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オフ会での新たな出会いと新たな仲間。

 俺、新井正宗は趣味でライトノベルを書いている。そんな俺には頼れる相棒が居る、それはイラストレーターなのだが…


 俺/新井正宗 PN 新井マサキ

 趣味でライトノベルを書いている。新人賞にも応募しているが通ることは無く、相変わらず学生をしながら応募用のラノベを執筆している。最近は応募で通らなかった作品をネットで公開したりもしている、それなりに評判も良く多くの人からコメントをいただいている。それに今は親元を離脱し姉さんが借りていた家から通えば近いことが分かり姉と二人暮らしだ。そんな俺に試練が…。

「はぁ…締め切りが……」

 今はゴールデンウィークの()()()、コンクールの締め切りが翌日の二十三時五十九分で、現状完成には程遠い状況である。

「どうしたの?また締め切り間に合わないの?」

 そうやって話しかけてくるのは俺の姉、新井愛美(PNサクラ)だ。姉さんは絵師としての修行をしている。最近は腕を上げてきてブログでも公開してたりしている。

「うん…完成するか分からないんだ…」

「今回も徹夜?」

 そういう事になるかな…やむを得ないが…。

「そういえば完成原稿一つ見せてもらったけど面白かったよ」

「マジで⁉俺もこれは自信作なんだよね!」

 モチベーション上がるわぁぁぁぁぁ‼

「それとさ、明日学校だよね」

そうなんだよ…締め切り間に合わないよ……学校行きたくない…。

 締め切りまでタイムリミットは一日+半日、だが学校があるから使える時間は二十四時間ぐらいだ。

「姉さん…どうしよう…」

 すると姉は雑にもこう言う。

「頑張れ!」

「うん…頑張る…」

 そんな姉からの応援を貰い俺は完成に向けて新作を仕上げるために小型のノーパソのキーボードを高速で打ち続ける。隣の部屋では姉が静かにしているあたりイラストを描いているようだ。

 俺も本気モードに入り、夜八時時点で百ページまで書くことが出来た、完結まで残りわずかとなり希望が見えてきた。すると姉からのLINEがパソコンの画面上に表示された。

『夕飯出来たから食べに来て』

 これは俺が締め切りに追われているときにのみ行われる処置で俺の邪魔をしないための配慮なんだろう、そういう点ではとても尊敬できる…って言っても夕飯は自炊できない姉の事だから冷食だろう。

 夕飯を食べながらこんな話をする。

「ラノベの方はどう?」

「何とかなりそうだよ、あと少しってところかな?」

「そっかそっか…」

 これも姉さんのおかげだ。おかげで締め切りに間に合いそうだ。

「姉さんもイラストは描けたの?」

「一応ね、今師匠に採点してもらってるんだ」

「そう言えば前回のイラストボロボロだった」「あぁぁぁぁぁ‼聞こえないなぁぁぁぁ‼」

 相当動揺しているようだ。前回のイラストは師匠にボロクソ言われて姉さん泣いてたっけな…。

 そんな動揺を隠せない姉を見ながら夕食を食べていると俺のスマホにLINEのメッセージが来た、どうやら同好会のグループからみたいだ。

 この同好会は趣味でラノベを書いている人たちが集まっている、もちろん俺も参加しているが俺が最年少だ、みんな大学生や社会人で女性でも大学生の人が最年少だ。そんなグループの会長からのLINEだった。

『同好会に十人目の新メンバーが入ります、名前は高校生だから君と同い年かな?そんな訳で来週末の土日どちらかで歓迎会をやるから開けておいてね』というメッセージの後に『奈津希が参加しました』と言うテロップがあった。

