金剛眼2
「エルダードラゴンにあった!?」
リースに服装が替わっていることを指摘されたので、俺はリースに金剛眼とあったことを話すことにした。
「二人とも大丈夫ですか? 怪我はありませんか? 悪いことはされていませんね?」
「アップルパイ美味しかったよ」
「あぁ、中々美味いパイだった」
パイの話は良いとしても、ミリアと一緒に風呂へ入ったことがバレたら一悶着ありそうで怖いな。
「本当にエルダードラゴンですか?」
「俺だって驚いたよリースの話だと、化け物にしか聞こえなかったからさ」
「会ったのはどの、エルダードラゴンでしょうか?」
「金剛眼、彼はテネブと自称していたけどな」
「金剛眼ですか。確かに彼はエルダードラゴンの中で一番温和ですので、来客をもてなすぐらいのことはするかも知れません」
来客をもてなすドラゴンって、その時点でドラゴンとしての威厳なさすぎだけどな。
「本当に殺すのか?」
「金剛眼でしたら、交渉する余地はあります。聡明な方ですから私の話を聞くぐらいはしてくれますし、もしかしたら助けてくれるかもしれません」
良かった。今の俺はテネブを相手にできないだろう。
憎むべき相手、倒すべき相手なら、俺は何度も殺してきた。
今だって迷いもなく殺せる。
しかしダメだ。情の移る相手は殺せない。きっとどこかで手を抜いてしまう。
自分と関わりのある相手を殺すのは間接的自殺と一緒だ。
「エンジュ、金剛眼に心を許さないでください。エルダードラゴンは全員狂っています。たった一人の例外も存在しません」
翌日、ミリアの帰還スキルから位置情報を抜き出して、リース一人でテネブの所に尋ねることになった。
「本当に俺たちは同行しない方がいいのか?」
服を回収しないといけないから、むしろ行きたい。
あと、タダ飯食いたい。
むしろタダ飯の為に行きたい。アップルパイも良いけどミートパイを作って欲しい。
「大丈夫です。殺し合いになるようなことはありません。なったとしても私一人でも勝てます」
リースも殺し合いをする気は無さそうだし、テネブが人殺しするような人間にも見えない。
「それよりスキルツリーを探しておいてください。」
「まかせろ」
……そうやって啖呵を切ったは良い物の今日も収穫無し。
俺もミリアも探すのに疲れ果て、図書館を図書館として活用し始めることにした。
三国志とブラックジャックは常備しているだろうと探したけど見つからない。ここは本当に図書館なのか?
お風呂なんて持ってくる前にやることがあるだろう。
しょうがないのでミリアと一緒に絵本を探す。
「普通の本じゃダメなのか?」
「普通の本も見たいけど、今はビビドに読み聞かせしたいの」
ラノベは……さすがに無いだろうから、絵本しか選択肢がない。もっともラノベがあったらミリアに見せる前に焚書処分する。
エッチなのはミリアには早すぎる。……GJ部ぐらいならセーフかな。
何冊か気に入った絵本を拝借して城壁に帰還。
城壁ではビビドが日光浴をしていた。ポーズを微調整して、日の傾きに合わせて光が当たる角度を調整しているらしい。
ミリアに頼んでビビドを畑から出してもらう。
「何をするの?」
「こいつを植えようかと」
ミリアにキラートマトの種を見せた。一般的なトマトの種と見た目は変わらない。そのまま普通のトマトと同じように成長して欲しい。
「ミリア、トマト嫌い」
「しかし食べないと大きくなれないぞ」
「うーん……」
「それにバリツで強くなれない」
「食べない」
「俺とリースが食べるから」
ミリアもそのうちトマトの美味しさに気づいてくれるだろう。俺がトマトの種を土に植えて、ミリアが如雨露で水をかけて、ビビドが土をほじくり返す。
完璧な連係プレーだ……
「って! 何をやってる」
俺はビビドを取り押さえる。ビビドはぐぎゃぐぎゃ言いながら抗議しているが、知った事ではない。
「ビビドに酷い事しちゃダメ」
ミリアが俺の手をつかんだ。
「しかしトマトが」
「ビビドに酷い事したら、いくらご主人様でも許さないよ」
ビビド>>>>>>>>>ドリアードの果実>>>>>>>>>>>俺
が証明された瞬間だった。
ミリアとビビドとの協議の結果、少しだけキラートマトを植えさせてくれる事になりました。




