。じゃあな」

 俺は言葉で一蹴して、急いでこの地を離れる為、その場を去るのだった。

「え? ちょ、ちょっと! 佐伯さん! ちょっと…監督からも何か言ってくださいよ…」

「んー、僕は彼の目利きを信じるよ。あの目はアスリートの目さ。君だって黒木君を勧めた時、そこまでの原石だったなんて、きっと当時は思ってなかったんだろ?」


 *********


「くしゅっ…誰か俺の噂でもしてんのかな。まあ、そんなことより…。色々やっちゃたよなぁ…今日の俺」

 俺は思わず、二階の自室のベッドで仰向けに寝そべりながら、独り言をこぼす。

 返事を待っている間、せわしなくそわそわしていた結さんを見て思わず、

 ”今の話は一旦無かった事にして貰って良いですか?”

 なんて言ってしまったけど。冷静に思い返してみるとあれはない。

 自分のした発言をまた思い出し、両手で顔を隠しながらまた悶えてしまう。

(穴があったら入りたいとは、きっとこういう時の事を言うんだろうな…)

 あれだけ悩んでいた人に対して失礼過ぎるっていうのもあるけど、自分が言われた身になってちょっと考えたらすぐわかる事なのに。

 何でそれだけの事をしてしまったかと言えば。

「あの様子を見たら流石にな…」

 その一言でしか言い表せない。

 深呼吸をしたのかと思えば、目元がピクっと動き、続いて自分の側頭部を拳骨げんこつで軽く殴ってまた一呼吸。それこそ丸で頭痛が永遠と止まなくて、そのイライラを何とかしたかったからだ。

(まぁ、そうさせてしまったのは俺なんだけど)

 帰宅してからは、流れる様に自室のベッドに倒れ込んだ俺は、ずっと先程の事を繰り返し考えていた。

「うーん。なんてメールを送ろうかな。うーん…メールさえも送り辛い」

(謝るのは第一として、どう謝る? そもそも謝るぐらいなら言わないでって思ってたんだよなぁ結さんは。いや、でも。もうやってしまったんだから謝らないとだし)

 そんな事を暫く思っていると。

「お兄ちゃーん。ご飯温め終わったから降りて来なよ!」

「あー! 今行く!」

 妹から声が掛けられたから、俺は素直にご飯を食べることにした。

(空腹で考えても頭が回らないし、飯食ってから再度考えるとしよう)


 *********


「あー母さんはまだ帰宅していないのか」

「うん、残業でちょっと前に1時間後ぐらいに帰れるってメールがあったから。後30分ぐらいしたら帰宅すると思うよ」

 そう言いながら、母さんから来たメールの文面を、妹は食事中の俺の顔へ見せてくる。

 相変わらず絵文字だらけの文章が凄い。何かそこら辺の女子高生みたいな、謎の絵文字でメールの文面が暗号化されている様なのが殆どだ。とても40歳間際の人が書くようなメールには見えない。

「これ全然読めないんだけど…。円はこれ読めるのか?」

「え、読めるよ? 最初は暗号かと思ったけど、今は馴れたから全然普通に」

 人間の馴れって恐ろしい。まぁ、読めないのは別に普通…だよな。

 ていうか、俺に対してのメールは普通の文章なのに。円に対しては何故絵文字ばっかりなんだ…。

「それにしても…」

 俺はふと、テーブルに置かれている料理を眺める。

「え? どうしたのお兄ちゃん」

「いや、料理上手くなったなって」

 元々俺は、彩音あやねさんから料理を教わって、それを円に教えたっていう経緯があるんだが。

「最初の頃は、米を研ぐのでさえ研ぎ汁と一緒に米も流してたぐらいなのにな」

「それ何時の話よ…」

「アハハ」

 今でもはっきり覚えているさ。俺にとってのあの日の出来事は、今も忘れられない良い思い出だ。


 *********


 父さんが亡くなってから一年程経った、ある日の平日。桜が咲くにはまだひと月程早いが、春の陽気で非常に温かい1日だった。

 父さんの死後。母さんは友人の伝手つてで、フルタイムで働きながら弟の啓司けいじを託児所で見てくれる会社に、運よく就職が決まり。そのお陰で、俺が面倒を見るのは実質的にまどかを見るだけで済む様になった。