「どうしたの?」

 復活した姉は興味深そうに俺のスマホ画面を覗きこむ。

「なんか新メンバーが入ったみたい、俺と同い年の女の子」

 すると姉さんはニヤけながら俺の背中をバンバン叩きながらこういう。

「やったじゃん!『同い年の女の子入ってくれないかなぁ…』って言ってたじゃん!良かったね可愛い子かもよ?」

 それが現実になってくれれば俺は嬉しいのだがね…世の中そんな甘くない物なんだよこれが…。

「うん!これは嬉しい…んだけどさ姉さん、背中痛いから叩かないで…」

「あっ!ごめんね…」

 はぁ…この怪力女め…。

 そんなちょっとしたイベントを挟みつつ自分の部屋に戻りアイデアノートに今後のシナリオを殴り書きする。これが俺のやり方だがたまに汚過ぎて読めなくて苦戦したりもする。

「うんっ、シナリオもおおよそ出来たし後は何とかなるだろ…」

 殴り書きをした後ベットにダイブすると同時に姉さんが俺の部屋に入って来た。ついでに言うとタブレットを持ったままでだ。

「ねぇねぇ!この娘どうかな?」

 そう言って突き出しているタブレットの画面上には可愛らしい女の子が描かれていた。それだけならまだ構わないんだが…なぜ全裸なのか理由が知りたい…。まぁ…そんな事は言えずに俺は簡潔にこう伝える。

「可愛いんじゃないかな…」

 すると姉さんの口からはとんでもない言葉が飛び出してきた。

「あれれ?なんで全裸に突っ込まないのかな?」

 ツッコミ待ちだったのかよ‼

「えっと…エロいな!」

 もう…俺は姉となんという会話をしているのか…。

「でしょでしょ⁉さっきお風呂に入っててビビビってきたんだよ‼」

「ほう…これは自分の裸体をモデルにしたという事かな?」って言える訳もなく俺は豊かな胸を張って自慢げにしている姉さんを見つめる…。

「そ…そんなに胸を見ないでよ……恥ずかしいよ…」

 姉さんは胸を隠すようにしているのだが隠しきれていない…なおかつ赤面しているあたりとか……反則だろ…。

「それじゃあ風呂入ってくるわ…」

 俺はタブレットを持った姉さんを部屋に戻し風呂場へと向かう、俺の好きな時間でもある。

「はぁ…明日が勝負だな…」

 俺は気合を入れバッと立ち上がる。ハッハッハッ‼ブルンブルン‼周りの近隣住民からしたら恐怖でしかない状況で気合を入れ俺は風呂から上がる。

「ねぇねぇ!またイラストが描けたんだよ‼」

 またそう言ってパンツ一枚の俺にタブレットを向けてくる、そこにはさっきとは違う子が描かれていたのだが…なぜまたしても裸体の子を描くのだ⁉しかもさっきよりもレベルが上がっている、もはや制限がかかるレベルだ…。

「姉さん…なんでこんな絵しか描けないの?」

「わかんな~い!またビビビって来たんだけどね…」

 そう言いながら視線を下げる姉…。

「視線を下げないでください‼」

 危なかった…見られてないよな……。

「そう言えばさ、さっきの新しい娘はいつ会うの?」

「うん、今度の土曜日か日曜日だよ…」

「可愛い娘だと良いね」

 それに関しては姉さんの意見と同じだ、可愛い娘であってくれと願うばかりだ。

「それよりもさ…寒いし眠いからもう良いかな?」

 流石に風呂上がりで十分近くの耐久は辛い、なおかつ睡魔のダブルパンチだ…。

「ごめんごめん、それじゃあおやすみ」

 そう言って自分の部屋に戻って行った。その後すぐ俺は部屋着に着替えて眠りに就く、目を閉じてすぐに寝てしまった、そんな気がしてならない…。

 翌日、俺は姉さんの作った朝食を食べてすぐに登校をする。朝の誰もいない教室は集中できるから締め切りに追われてるときはいつもそうしてる。そのためタブレット端末にキーボードを装備した万能端末を学校に持って行ってる。

