表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説集8 (351話~400話)

初恋

作者: 蹴沢缶九郎

好きな人が出来た。生まれて初めての恋と言ってもいいかもしれない。それまで恋愛というものにとんと疎かった自分に、好きな人が出来たのだ。それは事件であり、自分にもその様な感情があった事に、驚きと安堵があった。

通勤途中の駅で、初めてその女性を見かけた瞬間、身体に電気が走る衝撃を感じた。色白で長い黒髪の白いワンピースを着た、清楚感漂う女性。

それ以来、仕事中も、食事の時も寝る時も、僕の頭の中を女性が支配した。何も手につかない。女性の事しか考えられない。考えたくないのだ。最早、このモヤモヤを解消する為に、方法は一つだけだった。女性に告白する事にしたのだ。


朝の駅のホーム、いつもの時間、いつもの場所に佇む女性に、僕は声を掛けた。


「おはようございます。突然で驚かれると思いますが、僕はあなたに恋をしてしまいました。僕と付き合ってください」


飾り気のない、嘘偽りない自分の本心からの言葉だった。


突然の男からの申し出に、女性は困惑した表情になり、


「お気持ちは嬉しいですけど、そんな、困りますわ。だって、私とあなたは釣り合わないですもの」


と、愛と美の女神ヴィーナスは、貧乏神である男に告げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