 最初はそれでもバタバタした生活が数カ月続いていたが、その生活にもすっかり馴れ、気が付くと俺は、中学2年生になっていた。

 そんな俺はと言えば、仕事がある日は授業が終了後急いでそのまま仕事場へ、今日の様に仕事が休みの平日は、自宅の家事全般をする為、急いで帰宅する忙しい日々を続けていた。

「仕事中にごめん母さん。今日した方が良い家事って、夕食の用意と掃除だけ? 朝出る時に何か言ってなかったっけ」

 そんなある日の帰宅間際、朝方母さんに言われていた事を思い出し、俺は急いで電話をする。

 ”家事は取り敢えずその2つをお願いね。それと別件で用事なんだけど、何時来てくれるか分からないんだけど、夕方になったら伺うって言ってたから…。…え? あ、はい。申し訳ありません。…ごめん! お母さん仕事で呼ばれちゃったから電話切るね。用事はあんた目当てだから、自宅で待っていればいいから!”

「え? ちょっ…母さん!」

 スマホ越しに電話を切られた音が鳴り響く。

(何なんだろうその用事。今、俺目当てって言ってなかったか?)

 正直話の先が良く分からなかったが、待っていれば良いと言う事で。

「まぁ…いつも通り家事でもするか」

 考えてもラチが明かない現状では、いつも通り家事をしながらただ待つしかなかったのだった。


 *********


「ねえねえ、おにーちゃん」

「ん? なんだいまどか

 電子ジャーを覗くと、保温中の白米が殆ど無くなっていた為、米を研ぐために水を入れていた時だ。

「それ、たのしい?」

「んー、楽しいか楽しくないかって言われたら。楽しい…のかな?」

 まぁ、生活をする為の行動だから、どっちでもないというのが正解。

 近頃の円は、俺が何かをしていると、やたらと真似をしようとしてくる。

 俺が忙しそうにしているから手伝いたいのか、単に自分がやってみたいだけなのか、はたまたそれとは関係ないのか、小学校に上がったばかりというぐらいな事もあり、理由を聞いても当の本人は答えてくれない以上、理由は分からない。

「じゃあわたしもやるー!」

「しょうがないなぁ…。じゃあちょっと待って」

 似たようなケースで、以前拒否して全力で泣かれた経験から、取り敢えずやらせてあげるのが一番だと知っていた俺は。

 研ごうとしてたお米から一部をボウルに移し替え、研ぎ汁を流す洗面器を床に置いて、床でやらせてあげる事にした。

「台所の上に上がってやるのはちょっと危ないから、これでも良いか?」

「うん! やりかたおせーて!」

 目を輝かせて喜ぶ姿は見ててなかなか面白い。

「あぁ、先ずはだなー」

 研ぐだけだから、流石の円でも問題なく出来るだろう。なんて思って一度やらせてみると。

「ああああああ…」

「おいおいどうした? …あぁ、なるほど」

 レクチャーしたのを真似をしようとして研いだは良いものの、研ぎ汁だけを流す時にそのままお米も、洗面器へ殆ど流してしまったのだ。

 全部流しても洗面器が一杯にならない様に、一応気を付けてたお陰で大事にはならなかった。

「…ごめんなさい」

「いや別に、大丈夫だから。流す時に水が流れる所を、ほらこうやって手で少しだけ塞いであげれば…な?」

「うん」

 何とか泣かずに済ませられたのは大きい。ちょっと前に1時間ぐらい泣き続けて駄々捏ねられた時は、もうどうしたものかと、どうにもならなかった時もあったけど。

 我ながら妹の扱いが板についてきた。なんて思いながら家事をしていると。

「あ、チャイムが鳴った。誰だろう」

 ふと自宅のチャイムが家中に響く。

「ちょっと俺は玄関に行ってくるから、そこで待っててな」

「うん!」

 俺は早歩きで玄関のドア前へ急ぎ、覗き穴で外の様子を確認をする。

「えっ、身長高くね…?」

 覗き穴越しから見える風貌から、背が非常に高いと言う事が分かり、何か何処かで見た事がある様な人だなと言う事は何となく感じるのだが、顔が半分近く陰で隠れていて、ドアから遠くに居る為かはっきりとは見えない。

「済みませんー! 身分証明書的なものはありますか!」

 今一度大きな声を出して、ドア越しの人にも聞こえる様にお腹から声を出す。

 普段はこんな確認をしないのだが、手に荷物らしきものも全く持っていないし、見た感じ殆ど手ぶらで怪しい事この上ない。

 ”お? 俺の名はさ…、いや、ちょっとまった! あー、名刺! ほらこれ、俺の名刺! 覗き穴に向けて見せるから、通報はしないでくれ!”