「それじゃあ行ってくるね!」

「行ってらっしゃ~い!」

 そう言って玄関前で手を振って見送ってくれた。

 お互い色々と大変である…。

 朝早い時間帯、学校までの道を歩くほとんどの人は駅がある学校の反対方向へと向かっている、そんな中を逆走し、俺は学校へと向かう。その道中、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。ちなみに姉さんではない。どうも嫌な予感しかしない、そして疑問でしかない。そんな疑問を抱えながら後ろを振り返ると見覚えのある娘がすぐ後ろにいた。

「何してるんだ?」

「何って、登校してるんだけど」

「でもさ…俺のすぐ後ろにくっついて登校するやつがいるかよ…」

「いるじゃん!それは私の事だよ!」

 とても面倒である…。そんな面倒なこいつは『七条叶』俺と同じクラスの娘だ。

「それはそうとなんでこんな早いんだ?お前いつもギリギリに来るだろうに」

「別にいいじゃん♪気分だよ」

「そ…そうなのか…」

 それよりもマズいのが締切前の日課が行えない事である。

「はぁ…どうしたものか…」

 俺は本音をこぼし、解決策を考えながら学校へと向かったが気が付くと教室に着いており解決策すら出てこなかった。

「どうすれば良いのか…」

「なにが?」

「な、なんでもないよ!」

「そうかな?何か隠してる感じがあるけどなぁ…」

 これが噂の女の勘ってやつかよ…。

「まぁ…誰にも言わないって約束してくれ」

「うん、もし私が誰かに言ったらエッチなお仕置きしても良いよ?」

「なんとでも言ってろ」

 そんな叶に俺は正直に話した。

「そうだったんだ!それなら早く教えてよ!」

「いや…なんかさ…」

「だって私アニメとかラノベとか好きだよ?」

「そうだったの⁉」

 意外だった、叶がアニメ好きだとは一切感じられなかったからだ。

「うん!皆には秘密だけどね♪」

「秘密なのに何で?」

「だって、素直に話してくれたから」

 待ってくれ…この娘こんなに良い子なの?

「それより時間の方は大丈夫?」

 そう言われて教室の時計を見ると既に七時四五分を過ぎている。

「うわっ!ヤッベェ‼」

 俺は慌ててカバンから万能端末を取り出し急いで執筆する、慌ててるとタイピングスピードが格段に上昇する。そのスピードを生かして十ページ+あとがきを仕上げ、投稿できる状態まで持ってきた。その時間約二十分、これが毎回できれば苦労しないのに…。

「終わったぁ…」

 と同時に叶は自販機で買ってきたであろうお茶を持ってきてくれた。

「お疲れ様です」

「ありがとう、なんか申し訳ないな…」

「大丈夫だよ、これからもいっぱい言ってね」

「それじゃあ、そうさせてもらうね」

 あのアニメだったら会長が「こら!教室で卑猥な話とは何事か‼」って言ってきそうだ。

 その後授業を乗り越え、昼休みに作品応募完了。とりあえずは一安心だ。

「ねぇ!一緒に帰ろうよ!」

「うん…良いけど…」

 そんな訳で俺は叶と帰る事となり道中叶がこんな事を言い出した。

「私、ライトノベル書いてみたい!」

 ん?何言ってるんだこいつ?

「えっ?今なんて言った?」

「だからぁ!ラノベを書きたいの‼」

「まぁ…良いんじゃないか?良い経験だし」

 俺はその提案には賛成した。

「それだけ?」

「と言いますと?」

「だからぁ!書き方教えて欲しいの!」

 叶は目をキラキラと輝かせながら俺に迫る。

「近すぎ!教える分には構わないけど…ちょっと待ってて」

 俺はスマホを取り出しLINEにて同好会のグループトークを確認する。

『日程は土曜日朝十時に東京駅、鉄の鈴の前に集合でお願いします。午後五時までフリータイムとしそこからオフ会を始めますので夜七時まで行いますのでよろしくです』というコメントが残されていた。それを確認した後に叶にこう伝える。

