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メルセデス7

 ルカティアへの応急処置が終わると、俺たちは霊薬を作るためにシクサルへ戻ってきた。


「成果はありましたかな?」


 レニが心配そうに駆け寄ってきた。


「ダンジョンが広くてね。探索はしているんだがどうにも見つからない。それに強力なモンスターもいてね。あの勇者の剣を貸してもらえないだろうか。あの剣から出てくる癒水を使って霊薬を作りたいんだ」

「えぇ、もちろん結構です」

「と言うわけで、リース頼んだ」

「錬金術の設備をお借りしたい」

「えぇ、もちろんです。私もお手伝いしましょう」


 リースがレニに先導されて行く。

 さて情報収集……と言うわけにもいかない、すぐにバレる。

 そう言うわけで特に何もすることも無く、時間は過ぎていった。



 

 今日はミリアを別の部屋にしてもらった。

 娼婦を呼んでもらう為だ。

 部屋でもんもんとしていると外からノックの音が聞こえてきた。

 俺は喜んで扉を開けた。

 そこには20前後のお姉さんが立っていた。金髪碧眼であり、少しおっとりしたように見える。

 あとおっぱい。

 総合評価的にはかなりの美人だ。


「よ、よろしくおねがいします」


 緊張しているのか少し声がうわずっていた。

 考えてみると今の俺は魔王で来賓待遇らしい。俺がこの場で首をはね飛ばしても彼女は文句を言えないのかも知れない。


「まぁとりあえずベットに腰掛けて」


 と、ベットに腰を掛けさせてみたが、一体何を話せば良いのだろうか? 手取り足取り教えてもらおうと思ったのに、このお姉さんは顔を真っ赤にしてこちらに視線を合わせようともしない。

 これならマルーを手籠めにした方が……いや、実際マルーを手籠めにしたら嫌悪感で自殺したくなるだろうな。

 そうやって考えていると色々あった気力がどんどんとしぼんでいく。


「あぁ、ごめんやっぱいいや」

「そ、そ、そ、それは困ります」


 彼女の言う事も一理ある。ここで彼女に手を出さないと言う事は、レニの出した娼婦が気にくわないと言っていることも同然で有り、失礼に当たっておかしくない。

 そうなった時に誰が責任を取るのかと言えば、当然彼女になってしまうだろう。

 俺が悪いってことにしないと不味いな。


「じゃあ上の人にはやっぱりロリの気分に変わったとでも伝えてくれ」

「アマネ様はロリコンなのですか?」

「いや、違うんだけど……」


 違うけど、これならレニは納得してくれるだろう。


「それと様付けは止めて欲しい」


 ミリアに様付けを禁止させるとむしろミリアが怒るので無視している。しかしそれ以外の人に様付けで呼ばれても困る。

 天音に居た時の使用人ですら呼び捨てかさん付けだった。


「も、もうしわけありませんでした」


 ……そしてまた無言。


「そうだ、君の名前聞いていた無かった。俺は天音槐」

「ポーラ フェザー」


 どこかで聞き覚えのある名前だなと頭を巡らせる。

 レニと言い争っていたおばさんの名字と一緒なのか。


「もしかし母親の名前はエイダ フェザーだったりするのか?」

「どうして母の名前をご存じなのですか?」


 レニとエイダの口論と今目の前に居るポーラを合わせると大体事情が見えてくる。


「もしかしてポーラは娼婦では無いのか?」


 良識のある親なら娘を娼婦にさせようとは思わないだろう。


「こ、こういうことを、するのは、はじめてですけど、きちんと奉仕させていただきます」


 そんな事を言われても気分は完全に冷めてしまった。俺はお姉さんに手ほどきを受けたいのであって、うぶな生娘を襲いたいわけでは無い。


「いや、要らない」

「しかし、そうすると私がレニ様に怒られてしまいます。お願いなので私で我慢してください。大きいですけど頑張りますので」


 そう言うと彼女は上半身を脱ぎ始めた。


「大丈夫です。やり方は少しは知っていますし―――それにエンジュさ――エンジュは優しそうなので安心しました」

「ロリコンだから勃たなかったって言っておけ」


 しかしそれはそれで、ポーラに魅力が無いと言ってるのと同義になってしまうな。ミリアの時は軽い労働をしてもらえばそれで済んだけど、ポーラに対しては性的な何かをしないといけない。


 ポーラが俺を押し倒した。


「お願いします。やってもらわないと困るんです」


 切実すぎないか?

