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神崎さんは文芸部

 どうも、みなさんこんにちはっ! こちら、傘街灯町立傘街灯高等学校文芸部ですっ! そしてここは部室棟二階の文芸部部室なのです。 お世辞にもキレイとは言えませんが…私たちはここで活動してます。 現在部員は私、椋木琴羽と。 神崎さん──。




 文芸部の活動内容は基本的には本を書いたり、または読んだり。 なんだけど、神崎さんは読むばっかりで全然書いてくれないのです。 でも、今日こそは書いてもらわなくっちゃ! 同じ文芸部としてちゃんと言わないと。 いえ、部長として!


「か、神崎さん!」


「はい?」


「本を読むだけじゃなくて、ちゃんと書いてください!」


「あ、家でちゃんと書いてますんで大丈夫です」


「いつもそう言うけど、見せてくれたことないじゃん。 それに家って、ここで書けばいいのに。 ねぇほんとに書いてるの?」


「疑り深いですね琴羽さんは。 僕、そんなに信用ないですか?」


「あ、え、あいや、そういう訳じゃ」


「じゃあ、いいじゃないですか」


「んでも一応、明日が部としての締め切りなんだし、どれぐらい進んでるのかなーとか、どんなの書いてるのかなーとか? 部長として知っておきたいし」


「必ず提出はしますんで」


「絶対だからね」


「はい」


 神崎さんは部室ではいつもこんな感じ。 書かないけどちゃんと部活には来て、本を書いてる私の横で図書室で借りてきた本を読んで、ときどき読んでる本の感想を教えてくれたりする。 それが神崎さん。

 それが部員としての神崎さんなんだけど、クラスメートとしての神崎さんを私は知らない。 昼休みになるとお弁当を持って何処かへ行ってしまうから。 一度だけ、追いかけてみたことがあるけど、途中で友達に話しかけられちゃって、分からなかった。 友達…神崎さんは友達とかいるのかな?


「琴羽さん、僕の顔になにかついてます?」


「あ、いや、なんでもないよ」


「…?」


 んー、聞いちゃおうかな。 やめとこうかな。 んー、やっぱり聞いちゃおう。


「ねぇ神崎さん」


「はい」


「神崎さんはその、友達とかいるの?」


「え?」


「あ、いや、教室ではいつも一人だし、昼休みには何処かに行っちゃうし」


「ずっと見てたんですか?」


「えっ?! あ、そう言う訳じゃ」


「じゃあ、いつだか昼休みにつけてきてたのあれ、琴羽さんだったんですか?」


 ば、バレてる!?


「ごめん」


「いや、謝らなくても」


「それで、友達は、いるの?」


「いますよ。 友達」


「へー、誰なの?」


「琴羽さん」




 神崎さんは文芸部。

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