「今度の土曜日って何か予定ある?」

「別に予定は無いけど…」

「それじゃあ出掛けるぞ‼」

 そう言うと、頬を赤く染める。

「あっ、行っておくけどデートとかじゃないぞ、ラノベに関する事だからな」

「し、知ってるよ‼別に期待とかしてないもん!」

 嘘つけ…頬赤くしてたくせに…。

「じゃあ迎えに行くからね」

「オッケー!待ってるね」

 そんな訳で俺達は土曜日に出かけるという約束をした後、解散し俺は自宅へと帰宅した。

「ただいま」

「おかえり~!」

 返事が聞こえるとそそくさとタブレットを持って俺のもとへ姉がやって来た。

「ねぇねぇ!どの子が好み?」

 そう言って三人の女の子のイラストを見せて来た。

 一人目は犬を擬人化させたもので、二人目はアニメのキャラで、三人目はオリジナルのキャラだと思う。それら三人に共通して言えることはすべて…『エロい』。

「なんでそういうのしか描けないの?」

「だってこれ夏の祭典に出品する同人誌の主人公だもん!」

 はぁ…ついに同人誌を描き始めるのか…。

「ま…まぁ、俺的には全部良いと思うけど…」

「そうだよね!じゃあ全部使うね!」

 全部使うなら聞くなよ……。

「それより…土曜日アニメショップとかアキバに行くけど一緒に行く?」

「うん‼行く!やったぁ!」

 はぁ…大の大人がまるで幼い子供が遊園地に連れてってくれると聞いて喜ぶようなリアクションするなよ…。

「そういえば、同好会のメンバーの中にイラスト書いてる人いないの?」

「一応二人いるよ、マリさんとポコさんだったかな?」

「そかそか!すっごく楽しみ!」

 当日制御不能になりそうで怖い…。

 

  ~土曜日、オフ会当日~

 

「姉さん!準備できた?」

「うん!バッチリだよ!」

 お互い準備が出来た後、叶を迎えに行く。叶の家の前に着き、インターホンを押し呼び出す。

「今行くね!」

 そう言われて約十分お外で待機。待ち時間姉さんはタブレットで女の子の顔を書いていた。

「お待たせ!」

 そう言ってやっと出てきた…。

「あの…この子は?」

「この人だれ?」

 二人からの疑問という球が同時に俺のもとへ飛んできた。

「えっと…この人が俺の姉で、この子が七条叶」

 俺はお互いの紹介を済ませた、思ったけどこの二人の雰囲気ってなんか似てる…。そんな俺たち一行は一路都心へと向かう。電車に揺られること二時間弱、そして迷うこと十分。やっと待ち合わせ場所に着いた、そこには同好会のメンバーが集結していた。

「おはようございます!」

『おはよ~』

 俺は姉さんと叶の事を伝え、皆に紹介した、次に同好会のメンバーを姉さんと叶に紹介した。その後に、新しいメンバーの紹介に移る。

『朝倉奈津希 PN朝倉ナツキ』俺と同い年である。多分コミュ障なのか分からないがあまり喋らない子だった。

「よろしくね、俺は新井正宗、PNは新井マサキ」

 そう言うと少し驚いたようにこう言う。

「って…私…あなたの書いた小説を見て…書き始めるようになったんです…」

「マジで⁉なんのやつ見たの?」

「『私と彼は幼馴染以上の関係です!』って作品です…」

 それから話が盛り上がる中それにブレーキを掛けたのは叶だった。

「それよりも!アキバ行こうよ、私行ってみたい!」

「私も行ってみたいです…」

「私も行きたい!」

 三人から圧力がかかる。

「それじゃあ…行きますか…」

 意外だった…みんながここまでアキバに行きたいとは知らなかった。(姉さんを除く)

