詠み人知らず
もしも僕が犬だったなら
ずっとあなたのそばにいて
笑っているあなたも
泣いているあなたも
全部受け止めて
しっぽを振って
ただひたすらにあなたの忠犬でいられたのだろう
もしも僕が花だったなら
蕾をつけるだけであなたを喜ばせ
咲くだけであなたを癒し
そこにいるだけであなたに愛されたのだろう
もしも僕がチョコレートだったなら
あなたに食べられて
あなたの胃を満たし
あなたに幸福感を与えることができたのだろう
もしも僕が死神だったなら
あなたのところにもっともっと遅く訪れて
あなたにもっともっと素晴らしい思い出を作らせて
あなたをもっともっと幸せにできたのに
きっとできたのに
どうして僕は死神じゃないんだろう
どうして僕は生きているんだろう