 通報はしないでくれとか、如何にも怪しいのだが。

「名刺がよく見えないんだけど…。 あー…分かりましたから、今開けます!」

 行動が余りにも面白過ぎたので、何かあったらその時はその時だという気持ちの方が強くなった。

 俺はそう思うと、チェーンロックを外して玄関ドアの鍵を開け、此方からドアを開ける。

 すると、そこに立っていたのは。

「おー、お前が啓吾の息子の彗太か?」

「え? まさか…佐伯さん!?」

 見た事があるも何も、昨日ニュース番組のスポーツ情報の時間帯で見たばかりだ。昨日、近くのドームで試合をしてホームランを打った人だ。

 走・攻・守全てにおいて超一流のオールラウンダー。知っているだけでもトリプルスリーを二度も受賞、小さい頃テレビで野球中継を良く見ていた時には、確かホームラン王にもなっている。

「おー、そのまさかの佐伯さんとは俺の事だ」

 バラエティで見た事ある佐伯さんって素なのだろうか。雰囲気がバラエティで見たままだ。

 よくわからないけど、なんかすげえ。

「えっと、佐伯さんが何でこんな所に?」

「あー、ここまでに至った経緯を話すのは後でも良いか? 取り敢えず、ほらこれ」

 そう言って渡されたのは。

「これって…硬球?」

 真っ白な新品の硬球だった。そんな佐伯さんは、よく見ると比較的軽装で、左手にグローブを持っている。

「そうだ。お前、野球経験者だよな? しかも辞める直前までの成績はそれなりのものだとか。感はそこまで鈍ってはいないよな?」

「一応は…」

 あれから試合は一度もしてないが、結さんがソフトボールの練習から帰宅した夜には、良く相手をして貰っているし、筋トレ自体も基本的に欠かした日はない。

「なら良い。お前、自分のグローブはまだ持ってんだろ? 30分ぐらいで済むから、それ持って直ぐ傍の空き地に来い。話はそこでする」

「わ、分かりました。すぐ向かいます」

 すると、俺の返事を聞いた佐伯さんは、口元を綻ばせ笑顔になると、その場から離れ近くの空き地へと向かうのだった。

「おにーちゃんおにーちゃん」

「あー円。…もしかして今の話聞いてたか?」

「うん。あのおじさん、たしか、やきゅーのひと、だよね」

「うん、そうだな」

 顔見知りの円が珍しく、初対面の人に対し怯えた様子が1つもない。

 小さな子供は、人を見る目があると何かの番組で見た事あるのだが、詰まりはそう言う事なのだろうか。

「お兄ちゃん、近くの空き地で用が出来たんだが、円も一緒に来るか?」

「うん!」

 突然の訪問で、佐伯と初対面し面食らった彗太は戸惑い、大して妹の円はニコニコと笑顔を見せ、対照的な二人がそこに居た。

☆黒木慧太の仕事仲間

 ・佐伯道正さえきみちまさ 男性:41歳

 日本のプロ野球で20年以上一軍で活躍し、2500本安打を達成した球界のレジェンド。

 引退前に引退後の仕事を考えていたところ、昼ドラの監修のオファーが来た事が切っ掛けで、仕事を手掛ける。

 現役は初登場時点で、昨シーズンで既に引退済み。

 それからは、野球を初めとしたスポーツ関連のアニメやドラマの監修を主な仕事として、演出等も手掛けるようになる。

 彼は、彗太との仕事が切っ掛けで野球センスを垣間見た彗太に、何かと世話を焼く様になる。

 ある時、人気野球漫画のドラマ化に際し、重要なポジションの俳優の選出を任された佐伯は、ふと以前共演した黒木を思い出し、再び交渉へと乗り出す。

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