 その後、姉さんと叶は我先に現地へと向かう一方、まだ慣れない奈津希はどうも俺と同じくゆっくりとした足取りだった。

「俺達はゆっくり行こうか」

「はい…」

 やっぱりまだ慣れるのには時間がかかりそうだ。ガラス細工のように繊細で、力加減を間違えると壊れてしまいそうな雰囲気だった。その頃先に進んだ人たちは迷走したのかは分からないが依然行方が分からぬ。俺達はゆっくりとした足取りで改札を抜け、二駅先の目的地へと向かう。姉さんたちはどうやら先に着いたらしい、ついさっきLINEが来た。

「姉さんたち先に行っちゃったみたい…」

「自由なんですね…」

 まったくその通りでございます。

「お姉さんって何してる人なんですか?」

「あぁ、イラスト書いてるんだよ、たまにSNSなんかに挙げてるらしいけど…」

 俺はそう言ってツイッターで姉さんのアカウントを見せる。

「こんな絵描いてるんだよ」

 そう言って俺は健全な絵を見せる、姉さんのイメージダウンには繫げたくないし、弟として見せるのが恥ずかしい…。

「あっ、その人知ってる…」

 な、なんですと⁉

「私この人の絵好きだから毎回チェックしてるよ…」

 マジかよ…俺の苦労は一体どこへやら…。なんて落ち込んでる場合じゃなかった、話してると二駅なんてあっという間だ、電車を降り改札を抜けるとそこは秋葉原だった。

「ふぅ…それじゃあ行こうか」

 そう言って奈津希の方に視線を送るとそこには奈津希の姿はなくさっきまでのゆっくりペースではなくなり現地に着いた途端姉さん達と同じような我先に目的地へと向かう、そんな感じに変化した。

「あっ!待ってくれ!」

 慌てて俺は奈津希を追いかける。しかしすぐに追いついた。

「はぁ……はぁ……」

 あっ…体力少ない人ね…。

「大丈夫?スタミナ切れかな?」

「うぅ……運動しないから仕方ないんです…」

 まぁ、会った時から分かってたけどね。

「慌てなくても良いからゆっくり行こうよ、まだ先は長いよ?」

「うん…そうする…」

 ここで俺が思ったことを一つ読者のみんなと共有したい。『この娘妹キャラだ‼』って奈津希には死んでも言えない。

 そんな感じで目的の店の近くに来ると見覚えのある人が見えた。ゲームセンターで遊んでいるようだ。

「あっ!やっと来た!」

 俺は姉さんのその一言に対して姉さんの脳天に一発チョップを食らわせる。

「やっと来たじゃないよ!アンタらが勝手に先に行ったんでしょうが!」

「「ごめんなさい…」」

 まったく…絶対この調子だったら今日一回は迷子になるだろうな…監視を強化しなければ。

「それじゃあアニメショップに行こうか‼」

「うんっ!」

 相変わらずのご様子で…。

「それじゃあ…」

「アニメショップ…」

 おいおい…めっちゃ目がキラキラ輝いてるぞ…。

「奈津希さん?」

「あっ…その…秋葉原楽しみだったからつい…」

 ここにいる皆が思った、「この子は妹キャラだと…」

 そんな訳で俺達はアキバにあるアニメショップ巡りを始める。二時間程、お互い好きなアニメやキャラ、目的に沿ったものを探したりしていた。終わった頃にはもうお腹が空いている時間帯だった。

「そろそろお昼ご飯にする?」

「そうだね、お腹空いた!」

「私も!もうペコペコだよ…」

「私もです…」

 一同意見は合致、ここいらで昼食休憩を取ることにした。場所は…すぐそこにあったマックで済ませる事にした。案外すぐに場所を確保し俺は荷物を見張り女性陣は先に買い出しをする。戻って来て俺が入れ替わりで買い出しへ、戻って来てやっと落ち着いてゆっくり出来る…訳もなく、やっぱり話題はラノベだったりイラストの話題で盛り上がっている。