 いや、事の発端はどう考えても俺が原因ではあるのだが、どう考えてもおかしいだろ。


「失礼する」


 ポーラを魔力の膜で包み込む。

 押し倒されている状態から逆にポーラを押し倒し服をはぎ取った。


「呪いか」


 ルカティアにかかっているのと同じような魔法がうっすらと体に描かれている。注意して見たとしても通常の視力ならまず解らない。


「レニ様がきちんと仕事をしたかの確認用として私に魔法をかけていました」


 そんな生やさしい物じゃない。

 放置しておけばそのまま死ぬだろうし、ポーラに挿入したら俺まで呪われてしまいそうだ。


「どうかしたのですか?」


 ただポーラはその邪悪さに気付いていない。

 俺がここで真実を打ち明けて怖がらせてもしょうがない。リースならこの呪いも治せるだろうし、とりあえずはこの場だけ切り抜ければ良いだろう。


「じゃあちょっと変わったプレイをやろうじゃないか」




「エンジュ……だめ! それ以上奥は無理、無理です。あっ!」


 俺は穴から棒を取り出した。


「気持ちよかっただろ?」


 俺はかなり気持ちよかった。と言うかこんなに楽しい物だとは思いもしなかった。

 リースやミリアにもそのままやりたくなってしまう。


「え、えぇこんなに気持ち良い物だったのですね」

「では、次行くぞ」

「もうですか?」


 俺はポーラの体をひっくり返した。体位を変えてやりたいからだ。


「あぁ、耳は二つあるんだから、両方やるに決まっている」


 穴に棒を突っ込む作業。そう、耳掃除だ。

 穴に棒を突っ込んでるから性的なことに違いはあるまい、たぶん。


「これ終わったら次は俺の耳掃除を頼むぞ」

「はい」


 そう言うわけで俺は耳掃除を楽しんだ。




 ポーラが寝たのを確認した後、俺は廊下を歩き祭壇室まで向かう。

 ここでリースとレニが霊薬を作っているはずだ。

 なぜ祭壇室かと言えば、神の力が強い場所の方がより良い品物が完成するらしい。なのでそこに臨時の炉なども置いてありかなりカオスな場所になっている。


 俺が扉を開けるとレニだけがそこに居た。


「おや、魔王様どうかなされましたか? リース様はすでにご就寝ですよ」

「今は何をしているんだ?」

「えぇ霊薬が完成するまで見張りをしていたところです。もしもがあっては大変ですから」


 部屋の中心にフラスコが置いてあった。フラスコの中身は蒼く輝いている。

 …ヌカコーラクァンタムみたいで怖いよ。


「それにしたって王の代理が直々に見張る事も無いだろ。後は治癒の神の力がフラスコにたまればいいわけだからさ」

「もしもの事があっては大変ですからね」

「もしもって言うのはそこで粉になっているボーンリザードの骨が入ったりって事か?」

「えぇ、確かに混ざっては大変ですから今すぐ片付けましょう」

「そんなことはしなくてもいい」


 俺はフラスコを手に取ると、レニの腕をつかんだ。


「それよりももっと簡単で解りやすいことをしよう」


 もしもこのフラスコの中にボーンリザードの骨が入ったら回復と呪詛の入り交じった訳のわからない薬になっているだろう。

 あるいは俺が考えているよりもおぞましい薬になっているのかも知れない。

 レニは強引に腕をほどいた。


「何をするつもりですか」

「これが霊薬だったら別に一滴ぐらい掛けられてもいいだろ? なぜ腕をほどいた」


 レニは反論の代わりに俺にナイフで斬りつけてきた。

 手を強打してナイフを落とさせた。性格を考えるとナイフに毒を塗っていてもおかしくないので今回はつかまない。


「さて、どうしてルカティアを殺そうとした? ポーラに呪いをかけた。リースの霊薬を汚染させた。 答えろ!

「何が欲しい。欲しい物なら何だってくれてやろう」

「欲しい物なんて無い」

「お前にとってルカティアもこの国の行方もなにも関係無いだろ! なのにどうして!」

「目の前であんな物を見せられて黙っていられるほど俺は腐ってない!」


 俺はレニを一瞬にして灰にした。

 痛みすら感じる暇も無かっただろう。


「にしても困ったな……」

 レニの事後処理も当然だが、それよりも今は霊薬の方が問題だ。

 今からリースをたたき起こして事情を説明してもう一度霊薬を作ってもらわないといけない。



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