意外にもその会話には奈津希も参加しており楽しそうに話している。少しずつではあるけど溶け込んで行ってる気がする。食べ終わってもしばらく会話が続いているがそんな中午後の日程が真っ白であったためこの会話にやむなく参加する事となった。

「それはそうと…この後どうします?」

 俺は午後の日程について質問した。するとみんなは口を揃えて『スカイツリーに行きたい』と答えた。

「それじゃあ行きますか!」

 一応午後のスケジュールが決まった、目指す先はスカイツリー。俺達は電車でスカイツリーを目指す事にした。実はスカイツリーに行くのは初めてだからすごく楽しみだ。

「奈津希さんって、小説書き始めてどれくらいなの?」

「えっと…まだ一か月くらいです…流石に長編から始めるのは難しいから短編から始めました…」

「そうなんだ…隣にいる叶もラノベ書きたいって言ってるんだよ」

 そう言うと意外そうなリアクションをしている。

「叶さんも書くの?」

「これからね…それで正宗君に教えてもらおうとしてるんだけど…何にも教えてくれないんだよ!」

 そう言うと奈津希は俺の方を見て目でこう伝えてる気がする。

『ちゃんと教えてあげてね!』

 そんな奈津希を横にして~の、電車に揺られ~の、スカイツリーに着いた。奈津希さん圧力は相変わらずだったが…。

 改札を抜けてすぐ、また自由に走り出す前に止めに入る。

「「何で止めるの⁉」」

「あんたらが自由過ぎるからだよ‼」

 少しは奈津希さんを見習ってほしいよ…。

 そんなこんな俺は自由人を何とか拘束し個人行動から団体行動へと切り替えた。公でもしないと収拾がつかない…。

「ねぇどこ行く?」

「水族館があるみたいですよ…」

「マジで⁉行く行く‼」

 とまぁ…こんな感じである、団体にしても大した効果は無いのが現実だ…それに奈津希さんまで吸収されてしまった…。どうしようもない…。

「そ…それじゃあどこに行くの?」

『水族館‼』

 口を揃えてそう答えた。元気いっぱいなのは良いが…高校生二人に大学生が一人…すでに仕舞いである…。

 まぁ…そんな訳で俺はハイテンション女子組にくっつき行動する。殆ど行動は女性型で決めているから俺は……用済み状態だ…。

 しばらく散策した後スカイツリー上ろうとしたが混雑度を見て女性陣が諦めまたの機会となった。

 その後は浅草観光・上野散策をし、気が付けば自由時間も終わりに近づいてきた。

「あの…そろそろ時間だから集合場所に行こうか…」

『えぇ⁉まだ散策したかったのに…』

 いや、こっちがえぇ⁉だよ!まだ体力は尽きないのか‼

「じゃあ、また来ようよ!このメンバーで!」

「そうですね…私もそうしたいです…」

「それじゃあお互いのLINE交換だ‼」

 そんな訳で集合時間が近づく中俺の目の前で堂々とLINEの交換をしている。

「交換は後にして…そろそろ行かないと遅刻するから!」

 そう言うと渋々彼女たちは今日初めてかな?俺について来てくれた。

 上野駅から会長の指定したお店へと向かう。電車に揺られて数十分、最寄り駅に到着。

「ここだよね…」

「ここのはず…」

「本当にここですか?」

「本当にここのはずです…」

「絶対間違ってるって…」

「それじゃあチェックしてみ?」

 そう言って叶に俺は場所を示す。

「本当にここだ…」

「でしょ?」

 さてここで問題です!

 Q なぜ私たちはこんなにも指定された店に対して疑いを持っているのでしょうか?

 A なぜならそこがファミレスだから。しかも多くの家族連れの中です。

  恐る恐る中に入ると既に何人かが集結していた。

「遅いよ!」

「ごめんなさい、ちょっと道に迷っちゃって…」

 俺はとっさに嘘をついた。本当はここで合ってるのか疑いを持ってしまったから…。

「こっちに男性陣とこっちに女性陣って分かれて座ってね」

 これはお互いに話しやすいようにと会長が毎回やってることだ。俺たち一行が座ったところで会長がこう言う。

「そう言えば奈津希さん大丈夫だった?」

「はい…みんな仲良くしてくれて…馴染めました…」

「それは良かったよ、馴染めるか不安だったから」

 会長…心配してたんですね…。

「正宗君が襲っちゃうんじゃないかって不安だったから」

「そんな事しませんから‼」

 せっかく良い人だと思ってたのに…俺から会長への株価は大暴落だ。

「「お腹空いた‼」」

「それじゃあなんか頼んだら?」

「「そうする‼」」

 こんな子供みたいな人にはお子様ランチがピッタリだ。

「それじゃあ…これとこれを…」

「私はこれを…」

「じゃあ僕はこれで…」

「私はこれ……」

「俺はこれで…」

「—————————」

 結局皆注文してしまった。

「それじゃあ飲み物取ってくるね!」

 そう言って叶を始めとした俺達と行動した三人はドリンクバーへと向かった。

「正宗君も大変だね」

「何がです?」

「あぁ…お姉さんだったり、お友達だったり、奈津希さんだったり、色々と大変だろうなぁ…って」

「そんな事無いです、俺自身姉さん達と一緒に居て楽しいです、初めは大変かなって思ったけど、あの人たちも楽しんでるみたいですし、あの人達が楽しければ俺も楽しいですから…」

 俺がそう言った直後三人が戻って来た。

「なに話してたの?」

「内緒だよ、でも楽しい話…」

 そう言うと彼女たちは深く聞かなかった。それは興味が無かったからじゃない、察してくれたからだろう…そう思いたい…。

 それから俺達は食事、雑談をしていた。とても楽しい時間だ、それとともに楽しい時間が過ぎるのはあっという間だ。

「そろそろ夜遅くなるし…解散しましょうか…」

 それから俺達は会計を済ませ店を後にした。

「それじゃあ、解散という事で……今回はありがとうございました、お疲れ様です」

 そんな訳で解散となり、各々帰宅への道を歩んでいた。

「そう言えば奈津希ちゃんの家ってどこら辺なの?」

「えっと…相模大野の辺りです」

 おいおい待て待て!隣の駅じゃん!

「そうなの⁉私たち町田だよ!」

「そうなんですか⁉お隣じゃないですか!」

「やったね!これからも一緒に遊べるね!」

「はいっ!」

 その時、奈津希さんが今日最大の笑顔を見せた。近くに仲間がいる事がうれしいのだろう…。正直俺も嬉しい、同じ仲間が近くにいる事はとてもうれしい。

「それじゃあ一緒に帰ろっか!」

「うんっ!」

 そう言って俺を先導している、道も分かって無いだろうに…。

「ねぇ正宗、奈津希ちゃん可愛いね」

「そうだな、姉さんとは大違いだよ」

「そ、そんな事無いもん!私もあんな感じだもん!」

 絶対ないから。

「正宗君!これどっちに曲がるの?」

「それ右だよ!駅方面って看板あるじゃん!」

「ホントだ!」

 叶は相変わらず天然要素を盛り込んでるなぁ…。

「メンバーが濃くなってくね」

「そ、そうだね…」

 主にあなた方のおかげとは言えない…。

「ありがとね、今日連れてってくれて」

「別にいいよ、姉さんも楽しかったでしょ?」

「うん、ものすごく楽しかった」

 その言葉が聞ければ俺は満足だよ。

「はやくはやく!置いてっちゃうよ!」

 帰り方も分からないだろうに…。

 それから俺達はファミレスの最寄駅から電車に乗り帰宅する。途中で叶と姉さんは俺の肩にもたれて寝ちゃったけど…。

「正宗さん…今日はありがとうございました」

「ううん!こっちがお礼したいよ…。今日はこんな姉さん達と一緒にいてくれてありがとね、疲れたでしょ?」

「正直疲れました…でも楽しかったから疲れなんか吹っ飛んじゃいました!」

「初めてあった時より話せてるね」

「おかげさまで…私、あまり人と話す事が苦手だったんですけどなぜか皆さんにはすぐに馴染めたって言うか…不思議な力があったって言うか…」

 彼女の言う通り、彼女達にはそんな不思議な力があるのかもしれない。

「また今度こうやってこのメンバーで遠出するのは夏休みかな?奈津希さんはどこに行きたいとかあるの?」

「いっぱいあります!海に山に…あっ、キャンプもしてみたいです!それと———」

 やっぱりこうやって見ると姉さんや叶に近い物を感じる。

「夏休みは色んな事をしようね!」

「はいっ!約束ですよ?」

「もちろん!こいつらもそうしたいだろうし」

 そうやって話してるともうすぐ町田駅だった。

「ほら…起きて!」

 俺はとりあえず二人を起こす。

 それで荷物を持ち~の、奈津希さんに手を振り電車を降りる。

 その後改札を抜け自宅まで歩く。疲れてるせいか二人は眠そうに歩いている。

「ほらもうすぐだよ!頑張って!」

「「うん……頑張る…………」」

 本当に大丈夫か?

 数分後俺達は叶を自宅まで送り届け、俺は姉さんを連れて帰る。

「正宗ぇ、おんぶして!」

「はぁ…ほら、早くして!」

 そう言って俺は姉さんをおんぶして自宅まで帰る。背中に胸が当たってしょうがない…。

 自宅に着いて、俺はまず姉さんをベッドに寝かせた。だいぶ疲れたのだろう。

「正宗ぇ…………」

 どんな夢を見ているのか……。

「俺も寝よっと…疲れた…」

 流石の俺もすぐにベッドにダイブして眠りに就いた。

 こうして過酷なオフ会が幕を閉じた。

『【朗報】オフ会終了‼』そんなテロップが俺脳内に流れてこの日は終わった。


翌日、俺は姉さんに起こされた。

「なに?」

「お腹空いた!」

 あなたは自炊が出来ないのでしょうか?

「はいはい…今から作るから待ってて…」

 マジで俺が居なかったらどうなってるのだろうか…。

 俺は昨日の疲れを残しながら朝食を作る。

「はい…出来たよ…」

 俺は軽く作った朝食を机の上に置く。

 いつも通り美味しそうに食べる姉、いい加減自炊出来て欲しいという願いもあるが、やっぱり…人にご飯を作って、食べてもらうって嬉しいって思うんだよなぁ…。

「どうかしたの?ニヤニヤして…」

「いや、なんでもないよ…美味しい?」

 そう聞くと笑顔でこう答えた。

「うんっ!とっても美味しい‼」

「それは良かった…」

 自炊できなくていいよ…その笑顔がいつまでも見られればそれでいいよ…。

 でも…少しぐらいは作れるようになって下さい……。

本日はこの『俺のラノベって…つまらないの?』を読んでいただきありがとうございます。

皆様お久しぶりです。会津さつき執筆小説3作品目です!

二作品目はエブリスタ文庫WEBページにて公開中です。

やっと受験も終わり楽しく過ごしています。

執筆面の話をさせていただくと今回のラノベは割と書きやすかったのが本音です。現状私自身主人公の彼と同じ位置にいます。趣味でラノベを書くのが好き、新人賞に応募するが結果は惨敗…。自分にどことなく似ている点(似せたのが本音)があり、感情移入しやすい等々、執筆面では彼は非常に役に立ってくれました。また、正宗君の友人は私の友人と似ていると執筆時に言われたことがあります、それものはずです、その友人を意識して書いてみましたwだからこそ書きやすかったのかもしれません。

今回の執筆において、新たな発見、課題、様々な面で成長させてくれた作品かもしれません。

物語で主人公が成長するにつれ、周りの友人も成長する、私も少しながら成長するかもしれません。

今後にご期待ください。

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